第43話 謎のアイドルポスター
「うわーっ、ここが一矢のお部屋なのね? 思ったよりも片付いてるじゃない」
「えっ、そうかなぁ? エヘヘ……」
フフフ……
本当は俺が帰る前に母さんが片付けてくれていたんだけどな!!
ホント、母さんはいつも機転がきくぜ。
ただ突っ込みが好きってのは知らなかったけどな!!
「わ、私とても緊張していますが、同時に感動もしています。これが男の子のお部屋なんですねぇ……?」
「み、美代部長、そんなに部屋の中をジロジロ見ないでくださいよ~? とても恥ずかしいじゃないですか~」
美代部長、瞳がウルウルしてますよ?
マジで俺の部屋なんかくらいで感動しているんだなぁ……
「一矢君、この壁に貼っているアイドルっぽい女性のポスターだけど一体誰なの? 私はあまりテレビを観ないから最近のアイドルとかよく知らないんだけど……」
女子にアイドルのポスターを見られるのは恥ずかしいなぁ。
でもこのポスターは……
「な、菜弥美先輩……こ、この人はですね……俺が5歳くらいの頃、親父に連れられて行ったデパートの屋上で行われていたイベントに出演していたデビューしたばかりのアイドルのポスターなんです。記憶があいまいなんですが、そのイベントで俺とそのアイドルが一緒にゲームをやったりして仲良くなって……その人に凄く優しくしてもらったんです。それでイベントが終わってからその人が「これからも応援してね?」と言いながら俺に自分のポスターを一枚くれたんですよ。それで俺は嬉しいのと彼女を応援しようという気持ちだったと思うんですが今でも部屋に貼っているというわけなんです」
「へぇ~、そうなだぁ……」
「でも恐らくその人はとっくに芸能界を引退していると思います。テレビにも全然出演しているのを観たことないし……ハハハ、10年も前のポスターを未だに貼っているのは変ですよね?」
「全然、変じゃないよぉ。それよりも一矢君は見た目通り『普通』に義理堅くて優しい人なんだなあって思ったわ。―――それに5歳の頃から年上キラー……いえ、何でも無い……」
「い、いや菜弥美先輩……別に『普通』っていうワードは要らないじゃないですかぁ? 俺マジで『普通』っていうワードに最近めちゃくちゃ敏感なんですからね」
ん? 菜弥美先輩、最後に小声で何か言っていなかったか??
「一矢君……この鍵の掛かった箱は何なのかな……?」
「えっ、え―――っ!? テ、テルマ先輩!! それどこから見つけてきたんですか!?」
「『普通』にベッドの下にあったわよ」
「だから『普通』ってワードは……って、そんな事はどうでも良いわ!! そ、その箱には俺の宝物が入っているんです!! でもその宝物は絶対お見せできませんので、どうか気にしないで元の場所に戻して置いてください!!」
「それは無理……私、この箱の中身がとても気になる……宝物と聞いて余計に気になってきたわ……ああ、とても気になる……私、気にする性格だから……気になる……気になるなぁ……」
「なっ、何でそこ棒読みなんですか?」
「冗談よ。別に一矢君の宝物を無理矢理見たい訳じゃ無いから……ちょっと一矢君をからかってみたかっただけよ、ゴメンね」(ニコッ)
ウグッ!! た、たまらん!!
何て『小悪魔』な人だ!!
それなのに何て『天使』の様な笑顔をする!?
うーーーん、抱きしめた〜い!!
っていうか助かったなぁ……箱の中には今まで皆が送ってきた自撮り写メをPCで編集したのを印刷して作った各自の『アルバム』が入っているなんて、恥ずかしくて絶対言えないし、下手をすれば全員から『変態扱い』される可能性もあるもんな。
あっ、勿論、子龍先輩のアルバムだけは作っていないけどな!!
「ところで一矢君?」
「うわっ、何だよ子龍!?」
「僕に厳しい一矢君だけど、遂に僕の事を呼び捨てにするレベルにまで達したんだね? 何だかとても嬉し……」
「い、いや、すみません子龍先輩!! ちょっと子龍先輩の事を考えていた瞬間に子龍先輩が急に声を掛けてきたので、ビックリして思わず呼び捨てにしてしまいました……」
「ぼ、僕の事を考えていただって!? それは本当なのかい!? それはとても嬉しいなぁ……僕もこれからは今まで以上に一矢君の事を考える様にするから!!」
「いえ、考えなくて結構です!!」
どんどん子龍先輩の言動が怪しくなってきたと思うのは俺だけだろうか?
「そ、そんな事よりそろそろ勉強始めませんか? 部室でも言いましたが、俺マジで今度の中間テストがヤバイんで……」
「そうですね。そろそろお勉強を始めましょうか? えっと、それでは私達、どう座りましょうか?」
「勿論、昼休みや部活の時と同様に一矢君の右隣りは私だね!!」
「じゃあ、私はいつも通り一矢君の左隣に座るわ……」
「ちょっ、ちょっと待ってください、二人共!? ここは屋上でも無いし、部室でも無いんですから、いつも通りってのは止めませんか!?」
「ま、舞奈……別にどこに座ろうが良いじゃんか? それとも、舞奈が俺の横に座りたいのか~?」
フッ、ちょ〜っと舞奈の奴をからかってやったぜ………さぁ、どういう反応をするのか……舞奈のことだから顔を真っ赤にしながら『座りたい訳無いじゃない!!』って怒るだけだろうけどさ。
カァ――――――ッ!!
おっ、やはり顔が真っ赤になったぞ。そして
「ちょっ、ちょっと、お手洗いに行って来るわ!!」
バァンッ!!
あれ? 俺の想像の返しと違ったぞ。舞奈の奴どうしたんだ?
おっかしいなぁぁ……
ま、まさか、本当に俺の横に座りたかったのか?
いや、あの舞奈に限ってそれは絶対無いわ~
トントン
ギィー
「あっ、母さん?」
「お勉強中のところゴメンなさいねぇ? お茶とお菓子を持って来たんだけど……それと今部屋から出て行ったとってもグラマーな子は大丈夫なの? とても赤い顔をして部屋を飛び出して行ったけど……」
「あ、あぁ……きつと大丈夫だよ。多分……そ、それよりも母さんは早くお茶とお菓子を置いて部屋から出て行ってくれないかな?」
「あっ、そうね。ゴメンなさいねぇ? 母さん直ぐに出て行くから~んっ? ねぇ、そこの君……?」
「えっ、ぼ、僕の事でしょうか?」
「そう、超絶イケメンのあなたの事よ」
「な、何でしょうか?」
か、母さん、頼むから子龍先輩に変な事だけは言わないでくれよ!?
「あなた、もしかして小さい頃、大阪に住んで居なかった?」
「えっ、何でそれを知っているんですか!?」
「やっぱりそうなのね!? 君はもしかして『
クルッ!!
「そっ、そうです!! 僕は『
な、何だ!? 何が起きたんだ!?
子龍先輩の首が……母さんの正面を向いてるじゃないか!!
かっ、母さん……ただの『突っ込み好きの主婦』ではないのか?
一体何者なんだよ――――――――――――っ!!??
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