続ける方法②

 「トーンスペースにこだわらないで久瀬大に行った方がいいのかなー。久瀬大だったら、トーンさえやっていれば入れるんだもんねー笑」

 「たすくん....。」

 祐は冗談混じりに明るく言いながらも、何処か悲しく呆れた表情をしていた。

 「祐!!」

 「はっはい!」

 玲が急に祐の名前を叫んだかと思いきや、カバンから資料を取り出して祐に渡した。

 「あのさ、俺は祐に絶望して欲しかった訳じゃなくてこれを見て欲しくてさ..。」

 祐に渡した資料とは、ある大学のパンフレットだった。

 「藤真大学?」

 「そう、藤真大学。全国で最大規模の大学だから祐も名前くらいは聞いたことあると思うけど。」

 「うん。藤大(ふじだい)ってみんな言ってるところでしょ?」

 「そうそう。祐さ、此処に行ってみたらどうだ?」

「…え?」

 突然のことに、祐は驚いた。そして玲はそのまま話続けた。

「今年度の募集で栗屋に行けなくても、他の大学に通っといて、その間にトーンで結果を出せば編入できる可能性が出てくる。

 祐の通ってる高校に藤大の指定校推薦があるし、祐は指定校をとれるくらいの成績と出席率、態度は満たしているはずだから指定校推薦で行けばいい。」

 「玲、俺の為にそこまで考えてくれてたの?」

 「いや別に..。ただ暇だっただけだしっ。」

 「ありがとう!」

 ガバッと祐に抱きつかれた玲は照れくさくなりながらも嬉しそうだった。

 そんな状況を見て微笑ましく思う一馬だったが、ふと思ったことを玲に聞いてみた。

 「やっくん、なんで藤大なの?他の大学だっていいはずなのに。たすくんの高校って多分他にも指定校あったと思うんだけど。」

 一馬の素朴な疑問に、玲は数秒黙ってから答えた。

 「大学の知名度が高い上、学部によっても違いますが、だいたいは祐の家から無理なく通える範囲です。それに」

 玲は言おうとした言葉を飲み込んだ。

 「いいえ、何でもありません。少し勢い余ってしまいました。」

 「なるほど〜。」

 一馬は 

 

 

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トリッキングトーン♬ @miyayou

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