Bさんの場合
ひとしきり泣いた後、明日の死に方について考えた。
どうせ死ぬなら幸せに死にたいし、心残りを残したくない。
スマホを手に取って見る。『一緒に死なない?』というメッセージがいくつか送られてきていた。大して親しくない人ばっかりだった。きっとみんな寂しいんだな、と共感はするけれど、返信することなく画面を閉じた。何度か顔を合わせただけの人と過ごす方が、よっぽど寂しい気持ちなるような気がした。
それに。
私には、最後を一緒に過ごしたいと思う人がいる。
鳥アイコンのSNSアカウントを表示した。フォロー一覧を開き、その人のアカウント名に触れる。あまり頻繁には更新していなかったアカウントは、半年前の『コンビニスイーツが最近の癒し』という呟きを最後に放置されている。
ダイレクトメールのページを開き、メッセージを打ち込む画面になって、怖気づいた。
あの日の約束なんて、きっと忘れてしまっているだろうな、と思ったのだ。彼とはもう三年以上会っていないし、会話をしたのもそれよりずっと前だ。今の彼のことをほとんど知らないから、彼女がいないとも言い切れない。勇気を出して連絡して、他の
すぐに、死に方なんて考えたところで、どうせ死ぬのに、と思った。
最後の最後まで小さな事にばかり悩む自分。
馬鹿だなあと思った。
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