第48話
(※ナターシャ視点)
「……ナターシャ、万能薬が効いていないというのは、嘘だったのか」
「え……」
いったい、どういうことなの?
どうして彼が、突然そんなことを言い出したのか、私にはわからなかった。
予想外の展開に驚き、私はそれ以上言葉が続かなかった……。
「どうした、ナターシャ。私は聞いているんだ。万能薬が効いていないと言っていたのは、嘘だったんだな? 返事をしろ」
「……な、何を突然言っているのよ。私があなたに、嘘をつくはずがないでしょう?」
私は反論した。
しかし、頭の中は混乱していた。
どうして、突然嘘がバレたの?
アーノルドは明らかに、私が嘘をついていたと確信している様子だ。
「そうか……。認めないつもりなんだな?」
アーノルドが、今までに見たことがない恐ろしい表情で、こちらを見ていた。
よく見たら、彼の目の下にはクマができている。
昨日は、一睡もしていなかったのだろうか……。
それに、どうして嘘がバレたのか、わからないままだ。
もちろん、その理由を彼に聞くわけにもいかない。
聞けば、私が嘘をついていたと認めるようなものだ。
「ねえ、アーノルド、今日のあなた、少し怖いわ。どうしていきなりそんなことを言い出したのかわからないけど、そんなのは勘違いよ。万能薬を飲んでも、私の体は、思うように動かないままよ」
私は自分の嘘を認めるつもりはなかった。
いったいどうして嘘を見破ったのかわからないけど、証拠もないのに、認めるわけにはいかない。
どうにか説得して、勘違いだと思わせるしかない。
しかし……。
「嘘をつくな! もう、万能薬が効いていることはわかっているんだ! いい加減に、嘘をついていたと認めるんだ!」
アーノルドは、私の言うことを信じてくれない。
どうしてなの?
どうして急に、こんなことになってしまったの?
「ねえ、アーノルド、お願い。私の言うことを信じて……」
私は涙を流しながら、必死に懇願した。
しかし、私の泣き落としは彼には通用しなかった。
「認めるつもりがないんだな? それなら、こちらにも考えがある」
そう言った彼は、信じられない行動に出たのだった。
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