第136話 この料理コラボ、どんどん不安になっていくんですが!?
「はじめまして。鳳仙花ムエナです」
「安芸ナキアよ」
「アマリリス・カレンです」
「ひ、東野アズマです」
ということで、今日は例の料理オフコラボ、なんだけど…………………………………………………………空気悪くない?
あ、そっか! まだ換気扇回してないからね!!
ちょっとぐらい空気が悪くてもしょうがないよね!!
「じゃ、じゃあ早速準備を始めましょうか」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「あ、あの、皆さん……? 準備を……。時間も、ありますし」
「そうだね」
「そうね」
「そうですね」
「あ、あの~……?」
「わかってるよ」
「わかってるわ」
「わかってます」
だ、だったら動きません……?
なんで3人して見つめ合ったまま動かないというか、先に動いたら負け、みたない空気で対峙してるんですか……?
絵面だけ見たら美女美少女揃い踏み! って感じで非常にいいのですが、雰囲気がアレ過ぎて素直に喜べないというか、この空気感の中にいるのはちっとも嬉しくないんですが!?
クッソー! 俺も親友役のみんなや《企画屋》の2人みたいにミラー配信がよかったよ!!
なんで俺だけ現地なんだよ!!
……まあ、この3人の料理を食べるためなんだけどさ。
「うわぉ──ッ!?」
「──ッ!?」
「──ッ!?」
「──ッ!?」
「あ、あはは。すみません、着信が来まして。──もしもし? ぴょんこさんですか? 東野ですけど」
『あ~、ズマちゃん~。どうかな~、そっちの様子は~? 準備進んでる~?』
「あ、ああ。はい。ちょうど今から準備を始めようとしていたところでした」
『了解~。カメラのセッティングとかで困ったら~、遠慮なく袈裟坊主に連絡していいからね~』
「はい、はい。わかりました。はい。ではまた。はい、また後ほど」
「…………」
「…………」
「…………」
な、なんでみんなしてこっちを見てるんですか……?
「じゅ、準備しましょうか」
で、なんでみんなして頷いて黙々と準備を始めるんですか……?
一言ぐらい。一言喋ってくれないですか……。
▼
『ということで~、3人には早速料理を始めてもらってるわけだけど~、ズマちゃん~、そっちの様子はどう~?』
「俺、実況までするんですか!?」
『だって~、他にいないし~』
「……食べるだけだと思ってました」
『それは贅沢というものだな。ということで、任せたぞ』
──ッく。今あの3人に近づくのって、ちょ~っと怖いからこのまま見てるだけがよかったのに!!
「え、えーと。それじゃあ、まずはカレンちゃんからお話を聞いていきたいと思います」
料理に関しては抜群の信頼があるからな。
まかり間違っても、なんてことにはならないはずだ。
頼むよ、カレンちゃん。
「カレンちゃんが今作ってるのは、えっと、ハンバーグ? それか餃子?」
ひき肉に玉ねぎに、あ、つなぎの小麦粉があるし、これはハンバーグだな。
「どうやらハンバーグみたいですね。カレンちゃん、どうですか? 調子は」
って、聞くまでもないな。
さすがカレンちゃん。めちゃくちゃ手際よく調理を進めてる。
ていうか、すご。
絵面が料理番組みたいになってる!!
すっごいちゃんと下ごしらえしてるじゃん!!
「カレン先生、本日のお料理のポイントはどういった点にあるんでしょうか?」
「今日のポイントはですね~って、なんですかカレン先生って!?」
「いや、なんか料理番組みたいな食材の並び方だな~って思いまして」
だって、透明なボウルに一個一個入ってるんだよ!?
調味料までそんなことする必要、ある!?
