第92話 VSヒロイン ー神田英二視点9ー

 ゴブリン達に人間は守れよ、お前達の奴隷だぞ、みたいな事を言う。

 だけど性欲モンスターのゴブリン達はギンギンで女性を襲っている。

 大抵の奴は俺の言いつけを守っている。

 俺もギンギンで襲ってるゴブリンを見つけたら、月に変わってお仕置きしてるんだけど、俺に見えないところでもやってるっぽい。

 領域から出て女を探しに行った奴が結構いる。

 コイツ等に人間を守れ、というのは無理なことなんだろうか?

 全滅させようか?

 自分より弱い生き物を襲う。別に魔物として悪いことをしているわけじゃない。 

 コイツ等を殺す、ってことは魔物を俺は敵認定することと同じだった。

 後々ゴブリンのことは考えるとして、まずはミクに会いに行こう。


 ミクニャンに会いに高校まで飛んで行く。

 はい、一瞬で到着。

 俺は運動場に降り立った。

 俺が守りきった高校。

 生徒達が校舎から俺のことを見ていた。

 どうも英雄ですよ。

「高田ミクはおらんか? 高田ミクはおらんか?」

 俺が声を張り上げた。

 1人の女の子が校舎の扉を開けて出て来た。


 ミクニャンの登場。

 相変わらず可愛い。

 ポニーテールが堪らんですわ。

 風でなびくスカート。

 高校の制服を着たミクも良いですね。

 手にはサスマタを持っている。

 サスマタ、っていうのはY字になっている不審者が来ると教員達が持つモノである。

 なんで、そんなモノを持っているの?


 あれれれれれ?

 ミクニャン子ニャンコの目がだいぶキレているっぽいけど、どうして?

 俺、高校を守り切ったんだよ?

 

「そんなキレてどげんしたと?」

 と俺は、どこの方言かわらかない言葉で尋ねた。

 ミクの体から闘気が溢れ出す。

 霧のように白色の闘気。

 そして可愛らしいオデコに二本の角が生える。

 どうやら覚醒したらしい。


「ミクニャン子ニャンコ覚醒してんじゃん」

 俺が言う。


 ミクが俺に向かって走って来て、サスマタで攻撃されるまで、まさかワイが敵認定されているなんて夢にも思っていなかった。


 ミクの攻撃はすげぇー重い。


 前世の記憶が蘇る。

 

「お前がナオヤ・シューベルトの大切な者か」

 グハハハ、と俺様は豪快に笑った。←これは前世の記憶ね。今の俺じゃないということだけは了承してください。

 手下に彼女を誘拐させて、魔王城まで連れて来て貰っていた。

「ナオヤ様はどこなの?」

「アイツは俺様に殺されるためにこれから魔王城に来る」

「ナオヤ様は殺させない」

「グハハハ」

 と前世の俺様は笑っていた。

 何度も言うけど、これは前世の記憶だからね。

「殺させない? その時にはお前は死んでいるのに、そんなことできるのか?」

 死人が、そんなことできるわけがねぇー。

 だから愉快に思って俺様は笑った。

 白い闘気を出し、彼女が俺様に向かって来た。

 俺のスキルで彼女の体を重たくして動けなくした。

「ナオヤ様には指一本触れさせない」

 俺は彼女の顔面を殴った。

 お腹を蹴った。

 何かを喋っていたので、最後は心臓を取り出した。

 そして手下に馬車に運ぶように言った。

 ナオヤ・シューベルトに死んだ彼女を見せたら、さぞ絶望するだろうな、と思ったら嬉しくて堪らなかった。ドッキリを仕掛ける感覚だった。


 ミクニャンコニャンコが、その時の目をしていた。

「俺は敵じゃない」

 と俺は叫んだ。

「嘘つき」

 サスマタで攻撃される。

 俺は避ける。

「嘘じゃない。お前の味方だ」

「信じられない」

 と彼女が言う。

「光太郎はどうしたの? 殺すつもりなの?」

「光太郎を殺す気なんてない」

 と俺は言った。

「光太郎は他の女とキスしてた」

 と俺は言った。

 光太郎は他に好きな人がいるんだよ。

 だから、もう光太郎のことはどうでもいいじゃねぇーか。

 そんなつもりで言った。

「嘘を言うな」

 ミクニャンコの闘気が膨れ上がった。

「本当なんだよ」

 と俺は叫ぶ。

 でも信じてくれなかった。


 俺はスキルで彼女の体を重たくして動けなくした。

 そして軽く気絶させるためにコメカミを殴った。

 アニメとかで首元をチョップして気絶させているけど、あれやると脊髄が痛むから障害が残ったりする。ヤメていた方がいい。それになかなか気絶しないのだ。

 コメカミを殴ったことで脳が揺れて気を失った。

 俺は倒れた彼女をお姫様抱っこして、飛んだ。

 魔王城に連れて行くために。

 俺は彼女に認めてもらうために、どうしたらいいんだろう?


 

 

 

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