7.さらに追い込まれる教員たち。








「それで、この一件について弁明はありますか?」

「………………あのー」

「なんでしょう?」



 教員室の中心で、アインを追い出した一同は正座をしていた。

 その前に立って腕を組むのは、一人の女子生徒。腰まである赤い髪に、鋭い金の眼差し。スラリとした体躯をしている、美少女といって間違いなかった。

 しかし、そんな一生徒になぜ教員は詰問されているのか。


 その答えは、少女の素性にあった。



「ナタリー王女がなぜ、アイン・クレイオスのことをご存知で?」



 そうなのである。

 この少女――ナタリー・ガリア・ガルガディアは、この王都を統べる国王の一人娘。学園の生徒でありながら、立場は教員よりも遥かに上なのだった。


 さて、そんなナタリーがなぜ、という問いに対して答えた。

 彼女は一つ鼻を鳴らし、こう言う。




「私はアインを、将来の旦那――国王にしたいと考えていましたから」

「…………へ?」




 その言葉に、間の抜けた声を発する教員一同。

 だが、そんな彼らを無視してナタリーは話を進めた。


「今回の一件をお父様に知られると、貴方たちの首は飛ぶでしょう? そうはなりたくないでしょうから、私が便宜を図ろうと言っているのです」

「べ、便宜ですって……!?」


 少女の言葉に、教員のリーダー――フリーラスが表情を明るくした。

 だが、しかし……。



「ただし! 一つだけ、皆さんにお願いがあります」

「…………」



 その直後、ニッコリと悪戯な笑みを浮かべたナタリーを見て。

 教員たちは表情を曇らせた。


 嫌な予感がする。

 そして、その予感は――。




「私がアインに会いに行っている間、お父様や学長にバレないよう、カモフラージュをお願いしますね?」







 ――的中した。


 条件を受けても地獄、受けなくても地獄。

 フリーラスを始めとした教員たちは、涙目で頭を抱えるのだった。



 




――――

思ったよりバタバタだよ! お正月!!


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