入 隊
私はいわゆる失われた世代に属している。浪人したときには、大学入学時の倍率は
過去最高、就職時の有効求人倍率は過去最低の世代になると予備校講師に言われ
た。
私の場合は文学部かつ、あの不景気のみぎり、出版社をメインに回るという暴挙
に出たので、案の定民間はさっぱり。まあ、優秀な人間は不景気だろうが何学部だ
ろうが内定を複数取ってくるのは今と変わらない。社会情勢のせいにするのはやはり
言い訳だろう。就職後の労働環境については運不運があると思うが。
陸上自衛隊に入隊したのは特に国防意識が高かったというわけではなく、単にダイ
レクトメールが来てたまたま応募したのが合格してしまったという程度である。今で
こそ自治体から地方協力本部(当時地方連絡部)への入隊適齢期の学生の情報提供
がありになったので、どうということはないが、当時はたしか個人情報保護法が制定
されたかどうかというタイミングだったので本来はアウトの施策ではなかったろう
か。案の定、ダイレクトメールはその後すぐに送らなくなったと聞く。
試験自体はそれほど難しくなく、当時の国家上級、今の国家公務員総合職試験に
遠く及ばない難易度だと思う。一次の筆記は正直マスコミの筆記試験の方がはるか
に難しく、二次試験は身体検査と面接だったが、面接は雑談程度の内容だった。
民間の就職活動もいまいちぱっとせず、夏も本番になりつつスーツ姿が苦痛になっ
てきたのと、陸上自衛隊の合格が決定し、出版社の面接も軒並み全滅したのを区切
りとして入隊を決めた次第である。
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