第76話 師匠とエッチ

 うちの師匠は男前である。

 そんな回復系のスキルを手にいれたの? と師匠が尋ねたから、俺はエッチしたら魔力が回復するヤツが進化して、魔族バージョンになったら本来の力を発揮して相手も回復させることができるでゲス、と説明した。

「わかった」と師匠が頷く。「光太郎。魔族バージョンになって」

 俺は師匠に言われた通りに魔族バージョンになる。

 師匠の仲間の冒険者が俺の魔族バージョンを見てドン引きしている。

 ペラペラと師匠が仲間に何かを喋っていた。

「私の男だからビビらなくて大丈夫、って説明しといたから」と師匠が言う。

 俺は師匠の男なんですか?

「それじゃあ、コッチに近づいて来て」

「でも」

 と俺が言う。

 外人のおっさんに見られてましよ?

「でももクソもあらへんがな」と師匠の関西弁。「早く、こっちこんかい」

「わかりました」

 師匠が目を瞑る。

 手足が無いから彼女は座った状態になっている。

 俺は膝をつく。

「女の子を待たせるな。早くキスせんかい」

「はい。かしこまりました」

 師匠は全てがボロボロだった。

 白い毛皮も血がついてボロボロだし、色んなところが傷だらけで、それでも美しかった。美しいっすよ。戦って戦ってボロボロにされて手足が無くなって、それでもやっぱり美しいのだ。

 俺は師匠の唇に唇を付けた。

 男前の師匠は外人のおっさんが見てるなんて関係あれへん、って感じで舌を出して来た。

 いきなりディープ。

 口を離す。

 唾液がダラーと垂れた。

「うん」と師匠が頷く。

 彼女の傷は治っていた。

 だけど手足は、再生されていない。

「魔力は全回復したみたい。傷も治ってる、でも手足は戻ってない」

「はい」と俺が頷く。「欠損部分を治すにはオーガズムが必要で」

「オーガズム?」

「その、あの、そういうことをした時に、最高潮をむかえるじゃないですか? そこまでエッチなことをしないと欠損部分は治らないんです」

 それから師匠の指示は早かった。

 2人の外人のおっさんを近くのシェルターに連れて行くこと、を俺に指示する。

 師匠は英語でペラペラと仲間に何かを伝えていた。

「後は光太郎に任せて、2人はシェルターで待機するように伝えたから」

 はい、と俺は返事をする。

 シェルターはココから10kmも離れていないところにあるらしい。ほとんどの建物は壊れている。湖が目印らしい。

 そこまで2人の外人を両手で抱え、師匠を背負って飛んだ。ちなみに師匠は手足を土で作り出していた。

 背負うと羽の可動域に師匠がぶつかって飛びにくかったけど、すぐに彼女は羽から避けてくれた。

 こんな状況なのに師匠とこれからエッチなことができると考えただけで、俺はギンギラギンだった。

 背負っている師匠が無防備な俺の横腹や脇を触って来た。

「くすぐったいからやめてください」

 と俺は言った。

 それでも師匠はやめない。

「落としちゃいます。やめてください」

「光太郎。来てくれてありがとう」と師匠が言った。

 なんでココでお礼? 

 両手で抱えた2人の外人が英語でペラペラと喋っている。

「なんて言ってますか?」

「こんなところでイチャつくなって」

 そりゃあ、そうだろう。

 シェルターに辿り着く。

 3人はココを拠点にしているらしい。

 シェルターに2人が入る前に3人が喋っていた。英語だからわからない。

 そして2人がシェルターに入る。

「行こうか」と彼女は言って俺の背中に乗る。

「どこにですか?」

「まずは湖で汚れを取りたい」

 俺は飛んだ。

 湖には狼のような魔物の群れが大量に生息していた。スライムもいる。水の中に魔物らしきものが蠢いている。

「俺、水ぐらいなら出せますよ? でも寒くないっすか? 風邪ひきますよ」

「でも、汗まみれだし」

「いいっすよ。俺師匠の汗なら舐めれます」

 師匠が俺の頭を軽く叩いた。

「それじゃあビルの上に戻る?」

 さっきいたビルに向かった。

「さっきの2人」と師匠が言った。「Sランク冒険者なんだ」

 そんなに強そうに見えなかったけど。

「今の光太郎には、そんなに強そうに見えなかったか?」

 心を読んだのか?

「たぶん、今の日本では私達3人が最強なんだよ。だから私達が戦わなかったら日本は崩壊すると思っていた。だから私達は無理してたんだ。もう3人じゃあ守りきれない範囲なのに」

 空を見る。

 ダンジョンゲートが日本中を覆っていた。

「そうですか」と俺が言う。

 光太郎、と彼女が背中で抱きつく。

 手足が土でできていて、少し硬い感触。

「強くなったね」

 はい、と俺は言った。



 ビルの屋上まで戻って来る。

 外から魔物に攻撃されないように完全防御カマクラを作り、中にベッドを作った。

 俺は師匠を気持ち良くさせるために必死になった。

 彼女は俺の頭を押さえつけて息ができないようにしてくるから何度か死んだ。

 手足が戻ってからも首とか締めてくるから何度か死んだ。

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