盗んだ自転車で走り出す。

 自衛官の不祥事は多い。そもそも分母が大きいのでやむを得ない面もある。たいて


い「カネと女」が絡むが、幹部自衛官の場合は「酒」が多いような気がする。


 模擬手りゅう弾を後ろにぶっ飛ばした同期も酒がらみ。当時は三尉任官前に幹部の


資質教育という事業があり、本州の部隊に配属された人間はレンジャー課程か体育学


校への入校が義務づけられていた。その入校の際の宴会の帰りに、駅前で拾ってきた


自転車を、そこらへんが?なのだがそのまま駐屯地に乗り入れ駐屯地内で警務隊に御


用となった。占有離脱物横領罪になったと思う。その後そのまま原隊復帰、依願退職


となったと聞いた。

 

 おもしろかったのはそこからで、幹候校から近場の連隊だったので連隊長が「どん


な教育しとんや」と、怒りにまかせて幹候校に乗り込んできたらしい。区隊長は立場


上説教をくらったらしいが、付教官と助教は事前に情報をキャッチしたらしく、その


場から逃げていたとのこと。


 数年後、この手の話が他人事で済まなくなる羽目になるとは、三尉任官前のひよっ


この私には想像もつかなかった。



 

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