第41話 まさにラブコメの定番だな
「という事で、舞奈はまだ部室に来ていませんが今日から中間テストが終わるまでの期間は俺に対してのメールは禁止でお願いします!! もし急な用事があればグループメールで連絡してもらって、俺以外の人で対応するようにお願い済ます。よろしいですね!?」
「 「 「 「えっ、え―――――――――――っ!!??」 」 」 」
「そ、そんな『え―――っ!?』って言われても俺が困るんですよ!! まさか皆さんが時間差で俺にメールをしていたなんて信じられませんよ!! ほんとマジで俺、今度の中間テスト、ヤバいんです!! いきなり『赤点』取ってしまいそうなんですから!!」
いやマジでヤバいんだって……
「ひ、一矢君……本当にすみませんでした。最初は私と菜弥美ちゃんのメールだけで、たまたま時間もズレていましたが、他の方も一矢君にメールをする事になりましたので、一矢君の応対が大変だと思い……それで、皆さんと話し合ってメールをする時間決めたのですが……まさか一矢君がそういう状態だったとは全然気付けませんでした。わ、私は本当に部長失格です。な、菜弥美ちゃん? 菜弥美ちゃんが今日から部長になって頂けないでしょうか?」
「み、美代部長!! なっ、何をおっしゃってるんですか!? 私は部長なんて絶対に嫌ですよ!! 今部長になったら、悩み事が今の10倍になってしまいますから!!」
美代部長も大袈裟だし、菜弥美先輩も悩み事の増え方が最近おかしくないか!?
「べ、別に美代部長が部長を辞める必要は無いですよ。皆さんが俺にメールをするのを少しの間、止めてくれれば良いだけですから」
「しゃ、写メもダメでしょうか?」
「しゃっ、写メっ!?」
う~ん……って俺、何を迷ってるんだ!?
「だっ、ダメです!! 気が散って勉強に集中できないので写メも禁止です!!」
あぁ……別に写メくらいはとは思いたいんだけどなぁ……
でも美代部長の自撮り写メは毎回数10分くらい眺めてしまうし絶対にテスト勉強に支障が出るのは間違い無いよな?
う~何て苦しい選択なんだ!!
「しかし困ったわねぇ……私の『菜弥美の悩み事ランキング』に一矢君以外の人が相談に乗れるのかしら? 今までも部員の皆に聞いてはもらっていたけどさぁ、何一つ悩みが解決した事なんて無かったし……はぁ……それを考えただけで悩み事が増えそうだわ……」
菜弥美先輩、それってやんわり『部員全員、役立たず』って言っている様なもんですから!!
「な、菜弥美先輩、それなら昼休みも少しだけ悩み事の相談してくださいよ? 部活の時間もいつもより相談する時間を増やしたりして……ね? それで行きましょうよ?」
「そ、そうねぇ……うん、そうさせて貰うわ。私も一矢君に迷惑を掛けるのは嫌だしね。これで少しホッとしたわ。さすが私の唯一の相談相手の一矢君だわ!!」(ニコッ)
うわ~っ!!
菜弥美先輩のニコッとした顔、めちゃくちゃ可愛いぞ!!
俺は毎晩、あの笑顔の自撮り写メが見たくて、ついつい相談事を聞いてしまうんだよ。あの笑顔はまさに『罪』だな!!
「ひ、一矢君……私も『無意味な無言メール』を何回も送ってゴメンなさい……」
テルマ先輩、無意味って自覚はあったんですね!?
「テ、テルマ先輩、あの『無言メール』で十五分くらい時間を取っていましたからねぇ。今、無意味って言いましたけど本当は何か深い深い理由があったんでしょ?」
「……ア、アレは……私なりの『ボケ』というもので……ひ、一矢君に……つ、つ、『突っ込んで』もらいたくて……」
ガ―――――――――ン!!!!
そ、そうだったのか!?
