第8話

サリーの開いているシェアハウスに着いた時、足がすくんだ。

あの時は強気に行ってみようかな、とか言ってみたが。人とはほとんどちゃんと関わった事がない。

「あっ、あの子がシェアハウスの住民の一人だよ」

サリーは向こう側から歩いて来る黒髪ロングの少女を指さした。

「サリー、その子は」

「この子は新しいシェアハウスの住民だよ。カリヤ君」

「カリヤくん、初めまして、私はミレイだよ」

「ミレイさん、初めまして、カリヤです」

『新しい住民』自分のことを受け入れてくれている、今更ながらに実感した。

「さあさあ、このお店に入ろ、隠れ家ラベンダーは私が運営してるんだよ」

「こんなに治安が悪い場所で店なんてできるんですか」

「うん、何とか出来てる、なるべく目立たなくしてるから、あと敬語禁止ね」

「はい」

「早速敬語使ってるし」

今でも歪んでいない場所はあるのか、そう気づかされた。

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