ブラットレディー

@nekochansong03

第1話

サブタイトル秘密警察登場ダークエンジェル小説本文


ブラットレディー


夕焼けはどこでも同じかもしれない。 インドの小都市の街の片隅で、どこにでもいそうな家族の3人の姿があった。母親のように見える女性は、家庭料理のレストランを営んでいる、アーシャというこの町の人で、父親と見える男性は、日本の大使館で事務官の仕事をしている枕野草士という日本人だった。3歳くらいの女の子は、見た通りこの二人の両親から生まれた、一人娘の瑠璃子という、母親そっくりのかわいらしい女の子だった。


母親のアーシャはインドの教育を受け、数学に強く、数学のセンスが良いため、その道に進む希望を持っていたが、生来心臓が悪く、断念せざろうえなかった。心配する両親のもと、両親の経営するレストランで働いていた。


父親の枕野草士は、実は、日本のスパイとして働く、二つの顔を持っていた。草士は物静かな性格で、余暇は読書する文学青年だった。事務官の姿が本来の姿に近かった。たまたまスパイの役目を、日本の為ということで、事務官の仕事を得るときに言われたので、引き受けてしまったいきさつがあった。


最近インド周辺で、過去日本が侵略し、慰安婦問題があり、強制労働等在日の人がいる、某共産圏小国がこの近辺で怪しい動きをしている事があり、日本としてもその小国の動きをつかむ必要があり、適当な者にその任務を任せることになったのである。草士は、けん銃の取り扱いと、軽い護身術を習っただけだったし、実際行っているものは、諜報活動がほとんどで、深刻なものはなかった。日本国内にも、二世三世の在日の人もいるので、言葉も日本人とほとんど区別がつかない感じであるので、日本人が担うのは、ある意味理屈が合うことかもしれなかった。


草士は、もともとスパイ活動が、性に合わなかった。事務官の仕事だけできれば、どんなにいいかと思っていた。人知れず鬱屈した思いを抱えていた。


それで地元のレストランでアーシャにあったとき、一気に恋に落ちたのである。アーシャも不本意な生活をし、割り切れない気持ちがあった。お互いに、心の奥にあるものが似ていたのかもしれない。アーシャは明るい性格で、性格は反対だったが、自然とひかれていった。


草士は、同じ立場にある事務官先輩の、源惣氏に相談した。すると、地元となじんだほうが、仕事をしやすいと賛成した。枕野と源は、名前が同じソウジだったので、枕野はそのままソウジ、源は、ゲンさんと呼ばれていた。


 アーシャの両親は、最初はアーシャが一人娘なので、慎重な態度を示した。しかし、結局は事務官の嫁なら負担も少ないため賛成した。レストランの仕事は、浮き沈みがあり、体のことを心配したのであった。


しばらくして、娘が誕生すると、夫婦はますます睦まじい関係になっていった。


草士の願いで、娘には瑠璃子という名前がつけられた。


3人家族はとても仲良しで、余暇も常に一緒に過ごしてもよさそうなのだが、草士はたまに一人で、街をブラブラする程度のことを、することがあった。アーシャはそれがさみしくもあったが、故郷を離れている草士にとって、日本のことをぼんやり考える余裕も必要なんだと思い、我慢した。


ある日、近所の市場にある茶屋で、お茶を飲みながら本を読む枕野を見つけた。瑠璃子と一緒のアーシャは、しかし、メガネをかけている草士に違和感を覚えた。アーシャはそっと近づき、いきなりメガネを取り上げ、「ダテメガネなんてして、」と言った。草士は驚いたようだったが、すぐ気を取り直して、「せっかくだから帰ろうか、」と言って帰宅した。


実はその眼鏡は、諜報のための変装でもあったが、日本から支給された唯一のアイテムで、武器を持っている者に備える、金属探知機みたいなもので、周囲を見れば、武器のありかがわかるのであった。


