備蓄




申し訳なさそうに、、いつもの様に。



受け付け「食事です。。」



そう食事を運んで来てくれる人の顔色は、



良くは無かった。




いつもなら、直ぐ戻るのが。



その日は違った。




受け付け「すいません。。



もう、少ししたら食料は持たないです、、」



うつむきながら話す。



「後どのくらいですか??」



受け付け「すいません。



多分1週間持つかどうか、、。」



友人「向こうには、伝えたの??」



受け付け「いえ、、。



言える状況じゃないんです。。」



男性「まあ、あれじゃあね。。」



男性「他とは連絡は取れないのかい?」



受け付け「まだ復旧していないみたいです。」



海外の方「どうしましょうか、、」




空気は重くなった。



いつか来るだろうそれを。



皆が目の当たりにしたのだ。




すると、優しくおばあさんは尋ねた。



おばあさん「何で、



親切に教えて下さったんですか、?」



受け付け「それは、、。」



顔が赤くなり、拳を強く握った。



受け付け「皆さんに、、



申し訳なく思い、、、




ただの"接種"と言う事だけで。




まるで、差別の様な扱いを受けさせてしまい。。




本当に、、すいません、、」



受け付けの方は目頭をあつくさせた。




おばあさん「良いんですよ。こうして、



毎日。食事を届けて下さってるじゃないですか、、」



受け付け「うっ、、、。」



眼鏡を外し、背を向け泣いて戻って行った。




避難所の備蓄も。



限界を迎えた。




と言うのも。



夜中に自分達の欲望のままに。



倉庫から勝手に取って行く連中が居たからだ。




何もないから。



何も音はしないから。




勝手に聞こえてしまう。




男性「あの人も大変ね、、」




相変わらず。



軍等は、助けに来ないし。



携帯は使えない。




救助が無ければ、支援が無ければ。



必然的に、消費するだけの物は、枯渇する。



友人が言っていた通りだった。




誰も助けに来ないし、助けてはくれない。




友人「そろそろ移動時だな。」



男性「何処に行くのよ??」



友人「分からない。




何処かのスーパーや。



何処かのホームセンター。




ここじゃない別の場所。」



男性「何故だ??」



海外の方「、、きっと。



次は奪い合いが始まるから?



ですよね?」



友人「賢い。




それに。あいつらの事だ。



いずれ、俺らに与えるよりも。



自分達だけで独占しようとする。




こう言う場所では、いくらそれが間違っていても。



正義は人数によって決められる。」



「でも、おばあさんが。」



男性「そうね。。



あまり、言いたくは無いだけれども。



お年寄りにはキツいわ、、」




おばあさん「私は、、



ここに置いていって下さい。」



女の子「おばあちゃん、、



嫌だよ、、、。」



男性「まさか。



置いて居かねえよな??」



睨み付け、今にも切り掛かりそうだった。



海外の方「まあまあ。



落ち着いて下さい。




最後まで話を聞きましょう。」



友人「仲間は、一人でも多い方が良い。




それに、きっと。おばあさんをおぶってでも。



ここの連中は連れていくだろうさ。」



男性「けっ。



馬鹿野郎。。




俺が馬鹿みてえじゃねえか、、」



男性「いくらでもおぶってやるわよ!!




あっ。



臭かったらごめんね?おばあさん。」



友人「それに。。



この中で、野草等に詳しいのが居るか?」




、、、、、。




「って。働かせる気かよ!!」




アハハハハ笑




まるで、不安を吹き飛ばすかの様に。



皆で笑い合った。



海外の方「本当に。



皆さんと一緒で良かったです。」



男性「あぁ。



まあ、な。」



「うん。」



おばあさん「ええ。」



男性「いやん。」




男性「もう少し、俺も、、。



誰かとこうして、きちんと。



話せりゃ、、



良かったのかも知れねえな。。」 



男性「何言ってんの。



もう、充分。



私達のコミュニケーションは取れてるわよ。」



海外の方「これが、"和"と言う奴ですね」



友人「うまい!」



おばあさん「座布団一枚。」



「かしこまりました!」




女の子「アハハハハ」




おばあさん「、、やっと。



笑ってくれたよ、、、」



女の子を強く抱き締めた。




絆は。



例え、血が繋がって無くとも。




例え国が違い。



性別も。



歳の差も。



接種したかの有無でさえも。。




全てを通り越して。



強く結ばれる事もある。




この時。



今まで喪ってしまっていた。



大切なナニカが。




忘れちゃいけないナニカが。




鼓動し。



再び動き出した様な気がした。




ドクン。



ドクン。


























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