お題:脅迫、柔軟剤、教会
「今日は良い天気ですね~」
連日の雨とは違い晴れ渡った今日。
私はお庭でお洗濯です。ふふ、今日は良く乾きそうです。
という訳でシーツをバフッとふわーっと。
「シスター、今日もお仕事頑張ってるね」
と、竹竿にシーツを干している私に教会に来た近所の異形狩りの狩人さんが声をかけて下さいました。
ふふ、今日も猟の祈願でしょうかね?
そうして狩人さんとたわいの無い話をして、私は再度洗濯へ。
こう天気が良いとお洗濯が捗りますよ。
「あー、いましたいました。シスター、ちょっと用事があるのですが」
と、そんな私の元へこの教会に務めている少年程の若き神父さんが。
「神父様、どうしました?」
「シスター。すみませんが、貴女にお使いを頼みたくてですね」
「お使いですか?」
「ええ、ちょっと私が行っておこうと思ったのですが生憎用事が出来てしまって、買い物とこれくらいの金額のお金を下ろしてきて頂ければと思いまして」
神父様はそう言って私に紙を一枚。
そこには買ってくる物とあと下ろす金額が。
「分かりました。お洗濯が終わり次第行って参ります」
「すみません。ありがとうございます。では」
そうして神父様はお使い用の金額を渡されると教会の方へ。
そういえば今日、町の教会の会合があるんですもんね。仕方無いです。
という事でここは私が行ってきましょう!
洗濯を終えた私は早速町に降りていきます。
町はやっぱり人も多くて賑やかですね。
「あー! シスターさん。こんにちは」
「はい。こんにちは」
ですけど、こうやって挨拶してくれる方もいるので不快な思いはしませんね。
っとと、このスーパーですね。頼まれていた買い物の場所は。
そういう事でスーパーの自動ドアをくぐり私は中へ。
それで今日買う物は、ほとんど食材とかですね。そういう訳でカゴをカートに乗せスーパーの中を探索、探索……。
と、ふと洗剤コーナーが目にとまりました。
あ、そういえば柔軟剤と食器用洗剤残り少なかったんでしたね。このメモには書いてないですけど必要ですし買い足しておきましょう。後で神父様に言えば大丈夫ですしね。
という訳でカートの下に洗剤類を入れます。個人的に柔軟剤は液体タイプが良いんですけど粉タイプしかなかったのがちょっと残念ですけど、無いよりはマシですよね。
私は買い物を終え次の目的地へ。
銀行に来る事は滅多に無いのでちょっと緊張。とりあえず整理券をとって座って待ちましょうか。
それにしても柔軟剤って結構重いですね。
そうして座っていると、突然乾いた音が。
「オ金ヲ出シナサーイ!」
その次にはいつの間に現れたのか覆面を被った人がそんな事を言って手に持った拳銃を銀行員さんに向けています。
あわわわわ!! ど、どどどどうしましょう!
「よ、要件はなんですか?」
「オ金デース!」
ヤバイデース! 相手は凄い勢いでリボルバーの回るところ回転させて脅迫しています。どどど、どうしたらいいんでしょう!?
えーと、えーと。
「シスターさんこれ借りるねぇ」
と、そんな私の隣にいるお婆さんがそんな事を。
見ると私の買い物袋にある柔軟剤を手に。
するとお婆さんはその箱を強盗の方へと投げ、見事着弾。
「ナ、ナンデースカ!?」
そう狼狽える強盗さんですけど、な、なんと柔軟剤の箱がぶつかった拍子に開き中から粉が!
「今じゃな」
そう聞こえたかと思うと、お婆さんはさっきまで腰が曲がっていたとは思えない様な跳躍をして
「ナ、ナンデースカー!」
「お黙り!」
そんな声が聞こえ、何かの打撃音。
そうして静まりかえる銀行内。
煙が晴れるとそこには―――
「全く世話の焼ける孫だよぉ」
―――覆面を被った強盗を肩に担いだお婆さんの姿が。
「すみませんねぇ。皆さんに迷惑をかけてしまって」
謝罪しながらお婆さんはその覆面のお孫さんを係員さんに渡し、全てが解決しました。
凄い早業。
こうして私は無事にお使いを済ませて教会に帰りました。
丁度、神父さんも帰って来ましたね。そういう事でお使いの物を。
「ありがとうございますシスター」
「いえいえ」
「あのー、ところで」
「?」
「この四五五円は何に使ったんでしょうか?」
あ、柔軟剤―――!
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