第96話 恋人繋ぎ

 ヤラしてくれないのなら女の子を探しに行くしかない。

 どうもゲスです。

 ゲス林光太郎です。

 右手がねぇー、羽もボロボロで空を飛べねぇー。

 回復するために女の子を抱くしかないのだ。

 抱いて抱いてセリョリーターなのだ。ごめんなさい意味はありません。ただテンポで思っただけです。

 外に出る。

 久しぶりのシャバだ。

 シャバダー、シャバー、シャバダー、シャバ〜。

 ごめんなさい。これもテンポで思っただけです。

 あれだよね、考えていることを全て描写しなくてもいいっすよね。

 ゲス林光太郎、一週間以上も抜いていない。何を抜いていないのかは言えないっす。男には抜かなくちゃいけない生理現象があるんでゲス。

「もう外に出てもいいの?」

 コイツも付いて来るんでゲスか?

 彼女の名前は内藤アリサ。

 先っちょも入れさせてくれないケチな女です。

 あんなにお願いしたのに先っちょも入れさせてくれないなんて、お願いして損したゲス。

 お願いした分だけキスしてほしいでゲス。

「内藤さんも付いてくるんですか?」

「当たり前じゃない。私を1人にさせる気?」

「そんな事はありません」

 この旅はヤレる女の子探しなのだ。

 旅のお供に女性はいらない。

 嘘です。

 なにがヤれる女の子探しだ。

 俺の看病をしてくれた内藤さんを人間のコロニーまで連れて行く。

 俺の目的は、アイツを倒すことである。

 アイツというのは神田英二のことだ。

 アイツを倒さないといけない。

 ミクの居場所だってアイツが知っているかもしれないのだ。

 アイツと戦うためには強くならなくちゃいけない。

 そのためには体を回復させないといけない。

 回復させるためには女の子とエッチをしなければいけない。

 どうもゲス林ゲス太郎です。

 

 まずは俺達がいたシェルターを目指して歩く。

 外の世界は瓦礫の山。

 異世界に転移したのに、日本丸ごと異世界に行っているっぽくて、日本にいた時と変わんない。

 俺は空を見上げた。

 太陽らしきモノ。

 月らしきモノが二つ並んでいる。

 ココは異世界なんだろう。

「楳図かずおの『漂流教室』と同じパターンで異世界に来たのか」

 と俺は呟いた。

「漂流教室?」

「土地ごと異世界へ転移です。あの漫画面白かったですよね」

「読んでない」

「実は俺も読んでないっす」

「君いくつ?」

「17っす。内藤さんは?」

「24歳」

 一応、年上だと思って敬語使っていた。

 やっぱり年上。セーフ。

 敬語使っていて良かった。

 生意気なガキだと思われるところだった。

「いい感じっすね」と俺が言う。

「いい感じってどういうこと?」

 適当に言ってるに決まってんじゃん。

「いい感じにエロいっていうか」

「君はエッチなことしか考えられないの?」

「固有スキルのせいです。申し訳……」

「ございません、まで言いなさいよ」

「エッチなことをしたら欠損部分も回復できるのになぁ」

「ジト目でコッチを見るな。説明したでしょ。私には恋人がいるの」

「わかりました。気が向いたら教えてください。それまで内藤さんのことエッチな目で見るだけで我慢しときます」

「エッチな目でも見るな」

「今、どんなパンツ履いているんですか?」

「キモいおっさんみたいな事を言うな。一週間以上も同じパンツ履いてるわ」

「匂わしてくれませんか?」

「いい加減にしないと殺すよ」

「お姉さんがあまりにも美しいので、つい変なことを言っちゃいました。恋愛対象から除外しないでください」

「大丈夫。すでに恋愛対象から除外済みです」

「いやーーー、それじゃあ、この旅は何を楽しみにしたらいいんですか?」

「日本が崩壊。そして異世界に転移。何を楽しみにしてるんだよ」

 と内藤さんに言われて頬をつねられる。

「それは、お姉さんとの親密な関係を……詳細に語りますか?」

「語らんでいい。そこ魔物」

 と内藤さんが瓦礫の影を指差す。

 まだ魔物が出て来る前である。

 スキルで数秒前に戻って来たのかもしれない。

 俺は茶玉を出す。

 片手でも茶玉ぐらい出せるもん。

 ギャン、という魔物の叫び声が聞こえた。

 一発で死んだ。

「カッコ良かったですか?」

 と俺は尋ねた。

「はいはい。カッコ良かったわよ」

「それじゃあキスしてくれませんか?」

「なんでキスしないといけないのよ。バカなの?」

「頑張ったご褒美が欲しいな、って思いまして」

「欲しがるな」

「もうキスがないと歩けません」

「ずっとソコにいろ」

「一緒にココにいてくれますか? ココに大きな家を建てましょう」

「私は先に行く」

「内藤さんが先に行ってしまったら、守ってあげることができません」

「護衛してくれるんだったら、黙って付いて来て」

「報酬がほしいな」

「無理」

「ちょっとだけでいいんです」

「エッチなこと以外なら」

「わかりました報酬代は金貨2枚でいいです」

「金貨2枚? 謎の通貨を言うな」

「金貨2枚も持ってないんですか? それじゃあ体で払ってくれても結構ですよ」

「それが君の狙いか」

「嘘です」

「本当に君は」

「エッチなことは要求しません。その代わり手を握らしてください」

「う〜ん、もうエッチな要求はしない?」

「しない」

「それじゃあ手握ってもいいよ」

 彼女が手を差し出した。

 俺は内藤さんの手を恋人繋ぎで握った。

 細い指が俺の指と絡み合う。

「魔物と戦う時以外は、手を握って歩きましょう」

 俺の手は片手しか無いのだ。

 戦っている時は手を離すしかない。


 シェルターに辿り着く。

 だけど、そこには誰もいなかった。

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