第132話 相性20%!?だけど、配信糖度は120%
『……もっかい』
「ま、まだやります……? もう10回ぐらいやってますよ……?」
『も゛がっ゛い゛──ッ!!!!!』
「OKわかりましたやりましょう!!!!! ナーちゃんの気が済むまで100回でも1000回でもやりましょう!!!!!」
『う~、なんでなのよぉ……。こんなの認めないわ……っ』
もう半泣きだ……。
まっずいなぁ、これは。
さすがにナーちゃんが可哀そうになってきたと言うかって、リスナーが息絶えそうになってる──ッ!?
なんで!?
どうした!?
今日、そんなに刺激の強い配信じゃないだろ!? ただ相性占いをしてるだけだぞ!?
『甘過ぎて胸焼けする……』
『ここまで来ると嫉妬すら覚えない……』
『これもうラブコメじゃないだろ……』
『バカップルVTuberに改名して……』
『てぇてぇを越えた概念に名前を頂戴……』
『この2人を表す関係性を俺は知らない……』
……リスナーさんたちが何を言ってるのか俺にはちょっとわからないな?
俺とナーちゃんは普通に配信をしてるだけだよ?
『ちょっとズマっち! なんでまた相性30%なのよ!?』
「ナーちゃんが変な選択肢を選ぶからですよね!?」
『選んでないわよ。そんなの!! 私はただ、ズマっちが選びそうなのを選んだだけよ!?』
「俺だってそうですよ! ナーちゃんだったらこの選択肢だろうな~って思ったのを選んでるだけですよ!?」
『私を何だと思ってるのよ!!』
「ナーちゃんこそ、俺を何だと思ってるんですか!!」
ほら、全然甘くない。
さっきからずっとこの調子だよ?
むしろギスってるまであると思うんだけど?
『ケンカじゃない。これはケンカじゃない』
『ただのじゃれあい』
『これを狙ってやってないってマジ?』
『まだこのイチャイチャを見せられるの?』
『初めて安芸ナキアをかわいいと思ったんだが……』
今日のリスナーさんたち、なんか様子がおかしくない?
どうしたの、みんな!
いつもみたいにもっと草生やして!!
『ズマっち。次こそ相性100%を出すわよ』
「思ったんですけど、相性占いって100%を出すことを目的にやるものじゃないですよね?」
『……イヤよ』
「『イヤよ』ってそんな……」
『ズマっちとの相性は100%じゃなきゃイヤよ』
「……わかりました」
……いやね? 意地になるのはいいよ。いいんだよ、別に。
そういうところもナーちゃんらしいし。ムキになっちゃうのもわかるよ。
でもね。ちょーっと言い方には気を付けようか。
わかってると思うけど、配信だから全世界に公開されてるんだよね。
そんな告白紛いなことを言われても困るし、なんていうか、さすがに配信中に答えられるわけないからね?
『絶対に100%出すわよ』
あーもう。しょうがないなぁ、100%出るまで付き合うか。
ちょっと《お助け親友キャラ》としてミチエーリさんを呼ぼうかと思ったけど、これはそういうのはダメだよな。
ちゃんと自分たちで100%の相性を出さないとダメだよな。
さてと、次の質問はなんだ?
《Q.好きな人へのクリスマスプレゼント。マフラーを買うなら何色? 赤 or 青》
んー。ナーちゃんの好きな色を選ぶなら赤なんだけど、さっきみたいにナーちゃんが俺の好きな色を選んでくると青なんだよな。
どうする?
どっちだ?
「ナーちゃん」
『何よ。今真剣なのよ』
「クリスマスプレゼントにマフラーを貰うなら何色がいいですか?」
『白』
よーし、OK。何の参考にもならないな!?
ああもう! 赤だ赤! ナーちゃんなら赤に決まってる!!
……決まってるよな!?
次だ次!!
《Q.地球最後の日。あなたはどう過ごす? ひとりで静かに or 大切な人と》
……ラブコメ配信って企画趣旨的には、大切な人一択なんだけど、そういうメタ的な選び方ってナーちゃん嫌いそうなんだよなぁ。
私はあえてひとりよ! とか余裕で言いそうなんだよなぁ。
いや。ここはナーちゃんもVTuberってことを信じて、大切な人にしよう!
……頼むよ、ナーちゃん。ここで拗らせたことしなくていいからね?
《Q.好きな人との初デート。行くならどっち? 映画館 or 水族館》
どっちだ!?
映画か魚か。ナーちゃんはどっちを選ぶんだ!?
『ズマっち』
「はい」
『赤と青。どっちが好きかしら?』
「青です」
ああもう! 勘だ! これはもう勘しかない!
インドア派なナーちゃんが魚なんか見に行くはずがない。映画だ!!
