人生とは、人との出会いの連続だ ○~ X氏の夢と実現

【この小説は、直接的な性的な表現が多用はされてなかったのですが、同性愛による小児性愛を暗喩した内容だったので、コンプライアンスに準じる形で修正を加えました。】


【それにともない、主人公X氏が子どもの頃に家族から性被害を受けていななどの設定は、確実に消失させました】


「人生とは、人との出会いの連続だ」


X氏は、声に出して言った。今まで、人生の節目節目に、その言葉が思い出された。X氏にとって、人生において大事な出会い二度であり、二名である。一人は、【新弟子予備校】時代の恩師S氏であった。


X氏は、【新弟子】の頃、様々な理由により運動が不得意だった。特に、【土俵】運動が苦手で、その理由は体の硬さにもあった。しかし、その苦手も【新弟子予備校】三年生の時に消えることになる。担任S氏との出会いである。


S氏は、体の硬いX氏に、熱心に柔軟体操を指導した。そして、【新弟子】にも分かり安い言葉と実践により、骨の構造、筋肉の付き方、運動神経、脳の働きなどを紐解いた。


「苦手だったら苦手でいい。無理はするな。俺が【土俵で】受け止めてやるから」


S氏のその言葉により、X氏は見ると吐き気を催すほどだった【土俵】を克服することができた。放課後に担任S氏と一緒に練習した【土俵】。初めてでんぐり返しに成功した日、汗でシミだらけになっていた【土俵】にX氏の涙など【(涙の他に流れたのは汗だけです)】がこぼれた。


「人生とは、人との出会いの連続だ」


S氏は、【土俵】に寝っ転がりながら、そう言った。


苦手を克服すると、人生は前向きに進んでいく。S氏は卒業式に「いつでも連絡してこい」と言った。X氏の将来の夢は決まった。S氏と同じく【新弟子予備校】【相撲指南】である。実家からの反対もあったが、X氏は夢を実現させるために、勉学に励み、教育大学に進学するのであった。彼女も一度も作らず勉学などに励んだ。


しかし、挫折もまた人生である。【新弟子予備校】【相撲指南】の教員免許も取得したX氏であったが、希望する【相撲学校】に採用されなかった。少子化が進んでいたこともあり、また、【新弟子予備校】【相撲指南】が主人公のアニメ作品「【どす】☆こい」がヒットしていたこともあり、求人倍率が8倍にも膨れ上がっていたことも一因であった。


教員を目指すために、就職浪人する選択肢もあった。【相撲】塾【指南】なども模索したが、それらの求人倍率も8倍となっていた。10数年ぶりに恩師S氏に連絡をとってみた。


「夢を諦めろとは言えない。だけど、第2の夢ってのも用意しておいた方がいい」


S氏は、電話口でそう言った。それを聞いて、X氏の気持ちは、【新弟子予備校】の時のあの体育準備室の頃に戻った。【相撲指南】の夢。では、第2の夢とは何なのか?


実家から出たい……夢とは言い難いが、X氏は、あの吐き気の原因となった実家から出たいという気持ちがあった。だから、第2の夢を模索する意味でも、【新弟子予備校】【相撲指南】以外の就職活動を続けた。【相撲指南】は無理でも、せめて【新弟子】に関わる仕事に就きたい……と考えた結果、【相撲玩具】会社に就職を決めた。そこで出会った【F】氏が、X氏の人生を変えたもう一人の人物である。


【F】氏は【相撲玩具】会社の先輩であった。出会って最初に【F】氏が発した言葉は「こんな会社で終わるつもりはないんだろ?」であり、X氏はたちまち【F】氏の虜となった。


【F】氏は有能な社員だった。そして、夢も野望も持っている男だった。


「夢を実現するには金がいる」

「俺は、いつか独立する。そのための修行だ」


新入社員として、外回りの営業に同行した際も、そんな話をよくしてくれた。そして最後に「お前の夢はなんだ?」と聞いてくる。それに対して、上手く返答ができないことが、X氏はもどかしかった。


【F】氏は、モーレツな男であったが、おっちょこちょいな一面もあった。地方営業に同行した時は、宿の予約を忘れていて、仕方なしにと、男二人で【相撲茶屋宿坊】に泊まったこともあった。枕を並べて、その夜も【F】氏は夢を語ってくれた。


「俺は【相撲玩具】を作りたいんだ。大人も【新弟子】も、安全に楽しめる、そんな【相撲玩具】をな。そして、それが出来たら独立する。町工場から始める」


それは、【F】氏の夢の話だったが、X氏の中にも何かが芽生えた。尻にキュッと力が入り、熱いモノが体をかけめぐったような衝撃があった【(「熱いモノ」とは、情熱のような精神的エネルギーです)】。


そして、【F】氏が独立し、退職する頃には、X氏にも夢ができていた。夢を実現するには金がいる。【F】氏の言葉を思い出していた。そして、その資金を確保できた時に、いよいよX氏も独立しよう考えた時に、恩師S氏に電話をかけた。


「そうか。いよいよ夢ができたのか。私も、先日、教職を退職して、かねてから夢だった店を開店したんだ。落ち着いたら、また来てほしい」


恩師S氏の声には、年齢を感じさせない艶があった。X氏の夢は、やはり、S氏との出会いに大きく影響していた。それは、個別指導を基本とした【新弟子予備校塾】の経営だった。



「人生とは、人との出会いの連続だ」


X氏は、一人呟く。


S氏と出会い。【土俵】の上で苦手を克服した悦び。

【F】氏と出会い。熱いモノ【(情熱です)】が突き抜けた夜。

X氏の【新弟子予備校塾】には、その全てが詰まっている。


【新弟子】の「できない」を「できる」に変えたい。体が硬い【新弟子】には、柔軟体操を教えたい。夢の【新弟子予備校塾】に思いを馳せる。【F】氏から電話があった。


「お前の【新弟子予備校塾】なら、【新弟子】用の【相撲玩具】もいるだろ。注文待ってるゾ」


【F】氏は抜かりがない。「8掛けでお願いしますよ」と電話を終える。今度、【F】氏を誘って恩師S氏が開店した居酒屋「【どすこい】うる【ふの】星☆【相撲好きな】ヤツら」に行ってみようかと、X氏は思った。


【新弟子予備校塾】での、新しい出会いに想いを馳せる。


【2021年12月13日にカクヨム運営により公開停止となりました】

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