第14話徹夜明け
☆★☆
高城の家に上がってからは、部屋に籠って43インチのテレビ画面にずっと向き合って、FPSのゲームをしていた。
あまり馴染みが無かったが、オンラインで100人の中でチームを組み、フィールドとなるマップに同時に降り立って、落ちている銃を拾って、武器にして互いに殺し合い、最後の一人になるまで競い合うといったバトルロワイヤルゲーム。
最初の数戦は、高城の指示に従うだけで、何が何だが分からないまま試合が終わってしまい、面白みを感じなかったが、初キルしたら一気に変わった。
「な? 面白いだろ?」
「うん」
高城の思惑通りになってしまったことは、少し面白くなかったけど、それよりも脳内からドパミンがとめどなく放出される感覚に僕は支配されて、素直に頷いてしまった。
スカっとした。
要領もそこで掴めたこともあって、そこからぶっ通しで熱中した。
☆★☆
気がつけば、太陽が昇り始め、カーテンの隙間から朝陽に光が部屋に差し込んでいた。
「グゥ……グゥ……」
隣では静かにいびきをたててフワフワの絨毯が敷かれた床にお腹を少し出して雑魚寝している高城が。
徹夜でぶっつけでゲームをやりこんでいたからだろう。
途中から高城はウトウトしていたが、夢中になっていた僕に付き合ってずっと起きていた。
(このままにしておくのは不味いな)
そう思い、肩をゆさゆさと揺らして
「そこで寝たらダメだろ、上で寝なよ」
「……ぁ」
一応のレスポンスは返すものの、意識があるのかないのやら。
とりあえず、無理矢理、高城の手を肩に乗せて起き上がらせ、そのまますぐ傍にあったベッドの上に転がした。
そして、テレビと蛍光灯を消して僕はリュックを持って立ち上がった。
一瞬、くらっと立ち眩みしたが気になるほどじゃない。
もう電車も動き始めている頃だろう。
「じゃあ、そろそろ僕は帰るけど、鍵は開きっぱなしだけど良い?」
「……ぉう」
了承を得て、僕は高城の玄関のドアを開けて、エレベータに向かいそのまま一回まで降りた。
途中、ずっと同じ姿勢をとっていたせいか、肩が凝っていたので、肩をグルグル回し、案の定、ゴキゴキ、ポキポキという音が鳴った。
(……ゲームやりすぎたかな)
少しだけ眠気が襲ってきて、足に力が入らないが、目を瞑ればプレイ画面が脳内に映し出され、頭からそれが離れず、興奮が抑えきれない。
「……ふぅ」
興奮を鎮めるために、一息ついて呼吸を整えた。
同時に重力も徐々に減少されてフワッとした重力感がなくなり、「一階です」というエレベーターアナウンスと共に、ドアが開いたので、そのまま足を前へと運ぶ作業をし、そのまま駅まで向かった。
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