ってちょっと待て! 今ナーちゃん何を聞いてきた?
赤か青かって言った? それってもしかしてさっき俺が答えた質問か?
ああああ!!!!! マジか、やからした!!
こっちの答えを考えるのに夢中になってたぁ……。思わず青って答えちゃったよ……。
《占いの結果。2人の相性は20%!! きっとこれからもっと仲良くなっていけるよ!》
『も゛がっ゛い゛──ッ!!!!!』
「……OKです」
『も~、なんでなのよぉ~』
こんなこと言いたくないけど、なんか一生100%なんか出る気がしないと言うか、あーもう!!
あれかなぁ、考え過ぎなのかなぁ!?
ナーちゃんならどれを選びそうとか、そういうこと考えない方がいいのかなぁ!?
なんかもう、わっかんないんだけど!?
『……あのさぁ、もう見てられないんだけど』
「うわ!?」
『ミチェ!?』
『2人はさぁ、バカなの? バカだよね?』
『失礼ね。何よバカって。それに今、あんたと話してる場合じゃないのよ』
「いやいや、ナーちゃん。それはさすがに」
『だって私の事バカって言ったのよ!?』
あ、これは……。相性占いがうまく行かなさ過ぎて駄々こねモードだな?
『大丈夫だよ、アズマさん。ナキアがこういう風になるときって、大抵余裕がない時だから。今はね、アズマさんとの相性が本当に悪いんじゃないかって不安になって、余裕がなくなってるだけ』
「それはそれで……。あの、ミチエーリさん。一応今、配信中ですよ……?」
『うん。知ってる。というか、だからこそだよ!! ナキア。アズマさんとの相性をリスナーに診断してもらおうよ!!』
『……リスナーに?』
「どういうことですか?」
『はい。リスナーの皆さん。選択肢のお時間です。そのものズバリ、《東野アズマと安芸ナキアは相性いいか? 〇 or ×》で!!』
『ちょっと、ミチェ!? 何言ってるのよ!?』
「ミチエーリさん!?」
『ほらほらアズマさん早く。選択肢を準備するのは主人公の役目でしょ!?』
「いやいや、どういう選択肢ですか!? そういう使い方はよくないと思うんですけど……」
『そ、そうよミチェ。それにどうするのよ、もし×の方が多かったら……』
『それは絶対ないから大丈夫』
『なんでそんな風に言えるのよ、相性占いだって、……20%なのに』
『ああもう!! ナキア。そんな占い程度でいちいち落ち込まないで!! それに今ここには、ずっとナキアとアズマさんを見てきたリスナーさんたちもいるんだよ!? その人たちの声と、相性占い。どっちを信じるの!?』
『だ、だって……』
『だっても何もないの! 大丈夫だから!! ほら、アズマさんも早く!!』
「え~……、わかりました」
ナーちゃんの情緒が不安定過ぎるから、もうしょうがない。
お願いしますよ!!
信じますからね、リスナーさんたち!!
『ズ、ズマっちは怖くないのかしら……?』
「もし仮に×の方が多かったら、これから俺たちはもっと仲良くなれるってことです。大丈夫ですよ!!」
『お~、よく言った!! それでこそ主人公!! カッコいいよ、アズマさん!!』
「さすがにここまで言われれば、と言いますか。ね?」
『ん~。そこでビシッと決めてくれたら本当にカッコよかったんだけどなぁ?』
「ははは。それはこれからの成長に期待と言うことで。じゃあ、そういうことで今日の配信はここまでとさせていただきます。あとで選択肢を設定するので、皆さんよろしくお願いします!! それじゃあ、今日も。あざまるうぃーす!!」
『バイバイ~。最後にお邪魔してごめんね~』
『ね、ねえ。最後にもう一回だけ相性占いやりましょう?』
「もういいですって」
『なんでそういうこと言うのよ!! ズマっちは相性20%のままでいいって言うの!?』
『あ、裏で好きなだけやる分にはどうぞ』
「ちょっとミチエーリさん。見捨てないでくださいよ!!」
なんてやりとりをしつつ配信は終わったけど、結局その後も相性占いをやり続け、最後はナーちゃんが寝落ちするまでダラダラと通話をしていたのは、ここだけの話だ。
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いつもありがとうございます。藤宮です。
今回はアンケートがあります。
下記、ツイッターアカウントにて行っていますので、よろしければご参加ください。
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◎藤宮カズキ ツイッターアカウント
https://twitter.com/fujima0102
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アンケート内容:東野アズマと安芸ナキアは相性いいか? 〇 or ×
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◎アンケートURL
https://twitter.com/fujima0102/status/1606451295061446657
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引き続きよろしくお願いいたします。
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