第2話 競輪の神様、今年最後の挑戦!!
暗闇から現れた老紳士に狼狽えるアリサ。よもや、競輪場以外の場所で、競輪の神様との遭遇を予期していなかった。
「なっ、何よ?こんな夜遅くに現れるなんて非常識じゃない?」
アリサの問いかけに全く動じる様子のない神様。すぐさま、彼女へこう言う。
「神様にはお前たちの常識など然したることではない」
凄い言われようだが、ここで押し切られるアリサではなかった。
「大声で助けを求めてもいいのよ?」
しかし、そんなアリサを一笑する神様。
「そんなことをせずともよいわ。気づいているのであろう?私が現れたことは何を意味するのか?」
競輪の神様の問いかけにムッとしたアリサ。悔しいが、その指摘は図星だったのだ。
「ふんっ!何となくわかっているわよ!」
アリサはそっぽを向く。競輪の神様が現れたということは目的は一つだろう。そう、また競輪予想での勝負だ。
「小娘よ。私はお主を相手に二連敗中だ」
「そうね。私が二連勝中ね」
そこは少し得意げに答えたアリサ。が、神様は顔色一つ変えずに話し続ける。
「クイズじゃ。寛仁親王牌、競輪祭ときたら、その次に来るのは一体何でしょう?」
十月の寛仁親王牌。そして、十一月下旬の競輪祭。これが終了すれば、年末に待ち構えるのが競輪GPだ。
「競輪GPね」
「その通りじゃ」
「つまり、今回はそれで勝負ってことね?」
「そうじゃ。一年の総決算。競輪GP予想での勝負じゃ」
平静を装うアリサだが、内心は少し焦っていた。競輪GPの予想ほど、一筋縄でいかないものはない。今までの二回の予想勝負はアリサの勝利だったが、今回は負けるかもしれないという不安があった。それほど競輪GPの予想は難しいのだ。
「少し焦っているのではないか?」
「ちっとも。むしろ、競輪GPの予想ほど、ワクワクするものはないわね」
弱みは見せまいと強がるアリサ。
「なら、話は早いな。では、来てもらおう!競輪GPの地へ!」
神様がそう言った瞬間、眩い光がアリサを襲う。
「ひゃあっ!」
その瞬間、アリサの意識が飛んだ。
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