Aさんの場合
送り主のアカウントを何度も確かめる。間違いない。奇跡が起こったのだと思った。
『あの日の約束、覚えてる?』
彼女も覚えてくれていたんだと思ったら、鳥肌が立った。興奮して震える手も、うるさい心臓も煩わしかった。なかなか上手く文字入力が出来ず、少し時間がかかった。
『覚えてるよ』と返信した。すぐに返事が返って来て、俺の心臓が掴まれたようにきゅっと悲鳴をあげる。
『まだ、有効かな?』
彼女の顔が浮かぶ。引っ越し間際に見上げた彼女の部屋の閉め切られたカーテンが浮かぶ。今まで何度も思い返した美しい思い出達が、屈託なく笑う彼女の顔が、俺の頭の中でめまぐるしく浮かんでは消えていく。
『もちろん』と返した。
会いたい。
気づけば俺はそう思っていた。
そうとしか、考えられなくなっていた。
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