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不在の友を想う
 ̄- ̄- ̄- ̄-
かつて多くの中学生に使われていた教室は五クラス備え付けられていて、私たちは
眼に飛び込んだのは
そこには人が居た。窓際に腰掛けて打上華火を見ていた。
「隣、良いですよ!」
私よりも二つか三つ年下くらいの青年。
――
初対面の
言葉に甘えて彼の隣に腰を下ろす。零は私と青髪の青年から少し距離をとり、ロッカー近くの窓際に登って長い右脚を三角に曲げ、それを枝かと思うほど細長い手でかかえて華火を眺めていた。
満開の月が華火を、華火が
もしもこの情景に流星群とは違った呼び名を付けるとしたら、そうだな、私だったら――、
「流星群みたいですよね」青年は想い出を懐かしむように云った。心を読まれたか。「ははは。昔、よく空想したものです。」乾いた笑い声が華火に吸収される。
「そんなに好きなら、
華火になって消える? 素敵な話じゃないか。そんな死に方も
つまりね、死とは再生だよ。地球に生けるほぼ全ての生物は、命を落とす時にはしっかり死ぬ。死からは避けられないのだよ。なぜなら皆、再生のために死ぬわけだ(?)。
人間の致死率は百パーセント。だから私はね、自分の人生の最期くらいは、痛い・苦しい・窮屈、という三大責め苦だけは避けたいのだよ。
「本当に消えたらどうする?」私は神影さんに
「華火には、
その言葉も華火に
教室内は厚手のコートのように
懐かしい。懐かしいなあ。
なぜ懐かしいと感じるのか判らない。この青髪をした青年を知っているような、どこかで会ったことがあるような、親しい友人であるかのような。もうずっと遠くで交流していた気がする。なんだろう、この感覚はなんだ? デジャヴってやつか? そんな
華火が散った。青年は目を見開いて、はっとした表情で声をかけた。
「司さん」
「僕、あなたに――――」
ぐしゃっと音がして、神影青年の首から上が潰れた。
頭があった場所には、血みどろの平行が机状に広がっている。
鮮血と肉塊が落ちた。神影青年はもう何も云わなかった。
私は神影青年から眼が離せなかった。蒼髪青年から人間らしさが出てゆくのを見て、
八月・血痕・宙を見る。 神影と高校生になった僕 @Natsu0415
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