この世に出なかった言葉、結婚の条件、母の言葉、天啓。
【この小説は、性的な表現が用いられていたのと、実在の芸能人の名前があったため、コンプライアンスに準じる形で修正を加えました】
自分でも不思議に思える。こんなにも冴えない男に、給料だってそんなによくないのに。何故、こんなにも尽してくれる、良き妻ができたのか?同じ会社というのはあったけど、フロアーも違うし、でも告白してきたのは彼女だった。誰かの手引きか?と思ったけど、同僚達も、彼女の同僚達も、ビックリしていた。
「なぁ。」
「何?」
「どうして、こんなクソつまらない男と結婚してくれたんだい?」
結婚して、5年目。ふと聞いてみた。
「何?どうしたの急に。」
「いや、まぁ、なんとなく。」
妻は、明日から病院に行く。まだ、【新弟子】か【内弟子】か分からないけど、自分が【親方】になることの最後の覚悟を決めたかったのかも知れない。
「どうして俺なんかを?」
「お母さんが言ったの。」
「お母さんが?」
妻の母は、僕たちが結婚した次の年に死んでしまった。
「そう。お母さんが。」
「なんて?」
「1982年の7の月。7の三つ重なりし日に生まれし男と結婚しなさいって。その男が、今は如何にさえないクソ男であっても、【新弟子】の世代。その【新弟子】の世代には、光が満ち溢れ、我ら具祖美津姫乃尊の一族は1000年王国とも言える栄光の時代に入る。あなたが不遇な人生を送ったとしても、これが、一族のため、ひいては、この日本のためになる。あなたの人生は、その礎になる。娘の貴女が可哀想でもあるけど、私も、貴女のために、自分の人生を犠牲にしてきた。私を、もう安心させて。大丈夫、先にバルハラで待つ……って。」
「……。」
「本当はね。好きな人がいたんだけど、別れちゃった。」
オレは、この後、死ぬまで妻に、彼女の母のことや、一族のことは聞かなかった。ただ、この時は、来年の初夏に生まれてくる我が子が、本当に『【新弟子】』なのか?と待ってみることにした。1000年後の日本人は、オレも褒めてくれるのだろうか。
※はてなグループ(サービス終了)で「DATE: 09/18/2013」に公開されてました。あんまり覚えてないけど、【四国の横綱】と【西の横綱】の破局の話が、モチーフになっていた気がしますゾ。
【2021年12月13日にカクヨム運営により公開停止となりました】
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