アレはテルマ先輩が考えて考え抜いた『ボケ』だったのか!?
わ、分からなかった……あのテルマ先輩がボケをしていたなんて、それも俺の突っ込みが欲しい為だったとは……め、めっちゃ可愛い過ぎる~!!
「でも一矢君の『内容が無いよう!!』っていう突っ込みはイマイチだったけどね……」
え、えっ―――――――――ッ!?
テルマ先輩、今ソレ言いますぅ!!??
俺、皆に知られてめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!!
っていうか、あの突っ込みはイマイチだったのかぁ……
それならそうとメールで逆に突っ込み返してくれよ!!
「あのさぁ一矢君? 僕は
「はい、そうですね。違う意味で非常に迷惑でした!! 自撮り写メはテストが終わっても止めてください!!」
「え―――っ!? 一矢君、最近僕に対して厳しくないかい!?」
「そんな事は無いですよ。俺は子龍先輩が卒業するまでに何とか『顔を正面に向けてもらって俺とまともな会話をする』という目標を
「そ、そうなのかい!? そんな目標を掲げていてくれていたのかぁ……なんか有難う、凄く嬉しいよ。まさか一矢君が僕の事をそこまで……」
単純な人で良かったぜってか……
「子龍先輩、変な誤解はしないで下さいよ!? くれぐれも変な誤解だけはしないように!!」
ガラッ、ガラガラッ……
「お――――――すっ!! ひ弱で根暗なウジ虫共~今日も無駄に元気か―――っ?」
チッ、相変わらず口が悪い女だな!!
「ルイルイ、今日は良いところに来たな!?」
「オイオイ、ヒトヤン『今日は』って……ほんとお前は面白い奴だな?」
「別に面白い事を言っているつもりはない!!」
「……内容が無いよう」(ボソッ)
「テッ、テルマ先輩!? なんで今それを言うかな~!?」
「はぁ? 『内容が無いよう』だとぉ? 何だそのセンスの微塵もないダジャレは?」
「そっ、そんな事はどうでも良いんだよ!! それよりもルイルイ、今日から中間テストが終わるまで俺にメールするのは禁止にしたからな!!」
「えっ、えぇ―――――――――っ!!?」
「こっ、子供みたいな言い方をするな!! これは決定事項だからよろしく頼むぜっ!?」
「はぁぁぁ、せっかく本業の時間が早いのにも関わらず、眠いのを我慢してメールしてやっていたのに、お前は何て冷たい『普通の男』なんだろうか……」
「『普通の男』は余計だよ!! それに本業が朝早いんならメールなんかしないで、とっとと寝れば良いだろ!? っていうか本業は一体何なんだよ!?」
「それは『秘密』だ」
「秘密かよ!? 別に興味無いから良いけどさ!! いずれにしても、俺は今度の中間テストが非常にヤバイから勉強に集中する為に、全員俺へのメールは禁止にしてもらったところなんだ!! だからルイルイも絶対に俺にメールをするんじゃないぞ!?」
「ハッハッハッハ!! な〜んだ、そういう事かい? ヒトヤンは突っ込みは上手いが勉強は『普通に出来ない子』だったんだな?」
「違う!! 俺は『普通にやればできる子』だ!! あっ、『普通』を入れてしまった!!」
「まぁメールの件はともかく、ヒトヤンは知らないと思うがお前の先輩達は性格はウジ虫みたいな奴等だが、勉強は学年トップクラスなんだぞ。彼等に勉強を教えてもらえば良いじゃないか? そうだな~……よし、今日からお前達はヒトヤンの家に行って勉強を教えてやれ!!」
えっ?
な、何この人?
一体何を言ってるんだ?
そ、そんな……俺の家に先輩達が来て俺に勉強を教えるだと!?
そ、それってまさにアレじゃないか。
そう、まさに……
俺の大好きなラブコメアニメ定番の『女子達と勉強会』っていうやつじゃないか―――――――――っ!!??
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