第49話 迷宮での大休止
メリダが少し多めに夕食を作り、みんなで平らげた頃、重たい足音のようなものが聞こえ、そのまま遠ざかっていった。
「今日のご飯美味しかったよ」
私は笑みを浮かべた。
「あ、あの、先ほどの足音は……」
メリダが怯えた様子で私に返してきた。
「さぁ、魔物でしょ。必要以上に怖がる必要はないよ。通過しただけだから」
私は笑みを浮かべた。
「そ、そうですか。不慣れなもので……」
メリダが小さくため息を吐いた。
「ビスコッティの結界は、半端じゃないから大丈夫。外からは見えないし、スコーンの虹色ボールのおかげで換気もバッチリ。油断はダメだけど、心配しすぎもダメだよ」
私は笑った。
通常はテント内だけだが、スコーンが結界内全体に光量を低く抑えた虹色ボールを撒いていた。
「そうですか。慣れない事で、私たちも不安なんですよ。確かに、程々の緊張感がいいですね」
ミス・パンプキンが笑みを浮かべた。
「まあ、楽しくやろう!!」
私は笑った、
メリダが作ってくれた夕食を済ませ、テントの中はノンビリした空気が漂っていた。
時々聞こえる魔物の通過音も、私たちは慣れっこだったが、ミス・パンプキンとハウンドドッグは常に拳銃を放さず、にこやかにはしいていたが、やはり緊張しているようだった。
「そう緊張しないで……っていっても難しいか」
私は苦笑した。
「はい、異音や気配に敏感でして……」
ミス・パンプキンが苦笑した。
「それじゃ、神経が持たないよ。まあ、私も最初の半年くらいはそうだったから、よく分かるけど」
私は笑った。
「そうですか。どうしても警戒してしまうのは、職業病でしょうね。アリスとビスコッティが、私たちは見張りをやらなくていいといった理由が分かりました。これでは、反射的に撃ってしまいます」
ミス・パンプキンが笑みを浮かべた。
不要といえば不要だが、いつもの癖でアリスとビスコッティが見張りに立ち、ミス・パンプキンとハウンドドッグはテント内で休む事と、二人にしては厳しくミス・パンプキンとハウンドドッグにいい聞かせていた。
そのアリスは休憩中で寝袋に入って休んでいて、ビスコッティが外で目を光らせているはずだった。
「トイレ行ってくる!!」
やたら元気にハウンドドッグが声をあげ、このテントとの連絡口を開いて隣の小型テントに移動した。
そう、今まで述べていなかったが、どんなに頑張ってもトイレだけは必要なので、石の割れ目やスコーンの掘削魔法を使って穴を作り、そこに専用の小型テントを張ってトイレにするのが常だった。
その連絡口はこちらのテントにもトイレのテントにもジッパーで開け閉めする扉のようなものがあり、恥ずかしさ低減とニオイ対策をしていた。
しばらくすると、ハウンドドッグがしょんぼりとして戻ってきた。
「……穴に銃を落としちゃった。ごめんなさい」
ミス・パンプキンが動き、ハウンドドッグに一発強烈なビンタを叩き込んだ。
「落としたでは済みません。以後気をつけて下さい。本来なら、見つかるまで探してきなさいというところですが、それではみなさんの迷惑になるのでやめます」
「……はい、ごめんなさい」
ハウンドドッグがしょんぼりしたまま、ミス・パンプキンの隣にある寝袋に入ってしまった。
「あ、あの……」
「はい、ちょっと心臓に悪かったかもしれませんね。ミッション中に武器を落とすなど、言語道断の大失態なのです。まして、私たちの仕事は……分かりますね。こんな特大級の痕跡など残したら失敗です」
私が声をかけようとた時、ミス・パンプキンが笑みを浮かべた。
「そ、そうだね。よく分からないけど、大変な失敗をした事は分かった」
私は小さく息を吐いた。
「あっ、ハウンドドッグへのフォローは不要ですよ。自己解決しますので」
「わ、分かった……」
