最終話 表彰式

 払い戻しを終えて、ホクホクとした表情のアリサ。異世界とはいえ、競輪の神様との勝負に勝利。静岡競輪場での美味しいグルメも堪能した。やはり静岡といえば、静岡おでん。久々の静岡競輪場のおでんは格別だった。

 アリサや、その他の客の目の前では、競輪GPの表彰式が始まっている。既に周囲は暗くなっていたが、競輪場のナイター照明のおかげでそれも気にならない。

 終日、風があった静岡競輪場。この時間も風が強めに吹くが、それでも多数の客が表彰式を見ていた。皆、優勝した④番選手の栄光を讃えているだろう。を除いて。


「もう!神様、いつまで項垂れるのよ!」

 競輪の神様に語り掛けるアリサ。しかし、反応がない。神様にもかかわらず、

「ううっ・・・。何という年の瀬だ・・・」

「もう!神様なんだからをしないでよね?後で、コンビニでカップ酒でも買ってあげるわよ」

 適当なことを言って神様を慰めるアリサ。

「競輪の神様としては悔しすぎる結末だ・・・」

「まあ、私がゴッド車券師ってことかしらね?」

 神様をコケにしたような物言いのアリサ。すると、神様は右手の人差し指でアリサを指さした。


「来年こそは、来年こそは・・・」

「えっ?来年?」

 神様のお言葉に思わず動揺するアリサ。これでおしまいではないのか?

「もうよい。さっさとへ帰るがよい」

 神様がそう言った瞬間、眩い光がアリサを包む。

「えっ!ちょっと!待って!まだ―」

 その瞬間、アリサの意識が飛んだ。



 ハッと目が覚めたアリサ。周囲は暗いが、今までいた場所とは異なっている。

「ここは・・・?」

 そこはアリサの住む街・立川だった。

「元の世界に戻ったの・・・?」

 周囲を見渡すアリサ。そこには誰もいない。無論、競輪の神様の姿もなかった。

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