第5話
(※ナターシャ視点)
いったい、レイチェルが私のことを、なんと言っていたの?
私を見て、周りの人たちがコソコソと話していたことに、アーノルドが気付いた。
そして彼は、近くにいた人に尋ねた。
「さっきからあなたたちは、ナターシャを見て何かコソコソと話しているようですね。はっきり言いますが、非常に不快です。そういうのはやめて頂けませんか?」
さすがアーノルドだわ。
私のことを気遣って、怒ってくれている。
そして、怒りに任せるわけではなく、あくまでも紳士的に対応している。
あぁ、やっぱりあなたって、素敵だわ。
「あら? ごめんなさいね。べつに、悪口を言っていたのではないのよ。不愉快な思いをさせるつもりなんてなかたのよ」
「では、いったい彼女を見て、何を話していたのですか?」
アーノルドが再び尋ねた。
「いえ、ただ、ティベール家のお嬢さんが言っていたのは、あの子のことだったのね、と話していただけよ」
「レイチェルが、ナターシャについて何か言っていたのですか?」
「ええ、あなたのことを、親友だといっていたわ」
彼女は、私の方を見てそう言った。
え……、どういうこと?
レイチェルが、私のことを親友と言っていた?
いったい、どういうつもりなの?
彼女が私のことを、親友だなんて思っているはずがない。
それに、どうしてこんな一般の人に、そんなことを話したの?
「あの、それって、レイチェルがあなたにそう言ったんですか?」
「ええ、そうよ。まあ、言ったというか、見たんだけど」
見た?
ますますわけが分からなかった。
私の知らないことが、何が起きているということ?
なんとなく、嫌な予感がした。
*
(※レイチェル視点)
私が倉庫で探していたものを持って、友人に会いに行った。
それが、一週間前の話だ。
もしナターシャが町に出たら、きっと混乱する事態に遭遇するだろう……。
復讐への計画はすでに動き出している。
そして、ナターシャがどのように行動するかで、その結末は変わる。
彼女がどのように行動するのか、そして、どのような結末を迎えるのか、今からそれが楽しみだった……。
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