(四)-4(了)

 路地から出てきた二人は一度立ち止まって左右を見回した。

「待て!」

 長田はとっさに大声を出して、もう片方の足を上げてガードレールを乗り越えようとした。その瞬間、つま先が引っかかり、転んで地面にうつぶせで倒れてしまった。

 それを見た若い男女は、向こうの方へ走り出した。

「長田さん!」

 ガードレールを飛び越えた白石が長田の方を振り向いて声をかけてきた。

「俺はいいから追いかけろ!」

 長田は地面に倒れたまま怒鳴った。

 二人を追って走りだした白石の背中を確認すると、長田は立ち上がった。そして白石たちを追うために自分も走り出した。


(了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

捜査線上の交差点(クロスロード) 筑紫榛名@9/8文学フリマ大阪 @HarunaTsukushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