第11話 出会い(カマエル)

俺とベルの出会いは

運命だったと思う。


俺がまだ駆け出しの天使だった頃


周りの喧騒に疲れた俺は『固有能力・転移』でどこでもいいから休めるところへ飛んだ。



天使族には『固有スキル』というものが潜在的に備わっている。

種類は多種多様で多岐にわたる。

俺の固有スキルはそんな固有スキルの中でも上位に位置づけられている『転移』だった。

この『転移』のいいところは行ったことのないところにも行けるところだ。

制約も多いし、神力を多く使うため使い勝手がいいかと言われるとちょっとわからない。

ただ試しに漠然と遠くへと思い飛んだ先が次元を超えて魔界だった時は流石の俺でもびっくりした。

どこでもいけると言ってもせいぜい天界内のみだろうと思っていたからだ。

だが、予想外の場所に転移したと同時に天使の中でもずば抜けて多いと言われる俺の神力が枯渇しかけた時には焦った。


上空から羽を落ち着けて休める

どこかいい場所はないかと探していると



そこは静かで下方に見える花畑が魅力的な場所だったから俺は羽休めに地面に降り立った。



その時誰かいるのに気づいた。




そいつは悪魔族特有の禍々しさを感じない不思議なやつ。



悪魔族は魔力の質が根本的に天使族と合わないと聞いている。

天使族の使う神力と悪魔族の使う魔力は水と油なのだそうだ。

決して混ざり合うことはなく、お互いに反発する。

だからこそ天使族は悪魔を嫌悪するし、悪魔族も天使を嫌悪している。

今まで出会った悪魔たちは全てそうだった。



そんななか出会ったそいつの魔力は

不思議と天使である俺の神力と反発することなく混ざり合うのを感じた。

魔力の質といい本当に変なやつ。



そいつは

顔の半分を長くボサボサな前髪が隠しているが隙間から覗く瞳はこぼれ落ちそうなほど大きくてきらきらしていて

不覚にも悪魔を美しいと思った。



それを認めたくなくて、でも彼のことが知りたいと彼にかけた言葉は


「悪魔がなぜ花畑にいる?こうしてみると月とすっぽんじゃないか」


俺の思いに反してかれを怒らせてしまった。

天使族ではあるが俺自身も口が悪いのは自覚している。でも今更どうこうしようとも思ってない。


「お前に何が分かる!悪魔に花が似合わないなんて誰が決めたんだ!」

「俺だな。まぁ、似合わないなんて言ってはないが」


「なんなんだお前は!!天使の癖に!こんなに口が悪いと思わなかった」

「それこそお前の決めつけだろう?」

「~~~っ!!!」



俺の言葉に、

見た目の儚さとは反対に気が強い彼は負けじと噛み付いてくる。




フーッと警戒心をあらわにする姿が子猫みたいだなぁと思った。









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