 その瑠璃子が3歳のころであった、彼女は玄関先で遊んでいた。突然、父親が目の前にいた。「ダディ、」瑠璃子が言うと、彼女の眼に血がうつった。父親の肩が銃で撃たれ、


その時父親は、瑠璃子に対して、奇妙な表情を現わした。


すぐに、待て、という声がして、腕に竜の入れ墨をした男が、草士を銃で撃ち、


父親は瑠璃子に覆いかぶさってきた。


キャーという、母親のアーシャの鋭い悲鳴が響いた。


父親を撃った男の後に、日本人らしき男があらわれたため、


その男は逃げた。


父親は絶命した。


 その後、母親のアーシャはもともと体が弱かったため、ショックで体調を崩した。


アーシャの両親は、瑠璃子の父親にだまされたといい、それ以後は、


日本名を名乗ることも、日本の話題をすることも一切禁じられた。瑠璃子はプージャ・クマールと改名した。


 体調を崩した母親の代わりに、一切を担っていた為か、その両親は、相次いで亡くしまった。


母親は体調のすぐれないのに、頑張って娘を育てていった。瑠璃子も負担をかけないようにはしたが、17歳の時、進学したかったが、アルバイトでもしなけれ、家庭が限界に来ていたので、学業を断念せざろうえなかった。


瑠璃子の小さい時の記憶は、やさしい父親と、


竜宮城などの数冊の日本の絵本と、血の記憶だった。


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ブラットレディー


 それはただ懐かしさからだった。


 あの事件から14年後、日本大使館の事務官の先輩の源惣氏は、某小国が、インドでまた不穏な動きがあったため訪れた。


そこに、依然として枕野一家が住んでいるのかも、不確かだったが、


源はその家を訪れた。そこには瑠璃子がいた。


女の子なので、母親に似ているといえたが、


源はそこに後輩の草士が立っているような錯覚を覚え、はっとした。


母親も源のことを覚えていて、中に招き入れた。


源は、そのような気持ちはなかったが、プージャ・クマールこと瑠璃子が、日本に興味を持ち、勉強したいと思っていることを知ると、プージャは父親の祖国の日本のことが知りたくて、ただ日本文化の勉強がしたかったのである。


プージャに養女として一緒に日本に来るように、誘った。


調べてみると、アーシャの心臓の具合も思ったより悪く、日本の病院で詳しく、診てもらったほうがいいことも、分かった。


しかし、母親のアーシャは依然として、ここを離れるのを反対した。


源は、プージャに本心を打ち明けた。


某小国の日本国の活動が活発になっており、日本の庶民にまで被害が広がっている。それを阻止するために手伝ってほしいと言った。


それで、瑠璃子母親を説得して、日本行きが決定した。


瑠璃子は本当は、日本文化を学べる機会に抗しがたかったのである。


もちろん母親には、日本の諜報活動をすることは秘密にしていた。


日本国内の庶民への被害状況は、詳しくはこのようなものだった。


以前は、トップクラスの日本の中枢に近いものに、金と人脈を使い近づいていたが、そこのコネはもう掴んでいると見えて、


今はその下のお金があり、世間知らずな人々にターゲットを変更し、その財産も心身も利用尽くすという策略になった。


許せないのは、一般庶民を被害者として、その作戦に巻き込んでいるということである。


例えば、某小国から、日本語も、日本の風俗も日本人と遜色ないような、俳優に近い様な容姿の男女を、入国させ、主にキャッチセールスの職に就かせ、


路上で、相手を褒め契り、免許証などの、身分証の精密なコピーを得る。


その後、いいアルバイトを紹介するといい、奇妙なアルバイトを紹介する。


その身分証を偽造し、日本国の戸籍もないのに、日本の身分を取得する。


若い男の子の場合、先に友達とつるんで街で遊んでいる、フリーターのようなひとりをにターゲットする。某小国の身分を偽造した、俳優並みにきれいな女の子に、仲間に入る手引をさせる。


それから、口コミで同じような仲間が集まる。


その中に高校生もいて、


母子家庭で、貧しく、勉学にいそしんでも、今の社会情勢から、出世は難しく、挫折している。


割のいいアルバイトをあっせんしてくれる、飲んで騒ぐ場を提供してくれる、という誘いに乗ってしまう。


現実なかなかナンパも成功しないのに、かわいい女の子と付き合える。最初は確かにそうだったが、アルバイトで飲み屋の定員、コンビニの定員、コンサートや何かの集会の観客等に回されるが、