そっとハウンドドッグの側に寄ろうと腰を上げると、ミス・パンプキンがそっと止めた。
ハウンドドッグは頬に平手の痕を残し、寝袋に入ったままテントの天井を眺めていたが、そのうち目を閉じてしまった。
「……こりゃ、厳しいね」
「うん、厳しいといえば厳しいな。だが、それが当たり前なんだ。最後は自分で解決するしかないんだよ。お前だって、似たようなもんだろ。罠解除に失敗して誰か怪我でもしたら、ショックだろ。でも、結局自分のミスは自分で解決するしかない。命がけだしな」
もう交代が近いのか、アリスが起きだして私に声をかけてきた。
「確かにそうだね。でもまあ、暴発でもしないでよかったよ。
私は苦笑した。
見張りがアリスに代わったが、微妙な空気が流れるテント内をみて苦笑した。
「テントの外に聞こえていましたよ。まあ、私からいうことはなにもありませんね」
ビスコッティが笑みを浮かべた。
そのままなにか居心地が悪い空気が流れる中、ここぞとばかりにスコーンがおならをして、変な空気をかき混ぜてくれた。
「師匠、なにするんですか。せめて、トイレでやってください」
ビスコッティが笑った。
「だって、ビスコッティが薬くれないんだもん」
スコーンがビスコッティにべーっと舌を出した。
「あっ、忘れていましたね。師匠はこっちでパステルはこっち……」
ビスコッティが腰の鞄から薬瓶を取りだし、スコーンと私に薬を渡してくれた。
私とスコーンはそれを飲み、一息吐いた。
テント内は元の和やかな雰囲気に戻り、シノが銃をピカピカに磨き上げた。
「シノさん、気になっていたのですが、そのへカートⅡはどこで入手したのですか。私の情報網でも引っかからないので。マニアックな対物ライフルですからね」
「はい、実家の納屋にあったものを整備して使っています。なかなか高性能で、私のお気に入りです」
シノが笑みを浮かべ、ミス・パンプキンの目が光った。
「納屋ですか……。失礼ですが、フルネームを伺ってもよろしいですか?」
「はい、シノ・キャリバーです」
「キャリバー……。ああ、あの方ですね。引退してもう久しいです。今度会ったら、ミス・パンプキンがよろしくといっていたと伝えてください。懐かしい名前です」
ミス・パンプキンが笑った。
「……私のパーティ。こういうのばっかり?」
私は苦笑した。
「えっと、もしかして父は……」
「はい、聞かない方がいいでしょう。凄まじい腕を持っていた狙撃手だったとだけお話ししておきます」
ミス・パンプキンの言葉に、シノの顔が青くなった。
「もしかして、父は……」
「秘密です」
シノの言葉をミス・パンプキンが遮り、小さく笑った。
「わ、分かりました。あとで、父に手紙を書こう……」
シノは苦笑した。
「まあ、いいや。あっ……」
ビスコッティの薬が効いたのか、私も座っていた体が浮くほどの強烈なおならをしてしまった。
「しゅごい……」
なぜか、スコーンが反応した。
「ああ、もう。どうにかならないの、これ!!」
私は赤面してしまった。
「あの、ずっと気になっていたのですが、お二人は体の調子が悪いのですか?」
ミス・パンプキンが不思議そうに聞いた。
「それは、私から説明しましょう……」
ビスコッティが腐敗魔力やらなにやらを説明した。
「……なるほど。これは失礼しました」
ミス・パンプキンは頷いた。
「パステルも慣れれば平気だよ。合体しておならロケットで宇宙を目指そう!!」
スコーンが笑った、
「……本当にやりかねん」
私は苦笑した。
テント内は特に問題はなく、ハウンドドッグも寝袋から出てきて、空間ポケットからもう一丁拳銃を取り出し、丁寧に整備をはじめた。
「なんとか立ち直ったかな。よかった」
私は笑みを浮かべた。
敵がウロウロする中で、ミス・パンプキンとハウンドドッグ以外は適当に時間を過ごしていた。
