第9話

「君、カリヤ君っていうんだね」

「はい、カリヤです」

早速入れてもらった隠れ家ラベンダーはこじんまりとしているものの、狭さを感じさせない工夫をされており、不思議と窮屈ではない、サリーとミレイによると、店はミレイ以外にピアというふくよかな体系の男がいるようだ。

「いらっしゃい、シェアハウスへ、住むための部屋はカウンターの向こうにあるよ」

ピアは二人の言う通り優しげなひとだった。

「このドアを通るんだけど、俺には少し細いんだよね」

「痩せればいいじゃん、ピアは太りすぎよ」

「痩せるっていってもね、前の世界ではランニングとかできただろうけど、今はやつらがいて危ないし、いつ街の人に襲われてもおかしくないじゃないか」

「まあ、そうね」

「それに、人形捨て場とかも見ることになりそうだし」

人形捨て場は僕も何回も見たことがある、あそこに足を踏み入れると、残り少ない生気が全部吸い取られそうになるから苦手だ。

「あそこ、不気味だよね」

「カリヤくんも行ったこといるの」

「うん、知人に似てる人形とかあったりするんだよね」

「でもこれ以上太らないように気を付けるよ」

ピアはどうも人形が苦手みたいだ。人形捨て場の話をすぐにそらした。

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