金も払われず、女の子調達の人員に出されるだけで、うまみがない。


これなら、普通に勉強したり、アルバイトした方がまだいいと思い、母ちゃんにもみとうしは暗いようでも、コツコツ努力してれば、何か良いことがあるよと言われ、


そのとおり仲間に告げ、抜けようとすると、リンチに合い殺された。


若い女の子の場合、売春要員に女の子が集まらない場合、数万円で今の子がそのようなことをするわけがなく、


あるコンビニで、その店長が、(チンピラが集めるくらいしか、売春する女の子集まらないんだって、今お金と、売春する女の子を集めているんだけど、足りないらしい。


それでアルバイト料も入るから、白紙のチケット台紙を横流しすることにした、)という。(だってあなた店長でしょ、)というと、定員の誰かに頼んで、うっかり管理ミスをして、放っていたところ、盗まれたと言えばいい、)と言った。


若い男女の場合、某小国の俳優並みの、身分を偽装した男女の姿を時にはみかけることがあるから、理屈に合うような気がして、抜け出せないのかもしれない。


そのほかに、某小国から、密入国した、容姿も普通の男の子の場合、


同じアルバイトの、日本の同年輩の男の子が、社会の待遇の悪さに、その男の子に同情しすぎてしまい、


その男の子に、ついつい他のアルバイトを手伝ってくれと頼まれ、その男の子の為になるならと、引き受けたが、


それが、某小国が獲物にした者の、身辺でコンビニ定員をしたり、尾行や盗聴をしてその者の相手と定めた謀小国の男との、接近のチャンスを伺うものだと知り、それが犯罪につながる仕事だと、分かり断ると、


監禁された。


その母親が呼び出され、あなたの息子が払った給料に見合った働きをしないから、代わりに働いてくれと言われる。


チンピラの情夫にされ、その夫も不審な外出が多いので、うすうす気づいていたが、その時はチンピラ風の男がいつもそばにいたので言い出せず仕舞いだった。


しばらくしてその母親がはっきり断ったので、縁は切れた。


また他の熟女の場合、


やはりキャッチセールスで、当然のように身分証を貰い、偽造身分を作成し、


キャッチの男はその女性と男女の関係を持ち、AVに強制的に出演させた。


そして、わずかな金銭だけを与えた。


某小国のこの工作員らは、自分たちでは手を汚さず、暴力は日本のチンピラに丸投げした。


これは、どの国でも言えることで、思想の違いは問題にしない。利益の有りそうな所と、チンピラは、簡単に手を結ぶのである。


 話を聞いて、瑠璃子は、怒りでいっぱいになった。


 数か月のうちに、瑠璃子は日本文化を体得した。日本の淑女として、だれも疑いを持たないだろう。源は正直瑠璃子の勘の良さに、驚いていた。かすかに3歳まで日本文化の記憶があったが、その後は一切、意識的に日本文化を排除されてきたのだ。体に流れる血の濃さに驚きを隠せずにいた。


 アーシャは、お花やお茶など学ばせている時点で、疑問を持ち、源に、瑠璃子に、父親の、草士と同じスパイ活動をさせるつもりなのかと、疑問をぶつけた。想像が全く外れてはいないことを悟り、


母親のアーシャは、この事態にショックを受け、心労が重なりついに、落命してしまうのであった。


 源はつづけて、日本料理の習得をさせた。驚くほどに勘が良く、日本の家庭料理と、遜色ない出来栄えだった。源の誕生日の日だった。


源は以前、日本の妻を娶っていたが、子供はできず、嫁に先立たれていた。


瑠璃子は着物をきつけ、手料理をふるまった。日本人の口に合い、「上手」とつい源は言ってしまった。そして思わず、瑠璃子の手を握ってしまったのである。それに対して瑠璃子は驚く様子もなく、源に微笑みかけた。それからふたりは、どちらからともなく、愛の行為を行ったのである。


瑠璃子もうすぐ18歳になる、17歳のことだった。


 源は詳細な任務のことを話しながら、けん銃の使い方、格闘技としての空手、暗号など、諜報部員として必要不可欠なことを、教え込んだ。


 しかし、源と瑠璃子はプライベートでは、その雰囲気は、恋人以上の関係であることは、隠しようがなかった。


ある日、お願いがあるのと、瑠璃子は源に言った。子供を産みたいのと。


瑠璃子の出産は二十歳になる直前で、任務の遂行はそれまで延期されたが、生まれた女の子は、瑠璃子の希望で珊瑚と名付けられた。


 偽造の身分を与えられ、源は上場の会社の、世襲の社長であり、今は相談役として、一線を退いており、上が支えていると下が伸びないというのが、口癖だった。大友悟という名前を名乗った。親子ともども、悠々自適の生活で、瑠璃子は、父親のことを、パパと呼び、封印されていた、日本名の瑠璃子という名前を、名乗ることが、できた。一度結婚して、幼い子供がいるが、離婚して実家に帰った、一人娘という触れ込みだった。


