第4話 クリスマスイブ

そして、何もできないまま1週間が経っていた。

いよいよ明日がクリスマスなのに……。

まだ何もできていない。どうしよう?

あいつらのLINEグループの

盛り上がりは凄かった。





いよいよ明日だね


本当に行くの?


ライブ配信でもやってほしいわ


そんなもの誰がみるんだよ!


お前らに興味を持つものなんていないんだよ





こんな状況で振られたなんて言えない……。

でもこのままだと……。

プルルル プルルル

慌てて自分の携帯電話を確認しに行った。

そこには真田という名前があった。

どうして?


「もしもし……」


「もしもし……ごめんね」


なんだか電話の向こうに誰かの声が

聞こえたような気がした。


「何の用?」


「私、昔からずっと

拓人君の事が嫌いだったの。

だから罰ゲームで付き合うと決まった日、

私は絶望した。

だからもう私と関わらないでください」


……これが彼女の本音だった。

そうだよね。

僕に彼女なんか出来るはずがない。

そもそもこれは罰ゲームだもんな。

僕を好きになる女性なんてこの世にいない。

だって……人と上手く話す事が出来ないから。


「分かった。今までありがとう」


「ごめんね……。

明日、プレゼントを渡したいから

駅で待ってて……」


電話はそこで切れてしまった。

もう僕の恋は終わったんだ……。

明日はクリスマス。

最後に僕の気持ちを直接伝えに行こう。

そうだ……。

彼女が欲しがっていた

熊のぬいぐるみを持って……。

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