第4話
一時間ほどして戻ってきた武蔵は開口一番に「あれは
「本当に面倒ごとを押しつけてくれたものだ」
「おいおい、まさかそんなわけがないだろう」
「いいや、まず間違いない。悪霊を払ったところで全くいじめをしなくなるかと言えば、そうとも言い切れないが、少なくともいじめは
まさか、いじめが霊によるものだったなんて。
……笑えない冗談だ。
顔が引き
「
どうするもこうするも、もはやどうでもよかったが、俺は武蔵に同行することにした。時間は有り余っている。
どうってことあるのは、俺の感情の行く末だった。
倒すべき敵が
図書館を出て向かったのは、近くのコンビニだった。
行き先を
店長ということは人間か。てっきり武蔵と交流のある人間は俺だけだと思っていたが、どうやら違ったようだ。
「おらおら、どうした。そんな生ぬるい
笑いながら刀を振るう彼女はさながら
あっけなく武蔵を店の外に押し出して
武蔵を相手にしているため、他の客や店員がこちらを振り向く様子はない。この出来事も、視えない人間にとっては無かったことになっているのだ。
「いやー、ストレス発散には最適だよな。誰にも見られないし、好き放題できるじゃん。ほんと、いつ来るのかと待ちわびていたよ、お姉さんは」
刀をポイと近くの草むらに投げ捨てると、自称お姉さんは「
「それでお侍さん、今日は一体どうしたんだい」
化け物め――と呟いた武蔵の口をがしりと
解放された武蔵は
「一日か二日寝込む程度だ。大したことはない」とあっけらかんと言う北見に、「大したことあるだろう」と武蔵は人として
これではどちらが生きている人間なのか分からない。
「ごちゃごちゃうるせえな。そんな
北見は背を向けると、「息抜きはおしまい」と言いながら手を振って、店に戻っていった。
嵐のような人だった。
北見が店内に姿を消してから少しすると、武蔵は「考えないといけないな」と立ち上がる。
「北見さんの倒し方をか?」
彼は心底
その姿もまた、美しかった。
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