おまけ 2

今後ミチコは死ぬのか?

 ※メタ的な発言が多く含みます。

 ※特別回です。



 俺達は教室のような場所に集まっていた。

 俺達というのは、俺と田中中と新庄かなと道端ミチコである。

 前回のおまけは鬼ヶ島だったけど、今回はどこの場所でもない。

 教室に似たような場所としか言いようがない。

 小学校の時の給食の時間のように、机を4つくっ付けている。

 俺の向かいには、ミチコ。少女の手元にはノートが置かれてあった。

 俺の隣には田中中。

 ミチコの隣に新庄かな。

「ココはどこなんだ?」

 俺は当然の質問をする。

「別にどこでもいいじゃないですか? しいて言うならおまけ回のために作られた場所です」

 とミチコが言った。

「もうおまけ回に整合性を求めないのか?」

「私達の出しろが無いので仕方がありません」とミチコが言う。

「だって私達は小林さんと別れたのですから」

「そうね。別れたのよね」とお嬢が言う。

「とりあえず第5章お疲れ様です」

 とミチコが言った。

「お疲れ様です」と俺が言う。

「別に疲れてないけど」と田中が言った。

「そうですね。田中は何もしてませんものね。あっ、私も特に何もしてません」

「そうね。私も特に疲れてないわ」

「やめてくれ。別れたのは仕方がないだろう」と俺が言う。

「そんなえなり君みたいな事を言っても許しませんよ」

「ココからのバトルは強い奴等ばっかりなんだよ。お前等が付いて来ても」と俺は続きを言いそうになってやめた。

 別の言葉を探す。

「死んでほしくないんだよ。誰にも」

「残り一章になりましたね」とミチコが言った。

「まさか自分達がおまけ以外に出しろがなくなるなんて思ってませんでした」

「……」

 お別れしたことみんな恨んでるんじゃねぇーかよ。

 どうすんだよコレ。

「前回のおまけページも10日で消す予定だったらしいんですが、パーティーメンバーの出しろが少ないことで残すことにしたらしいです」

「出しろが」

 と田中が呟いた。

 デブがポケットからアイフォンを取り出して、カメラを俺に向けた。

「うるせぇーよ。出しろ出しろ言うんじゃねぇーよ。俺だって知らねぇーよ」

「まさか最後の一章は私達って出ないんですか?」とミチコが俺に尋ねた。

「知らねぇーよ。つーかお前は何を撮ってんだよ」

「ユーチューブに戦う動画を上げているっていう設定を追加してくれないか? ぼくがカメラマンをやるから」

 カメラを頬に付けられる。

「日本崩壊してんだよ」

「ダルぅ。やる気失せたわ。早く死んで物語を終わらしたら?」と田中が言う。

「主人公が死ぬとか最悪な終わり方だろう」

「それじゃあココで本題に入らせてもらいます」

 とミチコが言った。

「本題?」

 と俺が首を傾げた。

「次の作品のメインヒロインが私に決定しました」

 この子は何を言っちゃっているの?

「私がメインヒロインなんです」とミチコが言う。

「ちなみにタイトルは」

 と嬉しそうにミチコはノートを開いて、ノートに書かれているであろう文字を読み上げた。

『ドラゴンに転生したおっさんと天才幼女 〜異世界に来たのにバカな勇者パーティーから追放されてダンジョンに閉じ込められた。魔王に魅了された勇者達が殺しに来るので勇者討伐〜』

「この天才幼女というのが私のことです」

 田中が裏切られたみたいな目をしている。

「ちょっと待って。お前幼女っていう年齢じゃないじゃん」と俺が言う。

「ココには5歳と書かれています」

「キャラクター構成だけ引き継ぐってこと?」と俺が尋ねた。

「いえ」とミチコが首を横に振った。

「私が転生した生まれ変わりという設定です。5歳だけど知識がそれなりにある。だから天才幼女なんです。9歳の知識量はあるので天才なんでしょう」

「ミチコそれって」と新庄が言う。

 彼女も気づいたらしい。

「ぼくは登場しないのか?」

 と田中が言う。

「田中は一ミリも出ません」とミチコが言う。

「転生」と俺は呟いた。

「どうやら私のツッコミ力と前回のおまけで別の作品を宣伝したことで、次の作品のメインヒロインに選ばれたみたいです」

「ツッコミ力?」と俺は首を傾げた。

「聞く力と質問する力と的確に間違いを修正する力です」

 おまけ回のミチコは基本的にボケなんだよ。

 そして宣伝したからメインヒロインってチョロすぎねぇーか?

「人気になって書籍化されてアニメになればエンディングで踊れるんです」

「そんなことより転生なんだよな? 転移じゃねぇーんだよな?」

 と俺が尋ねた。

 ミチコの隣に座る新庄かなが少女の手を握った。

「そうですよ。それがどうかしましたか?」

「お前、死ぬのか?」

 俺が尋ねた。

 ミチコは驚いた顔をしている。

 そしてノートをペラペラと捲った。

「……転生って書いてます」

 ミチコが泣きそうな顔になる。

「どうにか転移にしてもらえないのか?」と俺が尋ねた。

「わかりません」

 とミチコが泣き出しそうな顔をする。

「でもやってみます」

「汝、次のメインヒロインの道端ミチコが唱える。転生じゃなく、転移にしろ」



 https://kakuyomu.jp/works/16816927860731247956


「今、何のリンクを貼ったんだ?」

 と俺は尋ねた。

「青春ラノベが壊れても涙は見せない、のリンクを貼りました。私がメインヒロインに選ばられたのは、前回の宣伝があったからなんです。次もコレで頼めるんじゃ……」

 俺は首を横に捻った。

「誰にも読まれてない小説のリンクを貼って意味があるのか?」

 リンクを貼ったことによっての宣伝は前回で検証済みなのではないか?

「でも、私、もうコレぐらいしか思いつきません」

 とミチコが言った。

「ノートを見せろ」

 と俺が言う。

 震えた手でミチコがノートを差し出す。

 新庄がミチコの背中をさすっていた。

 死ぬのは誰だって怖い。

「3月24日ぐらいに次の連載が開始って書かれている」と俺が言う。

「学生さんが春休みに入ってネット小説を読まれやすくなるから、そこぐらいで連載を始めたいみたいです」とミチコ。

「それじゃあ、ココからすげぇーズレることはないんだな?」

「1日か2日ぐらいならズレる可能性もあると思いますが、大幅にズレる事はないと思います」 

「今日が3月9日だから、残り15日ぐらいで終わりってことか? それぐらいで物語を畳むとして、ミチコの番外編を作れる隙間はないんじゃないか?」

「私の番外編?」

「番外編が無ければ、どうにか連載開始までに転生じゃなくて、転移にしてもらえるんじゃないか?」

「そうですね。スケジュールはギリギリですもんね。物語を終わらして、新しい作品のプロットを詰めないといけない。私を殺している時間は無いと思います。それに仕事も忙しいでしょうし、奥さんの出産も控えているでしょうから、書ける時間も無いはずです」

 なんでお前はそこまで知ってるんだよ。

「それでもミチコを殺しにきたら?」

 と新庄が尋ねた。

「ミチコのそばにいるのはお嬢だけだ」

 俺達は別れている。だから近くにいるのはお嬢だけだった。

「ぼくもいるよ」と田中が言う。

 お前は守れねぇーだろう。

「お嬢がミチコを守ってあげて」と俺は言った。

 ポクリ、と新庄かなが頷いた。

「大丈夫。私がミチコを必ず守ってあげるから」

 ミチコが新庄かなに抱きついた。

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