第39話 叶えてみせる!!
【放課後のネガティ部部室内】
ガラッ、ガラガラッ……
「ひ、一矢君、昼休みはどうしたの? 何かあったのかしら!?」
「あっ、菜弥美先輩……お昼はすみませんでした。い、いやぁ……ちょっと色々有りまして……食堂に行ったり、自分の教室に戻ったり、美代部長の教室に行ったりと、めっちゃバタバタしちゃいまして……」
「そ、そうなんです。ホント一矢には私も振り回されて大変でした!」
オイオイオイ、最初は舞奈も勝手に食堂まで付いて来たんだろが!!
しっ、しかし……
わぁ……菜弥美先輩、凄い心配そうな顔してるよ~これは絶対に何か余計な事を考えて悩み事が増えたパターンだな!! うん、俺には分かる。
それに比べてテルマ先輩は、子龍先輩とは逆の角度に顔を向けて、俺と視線を合わせてくれない。そして白くて可愛いほっぺを少し膨らませながら何故か
でも一番俺が気になったのは子龍先輩の……
「し、子龍先輩!? 何で子龍先輩のほっぺはそんなに赤く腫れているんですかっ!?」
「それが僕にもよく分からいんだよぉ……何か君達が屋上に来ない間、ずっと菜弥美には背中を蹴られるし、テルマにはずっとほっぺをつねられてさぁ……だからほっぺもなんだけど、実は背中も少し腫れて痛いんだよぉ……ああ、イテッ」
子龍先輩って日頃は口数少ないけど、絶対、二人に何か余計な事を口走ったに違いないな。
「それでさ、昼休みは君達二人で仲良くお昼ご飯を食べていたんだよね?」
・・・・・・
バシッ!! ギュ~ッ!! バシッ!! ギュ~ッ!!
「イテッ!! い、いだいって~ぼ、ぼくがいっだいだじををじだっていうんだい(い、痛い、痛いって~ぼ、僕が一体何をしたっていうんだい)!?」
そっ、そのセリフが原因じゃないのか!?
でもさすがに可哀想だからここは助け船を……
「お昼は俺達、美代部長のいる教室でお昼を食べました。美代部長、何だかいつも以上に元気が無かったので少しでも元気づけようかなと思いまして……それで美代部長はお弁当持ってきて無かったんですけど、舞奈の弁当箱が大きくて皆でシェアできたんで助かりましたよ~!! ハッハッハッハ……」
・・・・・・
バシッ!! !ギュ~ッ!! バシッ!! ギュ~ッ!!
「いっ…イテッ!イテテッ!! ば、ばいばまでばびををずるんだ(舞奈まで何をするんだ)!?」
「せ、先輩達に余計な情報を言わないでよ!?」
ガラッ…ガラガラッ……
「あっ、美代お姉ちゃん、お昼はどうもぉ」
「こんにちは。舞奈ちゃんに一矢君……こちらこそお昼はお世話になりました。あんなにも楽しいお昼休みを過ごせたのは生まれて初めてです。いつも一人の私が……こんな私みたいなブスで、ドジで、ノロマな…」
「びっ、びよぶじょう~ぼれ、びば、づっごべだいんで(みっ、美代部長~俺、今、突っ込めないんで)!!」
その後、モブオとのやり取りなどを先輩達に説明をした俺だった。
「そっか~そういう事だったんですかぁ……それで一矢君達は屋上に来れなかったのね? まぁ、その『モブオ君』という子からはまだまだ色々な情報を聞いてみたいけど、それは一矢君にお任せして、美代部長どうですか? これからはお昼、私達と一緒に屋上で食べませんか? もし美代部長がよろしければですけど……」
「えっ? で、でも私なんかがお邪魔したら……」
「私は賛成よ。子龍と交代でも良いと思う……」
「てっ、テルマ!? それは勘弁してくれよっ!? 今年は菜弥美もテルマも同じクラスじゃ無いからお昼以外は僕一人ぼっちなんだぞ!!」
「私達は一人ぼっちには慣れてるじゃない?」
「イヤッ、無理無理無理無理!! 今年は一矢君達のお陰で寂しさが緩和されているんだ。せっかく手に入れた楽しい昼休み時間を僕は絶対に失いたくは無いよ!!」
子龍先輩……何か嬉しい事を言ってくれるじゃないですかっていうか子龍先輩、顔を横に振っていたけど、その時は一瞬、顔が正面を向いているよな!?
それなのに何で最後に顔を正面で止める事ができないんだ!?
正面を向いた方が楽じゃないのか!?
「まぁ、子龍の事はどうでも良いとして美代部長、これからは皆一緒に屋上でお昼ご飯を食べましょう? もうこれは『ネガティ部の決定事項』という事で良いですねよね!?」
「えっ、あ、はい……分かりました。菜弥美ちゃん、有難うございます。皆さんもこれからは部活だけでなくお昼休みもお世話になります……」
やっぱ、こういう時の菜弥美先輩は助かるよなぁ。たまにどっちが部長か分からなくなるけどさ……でも俺はこういう部長と副部長の関係って好きだなぁ……
ダッダッダッダッ!! ダッダッダッダッ!!
ん? 何か大きな足音がするぞ。
そしてその足音はうちの部室に近づいて来ているような……
も、もしかして!?
「ミヨミヨ~っ!! ミヨミヨ~っ!! 会いに来たよ~っ!!」
!!!!
わっ、やっぱりそうだ!!
宣言通りまた来たぞーっ!!
天翔さんが来た――――――――――――っ!!
「み、皆さん部室のどこかかに隠れましょうか!? と、特に美代部長は隠れた方が良いと思います!!」
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
シ―――――――――――ン
??
あれ?
「テンテン君、部室に入って来ませんね……?」
「ですね。お、俺ちょっと見てきます」
ガラッ、ガラガラッ……チラッ……
あっ、あれは
な、なんか天翔さんの首根っこを捕まえて連れて行こうとしているぞ!!
可愛い顔して、何て力だっ!! もしかして呼び名の通り実は筋肉『ムキムキ』だったりして……って前妻木先輩と目が合ったぞ!!
ニコッ
ん? ウィンクをしてきた?
あっ、そっか!!
前妻木先輩は俺との約束を守る為に天翔さんをウチの部室に近付かせないようにしてくれたんだな!?
な、なんて良い人なんだ……前妻木先輩、本当に有難うございます。
そして……
前妻木先輩の恋が叶う様、これから俺は全力で協力しますから!!
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
これで第3章ポジティ部編は終了となります。
次回から始まる新章も引き続きよろしくお願いいたします。
尚、続きが気になる方は是非フォローしていただけると嬉しいです。
また☆評価もしていただけると更に嬉しく執筆に気合いも入りますので何卒宜しくお願い致します。
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