第6話 運命の瞬間
「来たああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
ガッツポーズと共に地面へ崩れ落ちるアリサ。彼女の周囲でも同じように歓喜に沸く人々。水色のユニフォーム、④番の選手が真っ先にゴール線を通過した。
ゴール後、④番選手がバンクを一周して戻って来る。そして、ホームストレッチ側に集まった観客に向かって手を振る④番選手。それに答えるように手を振り返す群衆。
「イエス!やったわ!三連覇だわ!」
アリサも④番選手に手を振った。優勝した④番選手が自らのヘルメットを群衆に向かって投げた。
静岡競輪場、2コーナーの大型モニターにゴールの瞬間のリプレイ映像が流れる。
「そっ、そんなぁ・・・」
アリサの傍らで競輪の神様は力無く崩れ落ちる。
「こんなことって・・・」
「うひゃあああ!見た?神様!見事、三連勝よ、私!」
興奮が冷めない様子のアリサ。
競輪GPの確定放送が大型モニター流れる。優勝は④番。二着に③番。三着が②番であった。アリサの予想である三連単BOX①②③④⑤は、見事に的中したのだ。
「ヤバいわね、私!神様に三連勝しちゃった!ねえ、神様。聞いてる?」
アリサが問いかけても神様は膝を落とし、項垂れたままだ。
「くううううううっ・・・!」
歯を喰いしばるような声をあげる競輪の神様。方や、勝利の余韻に浸るアリサ。
「いやあ、完璧でしたね。私!」
アリサのドヤ顔を恨めしそうに見る神様。
「ふんっ!そんな、①②③④⑤のBOXで買えば、当たるのは当たり前じゃろう!」
「でも、当たりだし!私の勝利だし!」
「⑥番が優勝って言ったじゃないか?全然、違うじゃないか!」
「でも、ちゃんと勝利の条件を満たしてるし!」
「くううううううっ!まさか、三連敗とは・・・」
痛恨の三連敗に立ち上がれない競輪の神様だった。
「やっぱり異世界でも競輪は楽しいわね!」
これ以上何も言うことのないアリサだった。
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