第12話 出会い2(カマエル)
彼を怒らせてしまった。
どうしたものかと思案していると、急に元気がなくなって
「決めつけてごめん」
「?!……悪魔はプライドの高さと戦闘力だけが取り柄な種族だと思っていたからな
うん、なんていうか…びっくりした。」
謝ってくるからすごくびっくりして間抜けな答えを返してしまった。
これはたしかに俺の本音だ。
だが、急に元気がなくなったのは気になる。
全身で警戒心剥き出していた時と比べてしおらしくなった彼からは、なんていうか…危なっかしさみたいなものを感じた。
放っておけば儚く消えてしまうような一抹の淡い夢のようなそんな存在に思えて仕方がない。
こいつは俺が守ってやらないと
漠然と思ったことだった。
お互いがお互いにどうしたらいいのか分からず、さっきから流れるこのなんとも言えない時間に俺は耐えきれず俺も謝った。
「あー、なんだ俺も悪かった。
お前のことよく知りもせず悪魔だからと決めつけで悪く言った。」
俺が謝罪したなんて天界のやつらが聞いたら天変地異だとか天災の前触れだとか言われるんだろうなぁ。
俺の評価がロクでもない。
俺が謝罪すると俯いてた彼の顔がパッと上がって驚愕の表情をしていた。
それは彼の俺への評価がロクでもないことを物語っていた。
よくよく聴くと天使全体の評価だったわけだが。
それを聞いてホッと安心したのはなんだろうな。
他愛もない話で
一瞬彼の表情が緩んで微笑を浮かべたその顔を見ると
不思議な胸の高鳴りを感じた。
身体がカッと熱くなってその熱がじゅわ〜っと全身に回っていく。
それは決して不快などではなくてどこか心地いい。
もっと彼を知りたい。
やっぱり、彼は俺が守らなくては。
そう思ったら口にしていた。
「俺は、お前のこともっと知りたい。
だから、
俺にお前の全てを話せ。聴いてやる。
それとお前は俺が守ってやる、お前弱っちそうだからな」
どんなことでも彼のことを知りたい。
彼を守るのは仕方がないが俺しかいないしな。
そう思っていると、さっきの笑みから一転冷めた表情をした彼が
「誰がお前に教えるもんか、帰れ」
「遠慮しなくていいんだぞ?」
「邪魔だ、どっか行け!」
急にどうしたんだ!
何が悪いのかさっぱりわからないが、ここで引き下がるわけにはいかない。
まだ重要なミッションが残されている。
俺は彼の名前を知らない。
知るまでは帰れない!
いや、帰らない。
いやがる彼に詰め寄ってあの手この手でどうにか聞き出すことができた。
本人はなぜかぐったりしているが、
俺はスッキリしたぞ。
ベルゼビュートか…
名前もいいな。
じゃあ……ベルと呼ぶことにしよう!
その方がなんだか親しい感じがするし、彼にとても似合っている。
我ながら名案だと思ったが、彼からは不評だった。
時間が経つのは早いもので、そろそろ帰らなくてはならない時間になった。
離れるのは惜しいが
また逢いにくるぞ、ベル。
そうして俺は天界に帰った。
今日疲れ切ったベルが怒って
次会った時、俺のことを知らぬ存ぜぬで塩対応されることを俺はまだ知る由もない。
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ちょっと裏設定
*天界の軍は定時に軍法会議があり、天界の警備が少し手薄になるため、成人していない天使は安全上基本外に出てはいけないのです。
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