第124話 ラブコメ主人公企画 Side.カレン①

 いや、まあ。そんな気はしてたんだよ。

 企画説明の時に《お助け親友キャラ》なんて出てきてたからそうじゃないかとは思ってたけど、でもそうであっては欲しくなかったんだよ!!

 だって、絶対にオモチャにされるから!!

 100%、神に誓って、イジリ倒されるから!!

 アドバイス役の《お助け親友キャラ》にコイツらだけは呼んで欲しくなかった──ッ!!


『ちゅーわけで、カレンちゃんサイドの《お助け親友キャラ》に呼ばれました。狼森エイガ言います。みなさん、よろしゅうに!』


『円那ひとみだよー。よろしくねー』


『レオンハルト・レオンハート、です。よろしくお願いします』


 勘弁してくれ……。

 よりにもよってこの3人、特にエイガとラナさんにカレンちゃんとの《てぇてぇ配信》を見られるなんて……。

 あー! 悪い予感しかしない!! 嫌だ!! 今すぐこの配信から逃げ出したい!!


『ということで~、あのクロファイ下剋上企画のメンバーが~、再集合だよ~』


『あの戦いは実に思い出深かった。またやりたいものだ』


『まさか自分たちにお声がけ貰えるなんて思ってへんかったから、めっちゃ嬉しいっす!!』


 おい、エイガ。この前の企画説明の後に、不満たらたらのチャットを送ってきたの覚えてるからな!!

 企画の参加が決まった途端にニコニコしやがって。

 ……そういうとこ可愛いよな、お前。


『すんごくおもしろそうな企画だよねー。楽しみー』


 ラナさんはラナさんでなぁ。1人だけ目の色違うと言うか、ガチになってそうというか。

 だって、絶対この人カレンちゃんに変な入れ知恵するよな!?

 企画としても、それ以外の面でもガチになりそうなのが、盛り上げ役に適任と言うか、こっちとしては恐怖しか感じないと言うか……。


『にーちゃん。僕、頑張ってお助けするよ』


 よし! お助けキャラとして呼ぶのはレオンハルトだけにしよう!!

 きっとそれが一番平和だ。俺のメンタル的に!!


『ということで~、《お助け親友キャラ》の紹介も終わったところで~、今日は予告していた通り~、東野アズマとアマリリス・カレンの《てぇてぇチャンネル》のチャンネル名を決めてもらうよ~』


『東野のラブコメ主人公力が試されると言うわけだな』


『カレンちゃんの~、ヒロイン力かもしれないよ~』


「あれ、そう言えばカレンちゃんは?」


 まだこの配信が始まってから一言も喋ってないよな?

 というか、挨拶もしてないんじゃ……?


『ヒロインは~、遅れて登場するものだよ~』


「そんな真打登場みたいな……」


 大丈夫か? プレッシャー感じてなきゃいいけどって、それは無理か。何しろ同接が2万近いんだから!!

 俺だってプレッシャー感じてるわ!!


『では、登場いただこう!! ヒロイン役のアマリリス・カレンだ!!』


 って、おい!! そんなBGMまで演出入れるのかよ!?

 さては袈裟坊主さん、全力でこの企画を楽しんでますね!?


『み、みなさ~ん。アマリリス・カレンですぅ~……』


『も~。ヒロインなんだからもっと可愛く登場してもらわないと~』


『そんなぬるっと入って来ては、ヒロインアピールにならないぞ』


『じゃあ、どうすればいいんですか!? いきなりヒロインなんて言われたって出来るわけないじゃないですかぁ』


 そりゃそうだ。ヒロインなんて概念、二次元やフィクションの世界じゃないと成立しない。そしてそれは同様に主人公もだ。

 ……あれ、もしかしてこれって企画倒れなのでは? 

 って、おい!! マジで言ってる!?

 うわ、本気じゃん。気づいたら俺とカレンちゃん以外全員ミュートになってるし、ぴょんこさんと袈裟坊主さんから、『さっそく主人公の腕の見せ所だな』なんてチャット来てるし……。

 ああもう!! しょうがない!! 

 2万人近いリスナーが見てるんだ。やるしかない!!


