避難所
人の流れに任せて、
ただ、後を付いて行った。
周りは、崩壊している家屋で溢れていた。
何かが焼ける臭い。
嫌な臭いは鼻をついた。
友人「あまり、吸わない方がいいぜ?」
倒壊したであろう、建物から出た誰かの物。
それを、拾い、身に付ける。
友人「ほらっ。」
「うん、、、。」
他人のモノを勝手に、、
そう、思ったが、マスクすらも無かった為。
仕方が無かった。
友人「今の内に、慣れた方がいいぜ?
もっと酷くなる。
それに、、」
友人が指を指すと、崩れかけたコンビニへと、
皆は入って行った。
「泥棒じゃないか、、」
皆は、手当たり次第に物を持って行く。
友人「生きる為さ。
その内、物資は枯渇する。
早めに蓄えはあった方が良い。」
そう良い、一緒に入った。
友人は下着、生理用品に、歯ブラシ等を取った。
「食品じゃないのか?」
友人「まあ。食品も大事だが。
下着や歯ブラシ。生理用品は、不可欠だ。
女性は一番困るしな。
俺は男だが、、
いずれ分かるさ。」
「うん。」
友人に言われた物を一通り取ると。帰りに、
申し訳無い程度に、レジに金を置き、
その場を後にした。
友人「持っている事は誰にも言うなよ?」
「分かった。」
皆。目が死んでいた。
絶望に近い、光を喪った目をしていた。
「これからどうすればいいんだろうな、、。」
周りに流され、暗くなった。
友人「とりあえず、、。
緊急避難所へ行く。
それからそこで様子を見る。
あれは打ったか?」
「いや。アレルギーがあるから、、。
打てなかった。」
友人「そうか。」
「駄目だったかな、??」
友人「いや。
それは仕方の無い事だ。
だが。
今から"見る事"はあるかも知れない。」
それは。最初に会った時も、、
何かを知っているかの様な話し方だった。
俺は友人の事を何もしらない。
それに、、。
彼は、俺よりも。
落ち着いている様に見える。
もう。どのくらい歩いたか。
最初に行った場所は、人数がいっぱいだった為。
他の避難所へと誘導された。
2ヶ所。3ヵ所。
皆。人で、溢れていた。
街灯等は無く、本当の暗闇が襲った。
友人「怪我すんなよ?」
「うん、、」
遠い灯りを便りに、ゆっくりと進む。
「やっと。辿り着いた、、」
最後の緊急避難所に着いた頃には、
足がパンパンだった。
「ここに名前を記入して下さい。」
受け付けの様な所で、俺は名前を記入をした。
受け付け「接種はお済みですか?」
「いえ。。」
受け付け「では、こちらへ。」
通された方には、
『未接種』
と。
堂々と書かれていた。
「何だこれ、、、」
友人「こう言う事だ。」
札を回しながら後を付けてきた。
友人「そのうちクラスターが起きるだろう。
それにつられて、接種者と未接種者の差別が始まり、
終いには暴動が起きるぜ??
それに、、女を、、
あっ。第一印象は大切だから挨拶はしろよ??」
薄明かりの中に、数人。先客が居た。
『よろしくお願いします』
そう言い、俺の頭を下げてきた。
おばあさん「よろしくね。」
海外の方「よろしく。」
男性「よろしく。」
そうして友人は、片っ端から、
コミュニケーションを取りに行った。
「すげえな、、。」
俺が一人で座っている中。
ひたすら、話していた。
まるで、元気ずけているかの様に。
一人でぼーっとしていると、
海外の方が話し掛けて来た。
海外の方「お友達は素晴らしいですね?」
「はい。」
海外の方「正直不安でした。
誰にも話し掛けて貰えず、
接種者の方には悪い事を言われ、
そこの方にも怖がられていました。
でも。彼のお陰で、誤解が少しだけ
とけました。」
「そうだったんですね、、」
海外の方「あなたも友達になって下さい。」
そう言い、腕を付き合わせた。
「はい。」
海外の方「よろしくです。」
「よろしくお願いします。」
俺は生まれて初めての海外の方の友達が出来た。
夕食時になると、食事を取りに行くはずが、
俺達のいる場所まで持って来た。
「あれ、、
取り行くはずでは??」
受け付け「すいません。
感染のリスクを減らす為に、、
こちらで。。」
友人「始まったか、、
まあ。
今日の所は大丈夫だろう。
だが。向こうはどうかな?」
女性「接種してないとかありえなくない?」
女性「まじやめて欲しいわ。」
女性「さっさと、感染すりゃ良いのに。」
男性「あらあら。
そんな事言うもんじゃないわよ?
打ちたくても打てない方も居るんだから。」
女性「何こいつカマかよ。」
女性「きしょ。」
ここも駄目ね。
私もあっちに行こうかしら。
接種した方のが、"まとも"かと思ったけど、
あれじゃあ、ただの。周りに流された子供ね。
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