任務中は、珊瑚はベビーシッターに預けられた。


ふたりの身分は誰も暴くことができず、国のトップシークレットだった。


但し、身の安全は保障されない。自分たちで対処するしかないのである。


準備は万全に整った。


 身分の確かな人しか入れない、パーティーに招待された。上流階級のパーティーなので、本来のふたりの素状では、入れない。だがもっと不似合な者がいた。パーティーにそのターゲットはあらわれた。


紹介者も名の知れた方で、ある有名大学の教授という肩書で、名刺を渡された。


50歳代のその男は、瑠璃子に散々お世辞を言い、興味を示したような様子で、瑠璃子のそばに居座った。


ずうずうしい行動を詫びながら、


同年代の息子の嫁にふさわしいと一目ぼれしたと言った。


その男はさすがに厚かましいとその場を一旦は離れた。しかし瑠璃子はその男に近づき、お話をもう少し伺いたいし、あなたにも、少し興味がありますので、パーティー終了後にホテルのお部屋まで来ていただけますかといい、部屋番号のキーを見せた。


ホテルの部屋で、瑠璃子はくつろいで、待っていた。


 その男を部屋に招き入れた。


その男は恐縮しながら、私に興味があるというのはもしかしたら、親子ほど年が違うのにというと、瑠璃子は、ご存知のように私も出戻りですからと言った。


パーティーの時から持っていたつばがしっかりした、ヘッドのない帽子を見て、


その男は、これは大事なものですかと聞いた。


瑠璃子は、大事なものですと答えた。


その男は、私も教授をしていて、博識ですから、あなたにふさわしくないとは言えないと、言った。瑠璃子はそうかしらと言った。


そして、帽子の生地をはぐと、半円の鋭い刃物を取り出すと、すばやくその男の頭と胴体を切り離した。


血しぶきが舞い、その血は瑠璃子にも降り注いだ。


 一匹駆除したわ、死体の処理と部屋の掃除をお願い、私はシャワーを浴びるわと、大友に言って、


携帯を切った。瑠璃子がシャワーを浴びて出ると、


大友が掃除をする人と一緒にいて、


掃除もほとんど終わっていた。


ホテルには、上流社会の御乱交で、少々物音はするが気にしないで、と言ってあるし、


死体と部屋の清掃は、国で処理してくれることになっていた。



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ブラットレディー


瑠璃子が某ホテルで下見を兼ねた待ち合わせをしていたところ、エレベーターに潜んでいた男に、いきなり気絶させられた。


瑠璃子は臍を噛む思いだった。気が付いたら、ホテルのベットでその男に陵辱された後だった。


瑠璃子はその男に見覚えがあった。某国のスパイの中でも武闘派の、腕に竜の刺青のある、父を殺した男だった。スパイの中でも暴力を手掛けていたので、瑠璃子もつけられていることに全く気づいていなかった。その男は瑠璃子を見たときに、すぐ春木の娘だと気付いたという。


そして性的興奮を覚えたんだと。「不思議なものだ。どちらかといえば母親のムラハインド方に似ているのに、お前を見かけたときに、死んだ春木がそこに立っているような気がした。」と言った。


その男は瑠璃子がもう、当然自分のものであるがごとく振る舞い、瑠璃子もそれに合わせているようだった。


毎週決まった曜日にはホテルで会うことを促し、瑠璃子もうるんだ目でその男を見つめ、うなずいた。


二度目の情事のとき、二人が最高潮の直前で瑠璃子はその男の首を切断した。



瑠璃子の娘の珊瑚は瑠璃子の才能を引き継ぎ、すでに瑠璃子の習得したすべてを身につけていた。また隔世遺伝というもので、ムラハンドの才能も引き継ぎ、幼くしてパソコンのプログラミングを習得した。すでに眼鏡をかけていた。その珊瑚が8歳の時のことだった。瑠璃子は言った。


「今日からあなたも諜報員よ」







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