「カレンちゃんカレンちゃん。おーい、もしもし~? 聞こえてる~?」


『アジュマしゃ~ん』


「あ、よかった! 声は聞こえてますね!!」


『わ、わたし、どうすればいいんですかぁ……?』


「大丈夫ですよ!! きっとうまくいきます!! 俺もいるじゃないですか。カレンちゃんと俺ならきっと大丈夫ですよ」


『うぅ、でもぉ……』


「大丈夫です!! カレンちゃんらしさを大事に、いつも通り配信すればいいんですよ」


『わたしらしさ?』


「はい! だからカレンちゃん。俺たちの配信チャンネルもカレンちゃんらしさを大事にしたものにしましょう!!」


『わたしらしい配信チャンネルって。例えばどんなのなんですか?』


「そうですね。……あ、こんなのはどうでしょう! 名付けて《カレ虐チャンネル》!!」


『絶対やだぁ!! え、待って。アズマさんが考えられるわたしらしさって、そういう……?』


「あれ、違いました? でもほら、コメント欄見てください!!」


『カレ虐GG』

『カレ虐GG』

『カレ虐GG』

『カレ虐GG』

『カレ虐GG』


「ほら」


『ほら、じゃないですよねぇ!? え、嘘でしょ? リスナーさんもそういう認識なの? それがわたしに求められてる『わたしらしさ』なの!?』


「カレンちゃんの悲鳴は万病に効くって言いますからね」


『どこのことわざ!? 知らないですよ、そんなの!!』


「あれ、おかしいですね。ついこの前VTuber医学会が論文を発表してたはずなんですが……」


『絶対嘘じゃないですか!! なんでそういうこと言うんですかぁ!? ASMRで絶叫配信しろって言うんですか!?』


「ホラゲ配信をASMRのマイクでやればいいんじゃないですか?」


『それおもしろそう!! やりたい!! って、違いますよぉ。なんで企画を考えてるんですか!? そういう話じゃなかったですよね!?』


「でも、カレンちゃんはいつも調子に戻りましたよ。元気になりました」


『そうかもしれないけどぉ。うー、なんか釈然としません!!』


「まあまあ、気を取り直して。コメント欄でもラナさんが何か言ってますよ。『あえて弄ることでヒロインを元気にする。これも主人公力』って、拾うコメント間違えましたね。今のはなかったことにしましょう」


 なかったことにしようって言ったよなぁ!?

 なんで固定コメントにしてるんだよ!!


「ええと。それじゃあ、本題に入りましょうか」


『チャンネル名ですか?』


「はい。どうしましょう?」


『どうって、言われても……。普通でいいんじゃないですか? 《カレアズチャンネル》とか』


「あ、よかったです。カレンちゃんも俺と同じこと考えてくれてて。本当に《カレ虐チャンネル》になったらどうしようかと思いました」


『それはあり得ないですよ!?』


「ですよね。じゃあ、俺たちのチャンネル名は《カレアズチャンネル》ということで」


『ちょっと待ちぃや──ッ!!!!!!!!』


「うわ、エイガ」


『そんな人を腫れものみたいに扱わんといで!?』


「だって……」


 このタイミングで来るってことはさぁ……。


『そないなふっつうなチャンネル名でええと思ってるんか!?』


「ええ。だって俺とカレンちゃんがいいって言ってるんですから。チャンネル主、俺たちですよ?」


『ええわけあるかぁ!! これ、企画やで!? ほんでもって自分らはVTuberやで!? もっとリスナーが楽しめるようにせんかい!!』


 ええ、だってそれ。自分たちから進んでオモチャになれってことでしょ? それはなぁ……。


『ポチ、待て』


『姐さん姐さん。呼びかけるにしてももうちょっとマシな呼びかけにしてくれへん? 自分、ほんまに犬みたいやん』


『そう言ってるの。だってポチ、あんた浅いよ』


『どういう意味や』


『よく思い出して。カレリンは今、《カレアズチャンネル》って言ったの。わかるでしょ? ──カップリングにおいて、左は“攻め”なんだよ』


『ラナねえさん!? 何言ってるの!?』


『なるほど! そういうことやったんか!! このチャンネル名は、ヒロインであるカレンちゃんが、主人公であるアズマをガツガツ攻めるいう、そういう決意の表れやったんやな!?』


『違う!! 全然違うから!! アズマさん、違いますからね!?』


「ああ、うん。大丈夫です。わかってますから」


 ただ、カレンちゃんには非常に申し訳ないことに。この2人の勢いは止まらない。なぜって? リスナーもノッてるからだよ!!

 コメント欄! いいから、ちょっと落ち着きなさい!!


『だからね、本来のこのチャンネル名は《カレ×アズチャンネル》なんだよ』


『やめてよぉ!! 違うからぁ!! アズマさん、どうしよう!?』


「どうって言われても……」


 ほらな!! ほらな!! 言った通りだろ!?

 ラナさんガチなんだよ!! 絶対こういうことになると思った!!

 企画でも何でもなく、ガチで俺とカレンちゃんで遊ぼうとしてるんだよ!!


『あ、待って。こっちの方がいい……? 《カレ⇒アズチャンネル》っと』


『矢印はやめてぇ!!』


『いや、姐さん。それなら、もうわかりやすくこれでええんとちゃう? 《カレ♡アズチャンネル》と』


『♡はもっとやめてぇ!! ねぇってば──ッ!!!!!』


『あ、ちなみにレオンハルトきゅんはどう思う?』


『ぼ、僕? えっと、にーちゃんが気に入ったやつがいいと思う』


 レオンハルト!?

 そこでその発言はとんでもないキラーパスだぞ!?


『ということで東野ちゃん。決めて?』


 いやいやいや! これで決めてって!!

 それは酷でしょ!? ラナさん!? もうちょっと手心を加えてくれませんか!?


「しゅ、主人公スキルの《選択肢》を使います。リスナーさんたちに決めてもらいます……」


『ん~、それはそれでヘタレ系の主人公っぽくていいか』


 うるさいなぁ──ッ!?


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読者の皆様


いつもありがとうございます。藤宮です。

下記、ツイッターアカウントにてアズマとカレンのチャンネル名のアンケートを行います。

よろしければご参加ください。

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◎藤宮カズキ ツイッターアカウント

https://twitter.com/fujima0102

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アンケートのURLは下記の通りになります。

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https://twitter.com/fujima0102/status/1591676565343330304

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今後ともよろしくお願いいたします。


藤宮

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