そのミス・パンプキンとハウンドドッグは、音が聞こえるたびに体を動かし、どうにも落ち着かない様子だった。
「こら、ミス・パンプキンとハウンドドッグ。難しいかもしれないけど、神経を休ませないとダメだよ」
私は笑った。
「はい、分かってはいますが……どうにもいけません。寝袋にでも入れば、多少は違うかもしれません」
ミス・パンプキンとハウンドドッグが寝袋に入った途端、テントの外から小声が聞こえた。
「……敵襲です。静かにしていて下さい。ワーウルフです。数は五」
ビスコッティの声に、私たちはそれぞれの武器を取った。
「……耳がよくて生体魔力ですら感知します。この結界も、もうバレているでしょう。あとは、生物がいなければどこかに行きます。素早いので、できるだけ戦いは避けたい相手ですよ」
私はミス・パンプキンに小声で呟いた。
すると、ミス・パンプキンが空間ポケットから小型のアサルトライフルを取り出した。
「アサルトライフルですが、銃身が短いのでアサルトカービンとも呼ばれています」
ミス・パンプキンとハウンドドッグは同じ装備で、万一に備えた。
「さて……」
私は拳銃を手にペロッと舌なめずりして、臨戦態勢に入った。
しばらく緊張の時間が続き、外から銃声が聞こえた。
「バレました。迎撃態勢を!!」
とっくに準備ができていた私たちは、テントから飛び出して、結界の向こう側にいたワーウルフに向かって一斉射撃を開始した。
それで二体ほど倒したが、残り三体は素早く動き、高く跳躍して結界にぶつかって弾かれた。
それで生まれた大きな隙に、私は一体を狙って拳銃の引き金を引いた。
放たれた弾丸は正確に頭を撃ち抜き、これで残り二体になった。
「やりますね。そうこなくては」
ミス・パンプキンが笑みを浮かべ、ハウンドドッグと一体ずつ倒した。
これで全てだったが、私は警戒を続けた。
「あら、まだなにか?」
ミス・パンプキンとハウンドドッグが、不思議そうな顔をした。
「まだ終わっていない可能性が高いんです。通常十体程度で行動するので、まだいる可能性が高いんです」
私の言葉にミス・パンプキンとハウンドドッグが頷いた。
バックアップに入ってるスコーンとリナが、レーダーのように首を上下左右に動かしていると、いきなり呪文を唱えはじめた。
「……ほら、きた」
もはや隠れている意味はない。
ビスコッティが打ち上げた明かりの魔法に照らされたワーウルフの大群は、軽く見積もっても二十体はいた。
いきなりの明るい光に晒されて、ワーウルフたちが悲鳴のような声を上げて、動きを止めた。
そこに、スコーンが牽制で放った炎の矢と、リナの無数の石つぶてが襲い掛かり、さらに『私』が攻撃魔法を放った。
「サンダー・サイクロン!!」
前方に突き出した私の両手から稲妻混じりの暴風が吹き荒れ、ワーウルフたちを稲妻で焼焦がしながら一掃した。
「い……いつ作ったの!?」
スコーンが目を声をひっくり返した。
「なんだ、私たちが出る幕ないじゃなん!!」
リナが笑った。
「ほら、ちょっと前にドームで回復魔法を作ったでしょ。あの時に驚かそうと思って、こっそり作っておいたんだよ。もちろん、ちゃんとチェック済みだよ!!」
私は笑った。
ワーウルフとの戦闘が終わり、再び平穏を取り戻したテント内で、私はスコーンの質問攻めにあっていた。
「ねぇ、あの魔法なに?」
「空気を超高速回転させて稲妻を発生させて、それを敵にぶつけるって感じかな。射程距離が短いけど、マッパーが敵に遭遇した時に一撃を加えるには、ちょっとやり過ぎなくらいだからね」
私は笑った。
「あれ、火炎でやったらどうなるか……」
「危ないと思うけど、上手くいけばかなり強力な攻撃魔法になると思うよ」
私が笑みを浮かべ、スコーンがそっと目を閉じた。
