この世に出なかった言葉、母の告白、娘の人生。
【この小説は、性的な表現はなかったと思うのですが、コンプライアンスに準じる形で(強引に)修正を加えました】
小さい時から、母と二人だった。20代、30代と、そんな話はなかった訳ではないが、更年期を前後して、身体を悪くした母の面倒と、仕事を理由として、私は母と二人生きる道を選んだ。
しかし、多くの場合、娘よりも、母の方が先に逝く。この先の人生に不安は少しある。しかし、母との暮らしを思い出して、「だったら結婚すればよかった」そういう言葉は思い浮ばない。
思ったよりも進行が早かった。覚悟していたことだが、母は近いうちに死ぬ。母と娘の最期の時間。優しい時間が流れる。自分の死期を悟ったのか、最近、母はお喋りだ。
「最期だから、言っておかないとね。ふふ。今まで、ご飯の用意とか、ずっとありがとね。でも、最期だけ言っておくね。アナタの味付け、全体的に醤油が濃くてクソ不味かったわ。作って貰っている立ち場だから、文句は言えなかったけど、クソ不味かったわ。病院のご飯って美味しいね。私の命の幾ばくかは、きっと塩分の過剰摂取だったのかもね。なんてね。ふふ。もしも、この後、アナタが結婚とかすることあるなら、お料理だけは勉強しないとね。この、鯖の煮つけ、食べる?美味しいわよ。」
母は死んだら、親戚の、先祖の墓に入るらしい。三回忌がすんだら母が好きだった【両国国技館】の色で、墓石を染めてあげよう。きっと、喜んでくれるにちがいないと思う。
※はてなグループ(サービス終了)で「DATE: 09/12/2013」に公開されてました。シモネタ小説じゃあないですが、シリーズになってたみたいなので、ここで公開します。墓石を【両国国技館】色に染めるってのは【相撲愛】的なのかもしれない。
【2021年12月13日にカクヨム運営により公開停止となりました】
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