第137話 大魔法×大魔法は十倍?
次の日。
飛竜達を休ませたので、早速それぞれの方面に向かう事に。
お父さんとミリシャさんが率いる主力が東に向かい出発し、肆式のカーターくんが率いるメンバーが南に向かうのを見送って、僕達4人はガーヴィンの背中に乗り込む。
ガーヴィンは普通の飛竜よりも2倍は大きくて、飛竜というよりは、フロアボスでもあったドラゴンと呼ぶに相応しいほどに大きい。
それにお父さん曰く、めちゃくちゃ強いらしい。
そんな
「ニャー」
俺の肩に乗っている黒い猫がひと鳴きする。
実は
「
「ニャー」
黒い猫は魔女であるアンナが変身した姿だ。
実は職能『魔女』には猫に変身するスキルがあるそうで、魔女のレベル次第でその力はどんどん強くなり、現在、魔女レベルが最大のアンナは猫に変身しても元の強さから弱くなることもなく、ずっと猫の姿になれるそうだ。
なので、今回の王都に向かうメンバーは実質的に5人となる。
何となく黒猫に変わったアンナが可愛くて、ついつい撫でているとラビがぷるぷる震えながらフィリアの所に飛んで行き、撫でて貰う。
…………ラビ。アンナにまで嫉妬しなくても……。
暫く飛んで、砂漠の付近にある大きな岩が並んだ地帯に着陸する。
まだアポローン王国の王都までは半分だが、飛んでくれるガーヴィンの休息も必要だからだ。
陸式のレベル上げの途中、僕のサブ職能もレベルを上げさせて貰った。
現在僕の職能のレベルは、メインである転職士がレベル9。
その他は、召喚士がレベル10、精霊騎士レベル10、聖職者レベル10になっている。
ラビとルーの召喚の件もあるので、僕のセカンドサブ職能は常に召喚士だ。
サブ職能は精霊騎士と聖職者を状況に応じて変えている。戦闘時は精霊騎士、非戦闘時は聖職者だ。
聖職者の『フレッシュ』という魔法があり、直接の回復魔法ではないが、疲労を軽減してくれる特殊な回復魔法だ。
上空では何度かガーヴィンにも掛けていたりする。
「それにしても、ここら辺は砂じゃなくて岩なんだね」
「岩石地帯と呼ばれていて、ここ一帯だけがそうなっているみたいね。この地帯のおかげでアポローン王国は交通が不便だと言われているけれど、逆に言えば、ここが天然要塞になっているから回って行くしかないみたい」
ミリシャさんから色々聞いていたフィリアが教えてくれる。
「そう言えば、フィリア? 魔導士はどう?」
実は、僕が聖職者をレベル10に上げる間、フィリアは魔導士をサブ職能に変えている。
それも相まって今のフィリアは双剣を振り回しながら、大魔法を唱えるとんでもない戦力に変わっている。
「まだ慣れないけど、さっき上空で思い付いた事があって、試してみたいかな?」
どうやら試してみたい事があるみたい。
広い岩の上から崖近くに立つフィリア。
右手を前に繰り出し「ファイアストーム!」と唱えると、うちのメンバー達がよく使っている炎の嵐が出現した。
みんなが使っているよりも数倍大きいのは、フィリアがスキル『ユニオン』の『サブマスター』に就いていて、全てのスキルと技の効果が1.5倍上昇しているからだ。
ミリシャさんの予想では、僕が魔導士になればみんなの3~4倍は大きい魔法が撃てるかも知れないとのことだ。
今回の戦いが終わって、ゆっくり出来る時間があれば、魔導士をあげてみる予定だ。
「今度は両手!」
そう話すフィリアが今度は両手を前に繰り出す。
両手?
「右手にファイアストーム、左手にファイアストーム」
すると両手にファイアストームの炎が燈る。
「――――ダブルマジック!」
二つのファイアストームが混ざり合い――――――炎の台風が現れる。
普通の炎の嵐でも既に倍ほど大きかったが、今回はその比ではない。
大きさだけでいうなら10倍に近かった。
「もしかしてと思ったけど大正解だったよ! ソラ!」
そう話すフィリアは僕に真っすぐ抱き付いてくる。
何が何だかよく分からないまま、僕の胸に抱き付くフィリアの頭を優しく撫でてあげる。
砂漠とはいえ、あの炎の台風ってとんでもない地獄絵図だな…………。
「フィリア姉ちゃん~あれってどういうこと?」
痺れを切らしてルナちゃんが聞く。
「えっとね、私の固有スキルが『双を司る神威』でしょう? 双が付くモノなら何でも効果が上がるから、上空で思いついたんだ。ミリシャさんがよく2つの魔法を同時に使っていて、魔導士のスキル『ダブルマジック』があるなと思って、もしかしてこれも
「凄い~! フィリア姉ちゃん!」
そ、そうか…………。
確かに言われてみれば、ダブルマジックも双が付くといえば付くのかな。
これって回復魔法とかでも効くだろうし、魔導士をサブ職能にしておいて、セカンドサブ職能に聖職者にすれば、範囲回復魔法を広範囲で使えるかも知れないね。
そんなフィリアのとんでもない実験が成功して、少し休めたのでまたガーヴィンの背中に乗り、王都を目指した。
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