「その、何て言いますか、スタジオにあるものだったら何でも使っていいってことでしたので、つい……」
「料理番組を始めてしまったと」
「だから始めてないですってば!!」
「とか言いつつ、ちょっとぐらいはテンション上がったりしたんじゃないんですか?」
「……まあ、多少は」
「ということで、始まりました。本日のアマリリス・カレンのクッキング配信は、こちらのスタジオからお送りしています」
「だからそういうのじゃないですってば!! というか、アズマさんは何をしに来たんですか!?」
「いや、料理中の実況をしろって言われまして……」
「じゃあ、ちゃんとやってくださいよ」
「実況を?」
「はい」
「さあ、盛り上がってまいりました。みじん切りにした玉ねぎを投入! おーっと、ここでつなぎの小麦粉の登場だ!! いやぁ、これは熱い展開ですね。どうですか、解説のアマリリスさん」
「そうですね、この後の卵の入れ方にも注目をって、そういうことなんですか!? 実況って──ッ!!」
「え、違うんですか?」
「絶対に違うと思います。ていうか、なんで合ってると思ったんですか!?」
「だって俺、実況ってこれしか知らないですし」
「ダウト!!」
「バレましたか。まあでも、カレンちゃんは順調に進んでて安心しました。食べられるの楽しみにしてますね」
さて、次はナーちゃんのところにでも。
って、なんだ……? 裾が引っ張られて……。
「……完成まで見て行かないんですか?」
あー……。
マイクに入らないように小声で言ってくるあたり、まあ、そういうことなんだろうけど。
「……すみません」
「……はい」
うん。まあ、今日はね。そういう感じじゃないから。
「めちゃくちゃ美味しいの作りますから、楽しみにしててくださいね!!」
「はい。ということで、アマリリス・カレンさんでした。ミラー配信組の皆さん的にはどうでしたか?」
『料理は任せてと言うだけはあったな』
『あれは料理出来る人だって~、一発でわかるよね~』
『カレリンは大丈夫』
『姐さん、声がガチなんやけど!?』
「えー、ということで次はナーちゃんなんですけど、真っ先に絆創膏が目に入ってくるのが心配でしかないんですが!?」
「ちょっと、うるさいわよ。手元が狂ったらどうしてくれるのよ」
「……次、行きましょうか」
「私をスルーしようって言うのかしら?」
「いやいや……。話しかけてもしもがあったら危ないじゃないですか」
「ふっ、私がそんなミスをするとでも思っているのかしら?」
「絆創膏を用意してる人のセリフだとは思えないんですが!?」
「じゃあ、これでいいかしら?」
「わざわざ包丁を置かなくてもいいんですが……」
「なんでそんな寂しいことを言うのよ。あの子とは楽しく話してたくせに」
「いやまあ、カレンちゃんは安心感あったと言いますか……。ところでナーちゃんは何を作るんですか?」
「当ててみなさい」
「オムライスですね」
卵にご飯、ケチャップと来て、なおかつナーちゃんでも作れそうなものって考えると、他にない。
「そ、それがリスナーアンケートで97.4%の人が相性いいって言った証かしら!?」
「今触れますか、それに!?」
「そ、それだけ相性がよければ、私の味付けもきっと気に入るわよね」
「まだ言いますか!?」
「何よ、いいじゃない!! それともズマっちは私と相性いいって言われたのが不服なのかしら!?」
「誰もそんなこと言ってませんよね!?」
「じゃあ、……嬉しかった?」
「はい。次いきまーす」
「ちょっと!! 答えなさいよ!!」
「包丁と火を使ってるんですからあんまり騒がないようにしてくださいねー。危ないですよー。えー、ということでミラー配信組の皆さん的にはナーちゃんはどうでしたか?」
『とりあえずズマちゃんに聞きたいんだけどさ~』
「はい? なんでしょう?」
『配信の度にイチャつかないといけない決まりでもあるの~?』
「ありませんが!?」
『もう俺は自重しろとは言わんよ。存分にやってくれ』
「どういうことですか!?」
『ちなみにアズマさん的にはナキアの料理はどうだった?』
「手元は怪しかったですけど、大丈夫そうでしたね」
『すっごく頑張って練習してたから、ちゃんと食べなきゃダメだよ!』
「なんだったらミチエーリさんもこっちに来て食べますか?」
『私は練習の時にたくさん食べさせられたから、いいよ』
「……ちなみに味はどうだったんですか?」
『……ちゃんと全部食べ切ってね?』
「はい! ということで、なんかめちゃくちゃ不安になってきましたが、次行ってみましょう!! 最後は前回のアンケートで、リスナーさんから一番料理を食べてみたいと言われていたムエたんなんですが、なにこれ」
「あ、アズマさん!! 見て見て可愛いでしょ!!」
「いや、可愛いって言うか。え、あれ? 料理、するんですよね?」
「? そうだよ」
「……おかしパーティーでもしてます?」
なにこれ!?
え、なんでこんなに甘そうなお菓子が!?
チョコだのマシュマロだのあるけど、スイーツでも作る気!?
「あはは! 何言ってるの、アズマさん。これ全部シチューの材料だよ」
「……はい?」
「ほら見て、クリームシチューの素」
「いや、え、はい? なんですと?」
「甘くて美味しいシチューを作るから、楽しみにしててね!!」
………………………………あれ、もしかして。
ムエたんってまさか、料理出来ない!?
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いつもありがとうございます。藤宮です。
本日22時~Twitterのスペースでの配信にお邪魔します。
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・日時:1/7(土)22時~予定
・内容:WEB小説(カクヨム)勉強会
└対話形式でWEB小説について話し合います。
友人の斎藤ニコ(天道源)先生のスペースにお邪魔します。
主にWEB小説を投稿してみたい! 書いてるけど中々思ったように書けない……。
といった方向けにはなりますが、作家って何考えてるんだろう?
といったことにご興味ある方もぜひ聞きに来てみてください。
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ゆる~く楽しもうと思っているので、お時間あればぜひお越しください。
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