「できた!!」
「おぇ!?」
スコーンの声に、私は思わず声を上げてしまった。
「まだ基礎構成だよ。ここから、さらに上積みしていくんだけど、そんなに時間は掛からないと思うよ。こっちは炎の竜巻だけどね」
スコーンが楽しそうに、研究ノートにカリカリ書きはじめた。
すると、テントの外からバキンともの凄い音が響いた。
「なに、また敵?」
私はテントの出入り口から外をみた。
すると、結界の外側が完全に凍り付いていて、ビスコッティが頭を掻いていた。
「上手くいきませんね。パステルにできて、私にできないなんて許しがたいです」
これで、なにをやったか分かった。
つまり、私の攻撃魔法を氷でやってみた結果、失敗したということだ。
「……なにしてんの?」
さすがに気が付いたようで、スコーンが顔を出してビスコッティをジト目でみた。
「見ての通りです。攻撃魔法の……あっ!?」
ビスコッティの顔が青くなった。
「あっ……じゃないよ。ドームで確認した? あれ、オモチャじゃないよ? どういうことかな?」
スコーンがジト目のままビスコッティに接近していった。
「さーて、どこから説教しようかな。正座!!」
「はい!!」
スコーンの前で、ビスコッティが正座した。
「あのねぇ……」
こうして、スコーンの長い説教がはじまった。
テント内に戻ると、ミス・パンプキンとハウンドドッグが嬉しそうに、なにやら凶悪な道具を揃えていた。
「なにか、外が楽しそうなので、お仕置きセット一式を揃えました。お手伝いしてきます」
「うん。いく!!」
二人は道具を抱え、テント外にいった。
『な、なんで、カボチャお化け……しまった!?』
『なるほど……。スコーンさん、お仕置きをお手伝いします』
しばらくして、ビスコッティのくぐもった悲鳴が聞こえてきた。
「……見ない方がいいな」
私は苦笑した。
さて、テントの中は平穏そのもので、そろそろ眠る時間になっていた。
「……あっ、おならマッハ六連撃ちとか開発したら、スコーンは喜ぶかな」
私は研究ノートを取りだし、電卓を片手に研究をはじめた。
「えっと、スコーンの体内にある腐敗魔力の濃度が……」
結論として、可能と出た。
「よし、これをスコーンに教えよう。暇つぶし完了。寝るか」
私は笑った。
六時間ほど本格的に睡眠を取り、体力と疲れた神経が元に戻った。
「あっ、起きましたね。ちょうど、食事の準備をしていました」
私より先に起きていたメリダが、開け放ったテントの出入り口の向こうで、野外コンロを使って料理を作っていた。
「おはよ、ちゃんと眠れた?」
「はい、大丈夫です。もうすぐ出来ますよ」
メリダが笑みを浮かべた。
「はぁ、みんなまだ寝てるね。まあ、ワーウルフなんて面倒な魔物を相手にしたら、誰だって神経が擦り減るか」
アリスと交代で見張りをしていたビスコッティも、寝袋に入ってスヤスヤ眠っていて、そろそろ疲れを取る事にしたようだった。
「朝食ができるまでの間、アリスと話しでもしてくるか」
私は一人呟き、テントの出入り口から外に出た。
テントから出ると、アリスがアサルトライフルを肩に提げ、煙草を吸っていた。
「なんだ、起きたのか。どうした?」
「どうもしないけど、暇だから出てみただけ」
私は笑った。
「そうか、食うか?」
アリスがポケットの中から、スティック状の食べ物を差し出した。
「ありがとう!!」
私はそれを受け取り、封を開けて囓ってみた。
「うぇ……不味い」
味を例えたくても例えようがなく、ひたすら薬品臭がするそれは、一口以上進めなかった。
その様子を見ていたアリスが、思い切り笑った。
「それは、戦場でのメシだ。それ一個で一食分だな。栄養バランスはバッチリなんだが、味は最悪だ。だが、慣れていると妙に恋しくなってしまう、謎の中毒性があるんだ」
