現代3G訳

-想い人を失った青年は、想い人を絵に描き写した。


-その青年は、四百四十四夜、想い人の名を呼び続けた。


「よっす。」


「いたい。」


「何それ?何読んでるの?」


「これ?レポートで使おうと思ってる民話。」


「ふーん。どんなの?」


「まあ、ざっくりと言えば、恋人の事を思って、


 青年が、毎日、その、【どすこい独り相撲】をする話。」


「何それ?【相撲】変態の話?」


「いや、まあ、その恋人ってのは、絵なんだけど…」


「はぁ?【どすこいちゃんこ】なん?」


「いや、まあ、【どすこいちゃんこ】というか、恋人の絵を描いたんだよ。」


「はあ、何だ、つまりは、漫画派って訳か。」


「いや、まあ、写真派に近いのじゃないの?」


「あー、まあ、そうか。しかし、絵で【ドスコ】って、よっぽど、その恋人の事が好きだったんだな。」


「444夜続けたんだって。」


「え、土日も?」


「勿論、しかも、毎晩4回ずつ。」


「何それ、獣じゃん。」


「まあ、ねえ。」


「え?それ、何か4に意味あんの?」


「うーん、分からないけど、ほら、東西南北とかも4だし。」


「しかし、ナニだねえ。すごいね精【神】力。ほとんど修行じゃん。」


「食べ物も豊かじゃなかっただろうしね。何を食べてたんだろね。」


「だいたい、どれくらい昔の話?」


「えーと、1万2千年前だって。」


「なんだ嘘か。」


「ちょ、違う違う。今でも伝わる民話で、岐阜県には、神になった青年をまつる神社だってあるんだから。」


「青年、神になったの!?」


「そう。444夜目に、天界にのぼったんだって。」


「はぁ?何?なんだ?てことは、毎晩、【大関・木之本】たん【大関・木之本】たん、うう、【はっそうとぶゅ】、はぁはぁ、【大関・木之本】たん【大関・木之本】たん、うう、【はっそうとぶゅ】、はぁはぁ、【大関・木之本】たん【大関・木之本】たん、うう、【はっそうとぶゅ】、はぁはぁ、【大関・木之本】たん【大関・木之本】たん、ううう、【はっそうとぶゅ】、ってのを繰り返して神になれた訳だ。」


「ここ図書室…」


「んで、なんて神様なの?」


「えーとね、【渡擦孤居】御名神様、だって。」


「【ドス】ってのは、【どすこい独り相撲】の【ドス】か?」


「んー…いや、【どすこい独り相撲】は外来語、じゃないかなぁ。」


「で、これ、レポートにするの?」


「うん。」


「あー…まあ、頑張れよ。」


-その青年は、四神の力を得、転生を果たした。


-その青年は、飛騨の山中に消え、その後、青年を見た者はいない。



【はてなグループで「DATE: 03/24/2009」に公開していたモノをコンプライアンスに準じて修正しました。】

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