何度でも生まれ変わる妻を愛し続け、少しずつ狂気に蝕まれる様が恐ろしくも、三拍子がさらりと攫っていく。文体も軽やかですが、ひとつひとつが鋭く研がれ重く突き刺さりました。忘れられない作品になりました。ありがとうございます。
知識不足でサティの「ジュ・トゥ・ヴ」を知らなかったので読み途中で即検索しました。再び「ジュ・トゥ・ヴ」を聴きながら読んでみると描かれる喪失と殺害がより鮮明に脳裏に焼きつきました。そして、「ジプシーアイズ」。ああ、この物語はこうして終わりこうして続いていくのか、と正直「ジプシーアイズ」にも何の知識も無いのですが、妙な納得感があり、かといって何処か浮遊感というか掴みきれない感覚も合わさっていて。不思議な読後感、最高に好みでした。