ここは『魔王城前の村』だ
なんで、僕がこんな村にいるんだよ。
ここは地獄の一丁目、「魔王城の真ん前」にある村だ。
因みに「先にこの村があって魔王城が後から出来た」って訳じゃない。その逆。わざわざ魔王城の真ん前に村を作ったんだ。
誰だ、こんな無謀にも程があることをしたのは。
そして、なんで僕はここにいるんだよ。
もちろん、この村に普通の人間なんて来ない。来るのは魔王城からの魔物だけ。やって来ては村の中を物色していく。
人間は僕しかいないからね。荷物も僕の着替120着や保存食くらいしかない。着替え120着? もちろん120着ぜーんぶ僕が今着ているこの服さ。だから魔物に少しくらい持っていかれても平気だ。と言っても最近はもう僕の着替えにはどんな魔物も興味を示さなくなった。
僕は大丈夫かって? ああ、大丈夫さ。だって僕は何を言われようが、何をされようがただこれしかしない。
「ここは魔王城前の村だ」
このセリフを言うだけ。それがこの村の第一村人の僕の役目。
もうね、最近は魔物が話しかけて来ることすらなくなった。なんか魔物にすら僕の存在を忘れられている気がする。話しかてくる危害がなくてもそれはそれで寂しいものがある。
そうそう、少しだけ前にこの村に来た人間がいたなあ。なんかニヤニヤ笑ってた。よく一人でこんなところに来るもんだよ。
適当に村を歩いて出ていったけど。無事に帰れたんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます