第11話 村にて
街道筋にあるだけあって、小さいながらも一件だけ宿屋があった。
しかし、そこはサランさん率いる商隊の面々で埋まってしまい、私たちは公共浴場の近くに大型テントを張った。
普段はこんな住民に迷惑をかけるような事はしないのだが、ついでに村の警備も依頼されたので、村長から快く許してもらえた。
商隊のトラック周りの警備は重要なので、アリス、スコーン、ララ、リナが当たり、私、ビスコッティ、シノが村の警備に当たった。
村の警備はシノが警鐘がある櫓に上って、暗視機能付きの双眼鏡で全周監視をして、他は無線に注意を払いながら、村の中を歩き回るという形にした。
『こちら、シノ。異常なし』
「了解、ありがとう」
無線でやり取りしながら村を歩いていると、小さな酒場でいざこざが起きていた。
大声で気が付いて酒場の扉を開けると、みるからに冒険者という感じの男性二人が怒鳴りあっていたが、どうもパーティーリーダー同士のトラブルらしく、お互いのメンバーが止めようと必死になっていた。
「やれやれ……」
私は苦笑して、小さく呪文を唱えた。
緑のツルのようなものが怒鳴りあっている二人を縛り上げて店の外に放り出し、私は笑った。
「頭が冷えるまで、外に置いておきます。五時間ほどで魔法の効果が消えるので、回収はよろしくお願いしますね」
私はポカンとしている両パーティのメンバーに笑みを向けて、酒場の外にでた。
縛られてもなお怒鳴りあいをやめない二人を蹴り飛ばしてから、私は再び村内の巡回をはじめた。
シノは適宜仮眠を取るといっていたのでそれは任せるとして、私とビスコッティはそれぞれ交代で休憩を挟むように打ち合わせしてあった。
夜も更けてそろそろ交代かというとき、村に向かって街道から近寄ってくる大型車のヘッドライトがみえてきた。
『接近中の夜行バスを確認。数は二。警戒』
「了解」
無線越しのシノの声に、私はそっと腰の拳銃を抜いた。
街道筋なので夜行バスが通過するのは珍しくないが、それにしてはちょっと遅い時間だった。
まあ、夜行バスは長距離を走るので、遅れることが当たり前ではあったが、夜行バスに扮した盗賊というのも珍しくないので、警戒しておいて損はない。
しばらくすると、はっきりと夜行バスの年季が入った車体がみえ、村に滑り込んで止まった。
一台は普通に乗客を乗せていたが、もう一台は窓ガラスが割れ、明らかに何者かの襲撃を受けた痕が残っていた。
「すまん、無線がぶっ壊れて通報できなかった。救援要請。途中で見つけて牽引してきたんだ!!」
無事な方のバスの運転手が降りてきて、私に向かって叫んだ。
慌てて拳銃をしまい、ビスコッティを起こしにいこうとすると、ビスコッティの手が私の頭に乗せられた。
「あなたはここの警戒を。私はバスの中をみてきます」
ビスコッティがそっと拳銃を抜き、牽引されていたバスの方に近寄っていった。
その間、私は無事な方の運転手に詳しく事情を説明してもらった。
なんでも、アレクの町を発ってすぐに問題のバスを見つけ、大体の事情を察して、他社ではあったがそんなの関係ないと、ワイヤーをかけて牽引してきたそうだ。
幸か不幸か運転手は軽症程度で済んだが、エンジンが壊れてしまって動けなかったとか。
あとは、魔物ではなく盗賊の襲撃だったらしいなど、大体の事情は分かった。
「何人かは生き残っていましたが、ほぼ壊滅です。無事な方は、回復魔法で治療しました」
バスから降りてきたビスコッティが、小さくため息を吐いた。
「そっか、分かった」
私は胸ポケットの無線機を取り、緊急信号ボタンを押した。
これで、街道警備隊のパトカーが近くまでくれば、あとの処理はしてくれるだろう。
「とりあえず、この村の診療所に無事な人を連れていこう。怖い思いをしているはずだから、少しは気持ちを落ち着けないと」
「そうですね。分かりました」
ビスコッティが襲撃を受けたバスから生存者を連れ出し、急なことで全員起きてしまった様子の住人たちが手伝ってくれて、もう閉まっていた診療所も扉を開けてくれた。
そんなこんなでバタバタしていると、サイレンを鳴らした街道警備隊のパトカー二台が止まり、状況の確認をはじめた。
「それじゃ、あとはよろしくな。助かったぜ!!」
牽引用のワイヤーを解いて、無事なバスは先を急いで走り去っていった。
「ご協力感謝します。あとは、我々で処理しますので、お任せ下さい」
街道警備隊の一人がピシッと敬礼して、封筒を渡して去っていった。
中をみると、協力金の一万クローネが入っていた。
「まあ、これが目的じゃないんだけどね」
私は苦笑した。
そのうちパトカーが何台も集まってきて、小さな村は騒然とした。
こういう時に小さな犯罪が起きやすいので、まさか事情聴取で忙しいビスコッティと交代するわけにもいかず、私は村内の巡回を続けた。
酒場の前では騒ぎでようやく正気に戻ったか、ジタバタしている先ほどの二人を蹴って遊んでいるそれぞれのパーティメンバーだったが、私の目は誤魔化せない。
お互いに二人ずつ姿が見えなかった。
「シノ、やっちゃっていいよ」
私は無線機越しにシノに伝えた。
『了解。火事場泥棒どもを始末する』
程なく、立て続けに凄まじい発砲音か聞こえ、村人たちがざわめいた。
「ああ、ゴミを排除しただけなんで!!」
私は手をパタパタ振って誤魔化した。
こういう冒険者が多いから、時として胡散臭くみられる。
私が一番嫌悪する輩だった。
「……同罪だね」
私は暢気に遊んでいる両パーティのメンバーを、リーダーと同じように縛り上げた。
「ちょ、ちょっと!?」
「知らないよ、泥棒一家なんて」
私は冷たくいい放ち、無線でビスコッティに事情を伝えた。
すぐに警備隊員が四名すっ飛んできて、身柄を確保しようとしたところ、首筋にザワッした感覚を覚え、警備隊員四名とともに問答無用で射殺した。
これは、攻撃魔法で狙われた時の前兆で、普通に考えれば問答無用で無力化するのは当たり前だろう。
警備隊員四名がピシッと敬礼して、その場を確保して捜査をはじめた。
「全く、忙しい夜だな」
私は苦笑した。
バスの残骸撤去は最後に回され、まずは犠牲者の身元確認やらなにやらで夜が明けても作業は続いていた。
村を串刺しにするように貫く街道は通行止めになってしまい、迂回路に誘導しているようだったが、私たちもまた仕事として村長さんから依頼料をもらい、後処理の手伝いをやっていた。
バス内の遺体が全て運び出され、全員が遠方からの乗客だったので、遺族の元に返す前に火葬が必要となり、スコーンが中心になって焼く作業を行った。
かなり大がかりな作業となったが、長時間かかった遺体の火葬も終わり、骨壺などなかったので、それぞれ麻袋に全員分の骨を入れた頃になって、どこから呼んだのか、大型車を移動させるための武骨でゴツい大きなレッカー車がきて、ゆっくりとバスの残骸を運んでいった。
これでだいぶ片付いたが、ずっと櫓にいるシノが無線連絡を入れてきた。
『北北西の街道上、不審車三両接近中』
マップを開くまでもなく、私は頷いた。
「反対側からきたか。車体にマークは?」
まあ、通行止めになっているはずの街道から走ってくるだけで怪しいが、とりあえず確認する事にした。
『ブルーの下地にドラゴンのマークを確認。三台とも同じ』
「なるほど、『青い竜団』だね。問答無用で排除してよし。撃てる?」
青い竜団とは、この界隈では有名な盗賊団で、それなりに規模が大きい。
それが、たった車三台とは思えなかったが、とりあえず放っておくわけにはいかなかった。
『まだ距離がある。三十秒待って』
シノからの応答に、私はアリスとビスコッティに近寄って状況を説明した。
「なんだ、今度は盗賊か」
「そうですか。分かりました」
アリスとビスコッティが笑みを浮かべ、三人はもう限界というサイズの櫓に上っていった。
これは、シノだけでは死角ができるとの判断だと察し、さっそくアリスから無線が入った。
『反対方向から三台、九時方向から十台。距離は二千五百だな。魔法でもなければ対応できない』
『ビスコッティです、全部ぶっ壊しますので、少し待って下さい』
そのうち、連続して櫓から白煙を曳いたなにかが発射され、いきなりオレンジ色のロケットエンジンが点火する光りがみえた。
「あーあ、対戦車ミサイルまで使ったな。高いんだぞ」
私は苦笑した。
しばらくして、シノが射撃をはじめ接近を許すと厄介な盗賊団を、あっという間に壊滅させてしまった。
「……ついでだから、青い竜団のアジトを潰しちゃうか。今回の件で、盗賊に対してかなり頭にきているから」
私は笑みを浮かべ、やる事がなかったのか剣の手入れをしていたララと、火葬でヘロヘロになっている様子ではあったが、もう一つ頑張れそうなスコーン、そしてまだ魔力を残している様子のリナに声をかけ、空いている街道警備隊のパトカーの運転席に乗っていた隊員に声をかけ、私が助手席に座りスコーンとリナ、ララを後部座席に乗せて、村を出て草原地帯に入っていった。
『こら、パステル。どこにいくんですか!!』
櫓からみえて当たり前なのだが、ビスコッティの怒りの声が無線機から聞こえてきた。
「うん、ちょっと冒険してくる!!」
『バカ、こら待ちなさい。ビシバシしますよ!!』
ビスコッティの声に私は笑い、無線機から聞こえてくるビスコッティの声は無視した。
私は運転している隊員にあえてサイレンと屋根の上の回転灯を点すようにお願いし、派手にアジトに向かっていった。
アジトはもう割れていて、ここから三十分ほどの距離だった。
また隊員にお願いして最高速度でアジトに向かって突っ込んでいくと同時に、リナが結界で車体を覆った。
まるで小さな城のような建物まで建てて調子に乗っている連中には、そろそろ鉄槌を下す事が必要だと前々から思っていたが、今こそその時だった。
「スコーン、撃てる?」
「うん、簡単なヤツなら……」
スコーンが呪文を唱え、前方に見えてきたアジトの建物に向かって、無数の炎の矢を叩き込んだ。
そこかしこで爆発がおき、蜂の巣を突くどころか叩いたかのように、盗賊団の構成員たちが湧いてきてこちらに向かって射撃してきた。
結界に守られ全弾を弾いたパトカーからは、リナとスコーンが放った攻撃魔法の嵐が吹き荒れ、秒単位の時間で二百名近くいたであろう構成員を根こそぎ倒した。
そこに、遅れて三台のマイクロバス型護送車が追いつき、負傷して動けない構成員を次々に捕縛しては、護送車に詰め込んでいった。
このパトカーの隊員もそれに加わったため、私たちは車から飛び出し、複雑なアジト内の通路を走っていった。
ここではララが先頭に立ち、あまりの事だったのかワタワタしている残党を片っ端から斬り捨て、最上階にいたお頭らしき恰幅のいいオッサンに向かって、私が放った風の魔法とスコーンが放った風の魔法が合わさり、炎を帯びた強烈な嵐となって一瞬で消滅させた。
「本気になって潰そうとすれば、このくらいの盗賊団ならね。……さて」
私は室内を物色し、いつもの要領で隠し部屋の扉を発見するとそれを押し開けた。
「へぇ……」
室内には札束やら貴金属で出来たものやら絵画やら……。よくここまで集めたなという感じのお宝の山だった。
「よし、全部没収!!」
私がちょっとだけアレンジした空間ポケットを開くと、凄まじい吸引力でお宝を片っ端から吸い込んでいき、ものの数分で宝物庫は空になった。
「……まだあるな」
私は冒険者の勘が告げる通りに従い、片っ端から隠し部屋を暴いては中のお宝を吸い込んでいった。
「全部で四部屋か。ここの活動年数を考えるとこんなもんか……なんてね!!」
私は天井を風の魔法でぶち抜き、ドシャーっと落ちてきたお宝を全て回収した。
「あとは床下!!」
……私の勘と目は誤魔化せない。
結局、全てのお宝を回収し、人身売買まで手を伸ばしていたらしく、捕らえられていた人たちも全員解放し、通路にまであった隠し扉を開けてお宝を回収し、全てすっからかんになった事を確認すると、建物からでて騒ぎが収まるのを待った。
最後に私たちとここまできてくれたパトカーの隊員だけ残ると、村に向かって進んでもらい、ある程度の距離を空けたところで止めてもらった。
「スコーン、リナ。あとは建物をぶっ壊せば終わりだよ。準備はいい?」
私は笑みを浮かべ、後席の二人に声をかけた。
「うん、一発だけなら大丈夫!!」
「あたしも撃っていいならやる!!」
二人は後部座席から降りて、呪文を唱える声が聞こえた。
「光の矢!!」
「闇の矢!!」
スコーンとリナが放った攻撃魔法は大爆発と共にアジトを粉々に吹き飛ばし、そこになにかあったかと思わせるほど、きれいサッパリ蒸発していた。
「よし、臨時収入もあったし、これでスッキリした」
私は笑った。
パトカーで村に戻ると、まず真っ先にビスコッティが私の前に立ち塞がった。
「……なにしてたの?」
怒りを込めたビスコッティの声に、私はすかさず空間ポケットから酒の瓶を一本取りだした。
「フン、そんなお酒では……。えっ、ちょっと待って下さい!?」
ビスコッティが慌てた様子で酒瓶を手に取り、ラベルやらなにやらを調べはじめた。
「間違いありません。これは世界で一本しかない、とても貴重なお酒です。一体どこで……」
「うん、かなり前だけど私の実家って医者でしょ。そこで診察した患者さんが、お金がないからこれで……って感じでおいていったんだよ。お父さんもお母さんも飲めないし、まだアリスが居候する前だったから、他にあてがなくて私がもらったんだよ。でも、ブランデーは苦手だから、ずっと空間ポケットに入れたまま忘れていたんだ」
私は笑みを浮かべた。
「そうですか、ではこれに免じて怒らないでおきましょう。もう話は聞いています。青い竜団のアジトに、たった四人で乗り込んでいったと聞きました。無謀ですよ」
ビスコッティはため息を吐き、私が差し出した酒の瓶を、自分の空間ポケットに丁寧にしまった。
「さてと、もう始末は終わった?」
「はい、ほとんど終わりました。遺骨は警備隊の方で預かるそうで、壊れたバスも片付いているので、あとは道路の清掃が終われば完了です」
ビスコッティが笑みを浮かべた。
確かに集まっていた警備隊員たちが、ホウキを片手にせっせと掃除する姿がみえた。
「この調子なら、もうすぐ街道の交通規制が解除されるね。いつの間にか、昼くらいの時間になっているし」
考えてみれば、徹夜でここまできていた。
みんなヘトヘトだろうし、ここで少し休憩を入れたかった。
私は作業を手伝ってくれていた商隊のみなさんが、思い思いの場所で休む中、リーダーのサランさんを探した。
すると、サランさんも私を探していたようで、すぐに会うことができた。
「パステルさん、旅には付きもののトラブルが発生してしまいましたね。みなさん徹夜のようですし、もう一泊しましょう。なに、急ぐ旅ではありません。無理は禁物です」
サランさんが笑みを浮かべた。
「そうですね。正直、私たちも休みたいです。もう一泊が可能なら、そうしましょう」
私も笑みを浮かべた。
「では、引き続き護衛をお願いします。明日には出発しましょう」
サランさんは笑い、商隊のみなさん一人一人に声をかけていった。
「みんな、もう一泊だって。交代で休もう」
私は無線機でみんなに声をかけた。
「最初は魔力を使ったスコーンって決めてるけど、あとは適宜交代しながらやろう」
私は笑みを浮かべた。
魔力を限界近くまで絞り出した様子のスコーンは寝込んだままだったが、他の面々は一人ずつ二時間交代でテントで休み、夜を迎えた頃にはスコーンも復活して、メンバーは変えずにトラック警備と村内警備を行う事にした。
『こちらビスコッティ。急病人発生、直ちに診療所に搬送します』
無線からビスコッティの声が聞こえ、診療所から素早く看護師さんたちが担架を持って駆け出していった。
相変わらず櫓の上にはシノが待機していて、車両や歩行者がくるたびに短く報告してくれたが、今日はトラブルもなく緩やかに時間が過ぎていった。
途中で交代しながら夜も更けていった頃、村を貫く街道を一台の長距離夜行バスが通過していった。
「あれ、最新型だ。料金が少し高いだけで、ゆったりできるって評判なんだよね。今度、機会があったら乗ってみよう」
私は笑みを浮かべた。
静かな夜は過ぎていき、街道の往来をなんとなく見つめていると、戦車を積んだ超大型トレーラーが隊列を組んで通り過ぎていった。
「深夜は色々通るねぇ。さて、ちゃんと見回らないと……」
私は診療所から出てきたビスコッティにテントで休むようにいってから、トラック警備チームを取り仕切っているアリスに無線で告げた。
「アリス、そっちも適宜休憩してね」
『分かってる。もう少し経ったら、ララがいくはずだぞ』
アリスの言葉に満足して、私は引き続き村をウロウロした。
昨日の一件があったせいか、この街に街道警備隊のパトカーが二台と護送車が一台待機していて、なにかあってもスムーズに処理ができそうだった。
この時間、やはりトラブルが起きそうな場所といえば酒場だったので、そこを重点的にみていると、この時間でも村人や冒険者と思しき旅の人が立ち寄るようで、楽しそうな声が聞こえていた。
「あれ?」
酒場の前に田舎ではまずみかけない、高級スポーツカーが駐まっているのをみて、私は不思議に思った。
「雑誌でしか見たことのない車だな。気になるから調べてみよう」
私は酒場の中に入り、店内を見回した。
すると、壁際の一番奥の席に一人で座り、どこか異様な空気を放つ強面の男性が静かに酒を楽しんでいた。
「……ただ者じゃないな」
私はカウンター席に座って冷たいお茶を頼み、その男性をそれとなく見張った。
しばらく経つと、男性はお金をテーブルに置き、そっと私に近寄ってきた。
「……気配の消し方が下手だな。見張られているのが、はっきり分かったぞ」
男性は私の肩をポンと叩き、酒場から出ていった。
「なんだ、バレていたのか」
私は苦笑してお茶を一気に飲み干すと、ほぼ満室の宿に向かっていく男性の後ろ姿を見守った。
「背後まで異様な気配を感じる。もし冒険者なら、かなり経験を積んだ熟練者だね」
私は呟き、小さく笑った。
結局この日はなにもなく、夜が明けて日が昇ると、私たちは酒場前に全員集合した。
「よし、今日はこれで出発だね。頑張ろう」
私は笑った。
みんなでテントの撤収作業を終えた頃になって、サランさんが近寄ってきて朝の挨拶をしてくれた。
「みなさん、お疲れさまです。今日は次の村を目指しましょう。問題はありますか?」
「いえ、全員大丈夫です。いきましょう」
私は笑みを浮かべた。
商隊の人たちがトラックに乗り、私たちも車に分乗して前後を固め、ゆっくり街道を進みはじめた。
「次の村まで数時間か。まあ、楽しもう」
私は笑みを浮かべ、マップを目で追って辿ったのだった。
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