星の海原

漆黒の大海を彩るのは無数の星たちでした

見あげればたくさんの夢が輝いています


ひとりきりの寂しさなど忘れて、オールを漕ぐ手を止めて

小舟に寝転がり、波に心を揺蕩わせます


陸地では目を閉じると不安ばかりでした

嫌いだった過去、何もいえなかった過去、寂しかった過去……


でも海は違います

誰もがひとり、誰もがひとりで自由に生きているのです


波の向こうを見ると知らない小舟がやってきます


――やあ、元気かい? 調子どうだい?

――なかなか上手くいかないんだ。


そんなときは互いに寄せて係留するのもいいでしょう

ワインをラッパ飲みして、木の実をパリポリとかみ砕きながら

互いの経てきた人生を語り合ってください

そうして談笑が済めば、人はまたそれぞれの旅に出るのです


順調なことばかりの海路じゃないけれど、

数多の苦難を乗り越えてきたからこそ

人生はそうしためぐり逢いで組み上げられているのだと

そう思える瞬間があっても罰は当たらないでしょう


空に瞬く星たちを見つめ

この夢は自分だけのものだと自らを誇ってください

人生は可能性に満ちています

だから大丈夫、きっと大丈夫なんです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る