第47話
(※ナターシャ視点)
いったい、どうしたのかしら……。
アーノルドが突然手を握ってきたのは驚いたけど、彼に触れられるのは、素直に嬉しかった。
私が食事をしている間も、彼は私のことを見つめていた。
私の手を握ったり、じっと見つめたりと、今日のアーノルドは、やけに積極的だ。
でも、こういうのも悪くないわ。
私は気分を良くしながら、次々と料理を口へ運んだ。
そして、アーノルドが作ってくれた料理を、すべて食べ終えた。
「ごちそうさま。今日の料理も、とっても美味しかったわ。いつもありがとう、アーノルド」
私は彼に微笑んだ。
そして彼も、私に笑顔を返してくれた。
「ねえ、アーノルド、今日は、どこかへ出掛けたいわ」
「ああ、そうだね。どこへ出掛けようか」
彼は私の手を取りながら言った。
「うーん、そうねえ……、今までに、行ったことがないところへ行きたいわ。どこか、良い場所はないかしら?」
私のその言葉に対して、彼は返事をしなかった。
彼は、私の手をとったまま、じっと見つめている。
「ねえ、アーノルド、聞いている?」
「ああ……」
私の手を見つめていた彼は、顔を上げた。
しかし、その顔には、今までに見たことがないような表情が浮かんでいた。
そして彼は突然、信じられない言葉を口にした。
「……ナターシャ、万能薬が効いていないというのは、嘘だったのか」
「え……」
いったい、どういうことなの?
どうして彼が、突然そんなことを言い出したのか、私にはわからなかった。
予想外の展開に驚き、私はそれ以上言葉が続かなかった……。
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