続ける方法
毎日、朝起きて学校に行って放課後はトーンスペースで練習して家帰って寝る。そんな繰り返しの日々だが祐は嫌いじゃない。けれども時はそれを許してくれない。
「ねぇたすくん、進路とかは決め」
「あーあーあーっ言わないでっ、もう思い出したくないっ!」
「はぁ、もう高3だろ?現実見ろー。」
「つい2ヶ月前まで高3だったヤクザには言われたくないんだけど。」
「誰がヤクザだ。や.く.さ.だし。それに俺は高1の夏にはだいたい進路決めてたし。」
同じトーンスペースに通っている一馬、祐、玲は昔から毎日練習組だった為、一緒にいることが多く3人で喋ることが日常となっている。
「やっくん計画的だもんねー。僕よりも進路決めるの早かったもん。」
「一馬さんは俺に感心するんじゃなくて祐を焦らせてください。」
「たすくん、焦っ」
「そうじゃないです。はぁ、まあともかく祐は将来的にどうしたいんだ?」
「うーん、トーンをずっと続けることができれば別にそれで良いんだけど...。」
祐だって多少は進路のことを考えてたし、一馬と玲が通っている、トリッキングトーンが実習として認められる大学に行きたいなーくらいは思っていた。
「祐さ、練習バカで毎日真面目に一生懸命練習してるくせに大会で表彰台にも立ったことないじゃん?」
「そうだよ、そうだけど...。」
「祐も分かっていると思うけどさ、そんな今の祐の状況だと、」
「「推薦入学できない。」」
「.........。うん、分かってた。」
トリッキングトーンは比較的新しい競技の為、現在トーンを実習として認めている大学が全国で、一馬と玲が通っている三栗屋体育大学と久瀬体育大学の2校しか存在しない。
そのうち久瀬体育大学のほうは祐の家から到底通える範囲ではないので、今のトーンスペースに通い続けたい祐にとって後者に行く選択をするということはあり得ない。
三栗屋体育大学、通称栗屋には様々な入学方法があるが、トリッキングトーンに関しては実績をつくるため、今は推薦入学のみが唯一の入学方法なのだ。
だが祐は記録に残る実績を持っていないので、推薦入試さえも受けられない状態にある。
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