第3話:放課後の不器用君

不器用君は陸上部に所属している。

中長距離パートに所属している。

6月10日雨が降る放課後のことだった。

同じ長距離パートの竹田に筆箱を盗まれた。部室での出来事だった。

それを取り返そうとしたが、盗んだ同級生は不器用君の筆箱を水たまりに投げつけてしまった。

不器用君はその筆箱を水たまりからちゃぽりと音を鳴らせて取り出した。案上上ぐちょぐちょにぬれていた。

不器用君は怒った。ただし竹田にではない。

不器用君は自らの無力さに怒ったのだ。

不器用君は仕返しに、竹田の筆箱を水たまりに投げつけてやろうとはしない。

その後は何事もなく、部活動が始まり、2時間後不器用君は一人で帰宅した。

その帰宅際に不器用君は口にした。

「なぜ仕返ししてやろうとさえ思えないんだ。僕は」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不器用君は名前を喚べない 鏑矢のアカミネ @dddakamine

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