賑やかになった我が家
「……なんか賑やかになってしまったなぁ」
俺は自宅のリビングでそう呟いた。
今日は朝早くからニア、ルミナスさん、リリス、フィアの四人が来ていた。四人ともリラックスした様子で寛いでいるが……ここに居る戦力だけで国を落とすくらい余裕だと聞かされるとちょっと怖い気もする。
「ノア? おいで」
「あ……うん」
怖いとは言っても彼女たちは絶対に俺に危害を加えない、それが分かっているから安心出来る。ニアに呼ばれて隣に腰を下ろすと、いつものようにギュッと抱きしめられた。
「先を越されてしまったわね……」
「むぅ……魔王様だから強く出れない」
リリスとフィアが寂しそうに俺を見つめてきた。
そんな目を向けられても俺としては困ってしまうが、この中で唯一ルミナスさんだけは笑っていた。
「こうして一人の人間を囲んでいるなんて……少し前では想像出来ませんでした。こんなにも明るく過ごせているのもノア様のおかげです」
「いやいやそんな……むがっ!?」
ルミナスさんと話しているとニアの胸元に顔を引き寄せられた。
ぷよぷよとした感触に頬が緩む。俺ってとんだエロガキだなと思ったものの、こうやっておっぱいを頬に感じたらそうなるのも仕方ないと思う。
「あ、そうだわ。ノアに聞きたいことがあったのよ」
「……なに?」
俺を抱きしめた状態でニアはこう言葉を続けた。
そのニアの言葉が最悪の時間の到来を告げた。
「私たちの中で誰が一番好み?」
「……え?」
その言葉に俺は素直に頬を赤く染めた。
ニヤリとしながらもニアも少し顔が赤く、端正な顔立ちの彼女が照れくさそうにしているだけでも破壊力があった。しかし、ニアに見つめ合っている俺の背中に三人分の視線が突き刺さった。
「遠慮しなくていいわ。言ってみて?」
「……………」
誰が好み……正直見た目だけ言えば全員凄い美貌を持っているし、まだ知り合って少ししか経ってないけど本当に良くしてくれていた。フィアも出会って数日だがとても懐いてくれているし。
「ノア君、私よね?」
「ノア……私だよな?」
「ふふ、これは私も参加しないとでしょうか」
俺にそれぞれリリスとフィアが抱き着いてきた。
その瞬間沢山の柔らかいモノと良い香りに包まれ、何も考えられないくらいに頭が熱くなった。目が回っているような感覚にもなり、流石にその質問は酷と思われたのかニアが申し訳なさそうに謝った。
「ごめんなさい。ちょっと答えづらい質問だったわね」
「……あい」
心臓が張り裂けそうになるほどドキドキしており、口も上手く回らなかった。
「……その」
「どうしたの?」
誰が一番好みか、それは正直答えづらい。
それでも一つだけ言えることはあった。
「一番心を許してるのはニアだと思う。最初から一緒だったし……凄く優しくしてくれるしさ」
「……………」
そう伝えるとニアは目を丸くした。
リリスとフィアはそれもそうだと頷いており、ルミナスさんに関しては固まったニアを微笑ましそうに見つめていた。
「の……の……ノアああああああああああ!!」
「わぷっ!? やっぱそうなるんだね……っ!」
再びニアに抱きしめられてしまった。
それからしばらく俺はずっとニアの抱擁から抜け出させず、その状況で来客を知らせる音が聞こえた。
「私が出ますね」
「あ、お願いします」
この家の家主は一応俺なのだが、ルミナスさんが動けない俺を見て玄関に向かってくれた。ニアの結界が発動しないということは敵意を持った存在ではないことで俺は安心した。
「ノア様、それに魔王様も。ゾナが来ましたよ」
「お邪魔しますね……ってあらあら、魔王様ったら大胆ですね」
あ、ショタ食いレイスだ……なんてことは失礼なので言えない。
ちなみにあの出来事が数日が経っており、俺がニアと知り合いということもゾナさんは知っている。だからこうしてニアたちが来ている時に我が家に訪れることがそれなりにある。
「……ゾナ、アンタ臭うわよ?」
「あら、流石はサキュバスクイーンです。そういう香りには敏感ですね?」
臭う? 別に何も臭わないけどリリスはどうしたんだ?
そんな俺の疑問に答えるようにゾナさん本人が教えてくれた。大分濁してはいたがしっかりと意味は伝わった。
「幼い男の子にお勉強をしてあげたんですよ。その過程でちょっと新鮮なエキスを頂いただけです♪」
「あ、そうですか……」
ペロッと舌を出してそう言った。
今の言葉で何をしたか分かるし、何より思い出したのか顔を赤くしてモジモジしている。ちょっとエッチな光景だが何をしていたか分かると……何だろうね、犯罪で捕まったりしないのだろうか。
「相変わらず気持ち悪い奴だなお前は。ノアの教育に悪い」
フィアが嫌悪感丸出しの表情でそう言ったが、ゾナさんは逆にクスッと余裕のある笑みを浮かべて言葉を返した。
「フィアさん、これはあくまで私の愛の示し方ですよ。好きな存在が出来たあなたにもそれは分かると思いますが?」
「むっ……」
「幼い男の子とは宝物です。まだ何も分かってないのに、本能ではそれが恥ずかしい行為だと理解している。そして昂る気持ちを感じて私に縋るのです。それは正に至福の瞬間です……ショタ最高」
この人が一番怖いかもしれない。
「ゾナはレイスだから幽霊みたいなことも出来るのよ。それで子供を怖がらせたりして追い詰めて、それでいざ捕まえると優しい声と言葉で安心させるの。一度世界の子供たちの為に滅された方が良いんじゃないかしら」
「何を言いますか魔王様! そうしたら誰が無垢な子供を導くのです!?」
「アンタは子供を未来じゃなくてスレた道に導こうとしてんのよ!!」
うん、流石にちょっとやめた方がいいんじゃないかなって俺も思う。
こんな風にゾナさんは色々ふざけた人だけどかなりの実力者らしい。流石にニアには勝てないが、それでも魔族の中でもかなり上位に位置する強者らしい。
そんな風にかつてないほどに俺の家は賑やかだった。
そして、その夜だった。
長らく音信不通だった女神と会話が出来たのは。
『ノアさんお久しぶりです! 朗報ですよ! ノアさんの回復魔法なのですが、もう一度使えるようになりました! なので使うべき場所は良く考えてくださいね!』
……取り敢えず一言良いか?
俺がもらった魔法は充電式だったりするの?
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