第76話 レベル9、そしてレベル7

 『銀朱の蒼穹』のパーティーメンバーでレボルシオン領のフロアボスを専門的に狩り初めてから半年ほど経過した。


 既に多くの弐式と参式のメンバーから常に経験値を貰っているが、今年に入って去年より二倍の量の経験値が集まっている。


 その原因としては、レボルシオン平原を弐式と参式のメンバー達で狩り尽くしているからだ。


 人数が二倍に増えたのに、全員が得られる経験値は減らず、寧ろ人数が増えた事により二倍に増えた為である。


 そして、その日の経験値アップで一つの事を達成した。




 俺の前に少し残念そうな表情の弐式リーダーであるメイリちゃんが話し始める。


「ソラ様……ごめんなさい。どうやらサブ・・職能のレベルはで終わりみたいです」


 実はレベル10で得られるという特別スキルの検証の為、メイリちゃんのレベルだけは、全ての経験値をサブ職能に送っていた。


 漸くメイリちゃんのサブ職能である下級職能『武闘家』がレベル9に達して、そのまま10を目指す為に経験値を送った。


 しかし、どうやらメイリちゃんの表情と言葉から、レベル9以上に強くなれる気配は感じないようだ。


「ううん。寧ろこれで検証出来て嬉しいよ。それにしてもレベル8から9になるまでってこんなに遠いんだね」


「はい。レベル8になるまで貯めた経験値を送っても半月ほどかかりました」


「そっか……8から、約60倍か……」


「そう……なりますかね? ソラ様ってとても計算が速いのですね」


「うん? まあ、フィリアの検証も手伝っているから、いつの間にね~」


「ふふ、やっぱりソラ様は凄いです!」


「あはは、ありがとう。折角レベルが9になったからそのまま武闘家でいいかな?」


「はい。スキル『集中』が使えるのと、レベル9で得られた『筋力値増強』がとても助かります!」


 武闘家レベル9――――つまり、武闘家としての最後のスキルは『筋力値増強』。


 筋力が増える訳ではないんだけど、その密度に対するが変わるみたい。


 つまり、見た目は全く変わってないのに、力が強くなるとても素晴らしいスキルだ。


 他の弐式と参式のメンバーが羨ましんでいるとの事。


 彼らもいずれ獲得出来るだろうから、そこは気長に頑張って欲しいところだ。




 ◇




 それから一か月後。


 その日。


 遂に俺が待ち望んでいた日がやってきた。











「レベルが上がった!?」


 俺の言葉に、経験値をくれた弐式の女の子と、見守っていたメンバーと弐式参式のメンバー達から歓声が上がった。


 レベルアップした時に経験値をくれた女の子は大きな涙を浮かべて、ものすごく喜んだ。


 その女の子を囲い、弐式参式のメンバー達が祝ってあげ始める。


 どうやら俺のレベルアップに立ち会えるのが夢だそうで、お祝いの言葉の嵐だ。


 ――――どちらかと言えば、俺のレベルアップがかすむくらいに。




 - 職能『転職士』のレベルが7に上がりました。-


 - 新たにスキル『経験値アップ④』を獲得しました。-


 - 新たにスキル『ユニオン』を獲得しました。-




 『経験値アップ④』


 転職させた相手の獲得経験値を二十倍にする。


 ただし、このスキルを持った者を転職させ、転職士が経験値を獲得した場合、獲得経験値が半減する。




 『ユニオン』


 転職士は『ユニオン』を設立出来る。(設立しなくてもデメリットはない)



 『ユニオン』を設立した場合出来る事。


 ①『経験値アップ』を与えた者に『役職』を与える事が出来る。


 『役職』の種類は、設立した段階で『転職士』には自動的に『マスタ-』が与えられる。(強制)


 『サブマスター』一人まで。


 『指揮官』一人まで。


 『隊長』十人まで。(※一人決めるごとに隊が自動的に生成される)


 『隊員』各隊で三十人まで。(※十隊で合計三百人まで登録可能となる)


 『組員』無限。



 『役職』を与えられた者(転職士含み)は、下記の特典を得られる。


 『マスター』……全てのステータスが2倍上昇する。全てのスキルのクールタイムを激減させる。全てのスキルの威力のみ2倍上昇する。(※ステータスは実質4倍上昇になる)


 『サブマスター』……全てのステータスが1.5倍上昇する。全てのスキルのクールタイムを減少させる。全てのスキルの威力のみ1.5倍上昇する。全てのスキルの効果が1.5倍上昇する。


 『指揮官』……神級スキル『二重演算』を獲得する。(役職解除時、消失する)


 『隊長』……全てのステータスが1.5倍上昇する。もしくは、全てのスキルの威力のみ1.5倍上昇する。を選択出来る。(選択後、再選択まで24時間必要となる、隊長本人が好きに変更出来る)。全てのスキルの効果が1.5倍上昇する。


 『隊員』……全てのステータスが1.2倍上昇する。全てのスキルの効果が1.2倍上昇する。


 『組員』……全てのステータスが1.1倍上昇する。




 ②『マスター』は『ユニオン』に参加している全ての者を『管理』出来る。


 『管理』……相手の転職が自由に行える。(距離関係せず、強制的に可能となる)




 ③『ユニオン』に参加している全ての者同士のみで『念話』が使える。


 ただし、『隊員』及び『組員』は隊長以上に『念話』を送る為に個人単位で事前に許可が必要。


 『念話』の距離に制限はない。




 今回レベル7になって得られたスキル『ユニオン』。


 『経験値アップ④』でも既に凄いのにそれがかすむくらいに凄いスキルだった。



 まず、経験値アップ④は③から二倍増になって二十倍になったけど、④になったメンバーから経験値を貰った場合、俺の得られる経験値が半減するという珍しいデメリット付きだ。


 寧ろ、『転職士』でここまで大きなデメリットは初めてかも知れない。


 『ユニオン』は…………取り敢えず、ミリシャさんに相談する事にしよう。





 ――――『二章』後書き――――


 日頃『幼馴染『剣聖』はハズレ職能『転職士』の俺の為に、今日もレベル1に戻る。』を読んで頂きありがとうございます!


 二章のテーマとしましては、クランの地盤を固める事でした。


 ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!


 次章からは本領発揮(?)になります! 残酷描写も増えるかも知れません。恐らく欠損など色々出てくると思いますが温かい目で見守ってくださると嬉しいです。


 これからも頑張って行きますので、応援の程、宜しくお願い致します!


 では三章も張り切って毎日更新して参ります!!

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