掘った穴を埋め戻すのは嫌なのよ。

 通常の学校生活とは別に、卒業まで数回の演習がある。陸自でいう演習とは泊りが


けの野外訓練のことだと思っていただければいい。


 これがきつい。朝は早朝から訓練準備引き続き訓練、夜は夜で翌日に使用する訓練


資材の準備やミーティング。部隊勤務における演習も忙しく、慢性的に寝不足気味


だったが、後から振り返ればその予行演習みたいなものだったのだろう。


 印象に残っている訓練は二つ。まず穴掘り。いわゆる野戦築城であるが、近世以来


歩兵の仕事の半分以上は敵から部隊、個人を守るための穴掘りなのだが、陸自もそれ


は同じ。掘るのもきついが、埋め戻し作業はもっときつい。掘ったままでほったらか


しにすると、演習場が荒廃するのできちんと埋め戻して、可能な限りはぎ取って保管


していた植生(草)も埋め戻す。北海道の某演習場は植生が早く戻るように演習場整


備の時に肥料も渡される。


 演習場管理班という部署がこの一連の業務を管理しているがあまりいい思い出はな


い。埋め戻しが甘い、植生をもっと植えてだとかよく怒られていたような気がする。


 

 

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