アリスは笑みを浮かべた。
「確かに、食べられたものじゃないね。そういえば、時々戦場っていうけど、昔は軍隊でも入っていたの?」
「いや……。まあ、その辺はあまり話さない方がいいだろう。戦地にいたのは事実だがな。嫌気が差して逃げて追われて、たまたま寄った山の村でパステルの家に逃げ込み、居候生活をしていたんだ。お前の親は変わり者だぞ。正直に事情を話して、それでもなお屋根裏部屋を使えって……。助かったが、巻き込まれて大変な事になる可能性があるのに、全く気にしないで、寂しいだろうって子猫までくれた。まだ、パステルが生まれる前の話だがな」
アリスは笑った。
「もしかして、うちにいる白い猫?」
「そうだ。もう年寄りだが、若い頃はやんちゃでな。困ったもんだった」
アリスが笑みを浮かべた。
ちなみ、猫の名前は『プー太郎』だ。女の子なのに……。
「そっか、そういう歴史が……。知らなかったな」
私は笑った。
「語ってなかったからな。まあ、今はただの冒険者だ。ところで、国家指定ライセンスだが、まだ持ってるだろ。全部出せ。ビスコッティには内緒にしておいてやる」
アリスの言葉に、私は苦笑した。
「なんで分かったの?」
「うん、名簿があるんだ。国家指定ライセンスをもっているなら、誰でも閲覧OKのな。そこにパステルの名前がずらっと出てる。次の更新まで時間がない。急げ」
アリスが右手を差し出した。
「あっ、あの名簿か。しまったな」
私は苦笑した。
国家指定冒険者ライセンスの持ち主は、名前とランクだけだが名簿が作成されていて、役場にいけば閲覧可能だった。
「ほら、いい加減諦めろ。パステルまで働かなくていい状態だろ」
「忘れていたよ。ちょっと待って」
私は空間ポケットに手を入れ、施錠可能な貴重品箱を取りだした。
ダイヤル式の鍵を開けて、中から全てのライセンスを取り出すと、それをアリスに手渡した。
「うん、ここから出たら速達で本部に送付する。間に合うはずだ」
アリスが笑みを浮かべた。
「ありがと、よろしくね」
「うん、ビスコッティが騒ぐとうるさいからな。これで全部だな。よくまあ、これだけ登録して一回しか当たらなかったもんだ。本部もいい加減だから、申請用紙に不備がなかったら、どんどん登録してしまうからな。同じ人物でも関係ない」
アリスが苦笑した、
「よし、メシを待とう。そろそろビスコッティが起きる頃だな」
アリスが吸っていた煙草を、ピッと弾いて床に落とした。
メリダが作ってくれた朝食をみんなで食べ、その後片付けを終えると、私はメモした紙を参照しながら、このフロアのマップを起こしてみた。
「……これでいいか。特に目立ったところはないけど、だからこそ怪しいんだよね」
私はペンを咥えて、マップを見つめた。
「どうしました?」
ビスコッティが声をかけてきた。
「うん、どうにもこの迷宮の『色』がみえないんだよね。目的もわからないし、見当違いの場所だったけど、ドラゴンまで配置してなにかを守ろうとしているのは分かるけど」
私は苦笑した。
「それが色でしょう。目的は、誰かがなにかを守ろうとして、この迷宮を作っただけ。パステルにしては、珍しく悩みますね」
「うん、なんかこう勘がね。かなり前だけど、ファイアストン研究所跡地に潜った時の事覚えてるかな。そこと似た空気を感じるんだよね。あっちは魔法書の保管庫みたいになってたけど、ここも怪しいんだよね」
私は苦笑した。
「そうですか。私には分かりませんが、パステルがいうならそうでしょう。ここはなんですかね」
ビスコッティが笑った。
「まあ、先に進めば分かるよ。そろそろ出発しようか」
私は笑みを浮かべたのだった。
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